1.高い場所にのぼる
いくら「ダメ!」と言っても、毎回懲りずにキッチンやテーブルにのぼってしまう猫っていませんか?トイレの帰りにそのままのぼられたら、衛生面も気になりますよね。
猫がことあるごとに高い場所にのぼるのは、安全の確保と自分がいる環境を把握しておきたいという本能的な欲求が理由です。飼い主さんがお料理をしていたり、食事をしていたりするのを確認したいのでしょう。
また、アクティブな猫は、冷蔵庫やカーテンレールの上までのぼってしまうかもしれません。見晴らしがよく、部屋の中を一望できる場所は猫にとっては特等席なのです。
実は、環境内の一番高い場所へのぼることは、猫にとって一種のストレス解消として機能しています。そのため、高い場所があれば、ついのぼりたくなってしまうのは、ちょっとした息抜きのようなもの。
もし可能であれば、背の高いキャットタワーや高所を移動できるキャットウォークを設置することで、ほかの場所へのぼるのを防げるかもしれません。
2.爪とぎをする
爪とぎは、猫がやめられない行動のひとつです。とはいえ、ソファでバリバリ、壁でバリバリは、さすがにやめてほしいもの。
猫が爪とぎをする主な理由は、爪のお手入れとなわばり内のマーキングです。
爪とぎをすることによって、古い外側の層が剥がれて、新しい爪を露出します。猫の爪は、たけのこの皮をむくように、脱皮させるのです。
また、猫の肉球には独自のニオイを出す臭腺があり、爪とぎの際にこのニオイをつけることで「自分の存在」「自分の場所」を主張します。
爪とぎの習性は、室内飼いの猫でも残っていますので、新しい洗剤のニオイや見慣れないインテリアなど、猫の意に沿わない存在があると、自分のニオイをつけようとしてバリバリしてしまうかもしれません。
猫の爪とぎ行動は、やめさせることはできません。この本能的な行動を適切に管理するには、適切な場所に爪とぎの設置や、爪とぎ防止シートでひっかき傷を防ぐような対策が基本です。
3.狩りのマネをする
パーカーのひもや充電コード、トイレットペーパー、買い物帰りのふくろなど、猫は何でもおもちゃにして遊んでしまいます。このように猫が物にじゃれてしまうのは、狩りのマネごとの延長にある習性です。
猫には、狩りをして獲物を取る本能があり、人に飼われて食事の提供を受けている猫であっても、狩猟するという本能は消えないということです。
猫は何千年もの間、野生動物として進化してきました。一方、人とともに暮らすようになり、一日の食事の100%を人間から提供してもらうようになったのは、ごく最近です。
猫が完全にペット化した歴史はとても短いために、いまでも本能的な行動パターンが残っているのです。
実は猫が狩りのマネをして遊ぶことは、精神面と肉体にとって適度な刺激となり、日常的なストレスの発散にもなります。狩りに必要なジャンプや集中力は、筋力の維持や強化、柔軟性や機敏さの向上にも役立っています。
4.狭いところに入り込む
猫を飼ったことがある人のなかには、「猫がいない!」と探し回った結果、家具すき間やベッドの下などで発見した経験がある人もいるかもしれません。
猫が狭いところに入り込むのは、野生時代の習性が関係しています。温帯地域に住んでいた野生の猫は、小動物や鳥類を狩って暮らしていました。明け方や夕暮れなどの薄暗い時間になると、岩の隙間や茂みの中など、狭いところに隠れて獲物を待ち伏せしていたのです。
さらに猫は、自分を襲う捕食者から身を守る必要がありました。日中は、目立つような場所での行動をできるだけ避けて、薄暗くて狭いところで過ごしていたのです。
現代のイエネコも、この習性を引き継ぎ、狭い場所で過ごすのが大好きです。ただ、家具のすき間などは、万が一の時にとても危険なため、日常的に遊ばせるのには向いていません。
代わりに、ドーム型のベッドや段ボールなどの空き箱、猫用のお布団なんかを用意してあげるといいかもしれませんね。
5.明け方の時間帯に活動する
猫は長い間、夜行性といわれていましたが、動物行動学の研究が進む中、2000年代に入ると、猫は「薄明薄暮性」であると新しい理解が広まりました。
薄明薄暮性とは、夜明けや夕暮れ時に活発になる性質のことです。まだ夜が明けきらない時間帯に、寝ている飼い主のベッドへ飛び乗ってくるのは、薄明薄暮性の特性です。
早朝や夕暮れどきは、獲物となる小動物の活動時間帯と一致しています。野生時代、この時間帯は自身も捕食されるリスクが低いため、活動することが生存に有利だったのです。
現代の猫も、日中に十分な運動量が得られていないと、夕方や明け方の活動が激しくなることがあります。特に猫の視覚は薄暗いところもよく見えるため、この時間帯に探索行動や遊びを楽しむこともあります。
飼い主にとっては、多少迷惑な行動かもしれませんが、これは猫の自然な行動パターンなので、コントロールするのはむずかしいでしょう。
ただし、夕方以降の遊び時間を増やしたり、食事の時間を調整したりすることで、ある程度は活動を調整できる可能性があります。
人に飼われて「人間の時間軸」で生活していると、猫も家庭内の環境に適応し、自然に夜間はおとなしくするようになるケースもあります。
まとめ
猫が我慢できずについやってしまうことは、本来の習性からくる猫らしい自然な行動の延長です。そのため、いくらしつけようとしても、完全にコントロールできるものではありません。
なかには困った行動もあるでしょう。たとえば、爪とぎ問題は多くの飼い主さんが悩みがちな猫の行動です。猫用の爪とぎを置いておいても、別の場所でやってしまうこともあるからです。
飼い主としてできることは、これらの行動を完全に抑制せずに、猫が行動できるような環境を可能な限り整えることです。もし、テーブルにのぼってしまうなら、同じ高さの猫用の台を用意してあげるなどです。
ときに困惑させられる行動でも、猫と暮らしていくチャレンジだと考えると、ゲーム感覚で楽しめるのではないでしょうか。
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