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猫の危険な『猫コロナウィルス』とは?感染経路や8つの症状を解説


猫コロナウイルスは2種類

診察を受ける子猫

「猫腸コロナウイルス」と「猫伝染性腹膜炎ウイルス」

猫のコロナウイルスには「猫腸コロナウイルス(FECV)」と「猫伝染性腹膜炎ウイルス(FIPV)」の2種類があります。この2つは非常によく似ており、区別が困難であると言われています。

しかしその症状には違いが見られます。猫腸コロナウイルス感染症は比較的に軽い腸炎を起こすのみで、一般的な腸炎の治療によって数日程度で回復すると言われています。

一方で、猫伝染性腹膜炎ウイルスの場合は、発症した猫のほとんどが死に至ると言われている危険な感染症です。

「猫腸コロナウイルス」が「猫伝染性腹膜炎ウイルス」に変異する

非常に似ている2つの猫コロナウイルスですが、その感染力にも違いが見られます。

発症すると致死率が高い「猫伝染性腹膜炎ウイルス」はその感染力はとても弱く、猫から猫へ感染しているのはほぼ「猫腸コロナウイルス」であると言われています。

ではどうして猫伝染性腹膜炎ウイルスに感染するのかというと、猫の体内で猫腸コロナウイルスが変異して猫伝染性腹膜炎ウイルスになるためという説が最も有力です。

そのため、軽度で回復することが多いとされる「猫腸コロナウイルス」にも注意が必要です。

感染経路は?

猫のトイレ

猫コロナウイルスは猫の排泄物から容易に感染しますので、感染源は排泄場所である「トイレ」となります。

外で生活する猫は排泄場所を共有することがあり、そのほとんどが保有していると考えられています。また集団飼育施設でも多く認められますので、ほとんどの猫が一度は猫コロナウイルスに感染したことがあると言っても過言ではありません。

健康な猫であってもその多くがウイルス検査で陽性となりますが、感染したからといって必ず発症するわけではなく陽性から陰性になる場合もあります。

その症状は?

トイレする子猫

症状に気付きにくいため要注意

猫腸コロナウイルスは体内に入ると主に腸管に留まり、腸の中で増殖します。下痢の症状を起こすことが多くありますが、無症状で飼い主さんが気付かないこともあります。

猫腸コロナウイルスを保有し続けた猫の体内で猫伝染性ウイルスへと変異した場合、猫伝染性腹膜炎を起こす原因となります。「猫コロナウイルスに感染した猫の約12%が猫伝染性腹膜炎を発症する」と言われています。

猫伝染性腹膜炎の症状

猫伝染性腹膜炎の初期症状は

  • 発熱
  • 食欲低下
  • 元気がなくなる
  • 体重減少
  • 嘔吐
  • 下痢
  • 脱水
  • 貧血

といった、病気を特定しづらいような症状が表れます。

進行していくと、その症状は「ウェットタイプ」と「ドライタイプ」の2種類に分けられます。

「ウェットタイプ」はお腹や胸に水が溜まる病状で、

  • 呼吸が速くなる
  • 口呼吸になる
  • 腹部膨満
  • 伏せや横たわるのを嫌がる
  • 座った姿勢で肘を外に開く

などの症状や様子が見られます。感染した猫のほとんどがこのウェットタイプの病状を引き起こすと言われています。

「ドライタイプ」は主に炎症を起こす病状で、

  • 腎臓
  • 肝臓

などに炎症が見られます。中枢神経にも異常が出て麻痺やけいれんを起こすこともあります。ドライタイプはウェットタイプと違って液体が溜まらず、慢性的な経過となる場合が多いです。

猫伝染性腹膜炎のメカニズムはまだ解明されていない

残念ながら猫コロナウイルス感染を予防するワクチンや、猫伝染性腹膜炎の治療法は見つかっていません。

猫伝染性腹膜炎を発症した場合、一般的に症状や進行を穏やかにするための治療が選択されます。

猫伝染性腹膜炎の発症メカニズムは判明していないものの、ストレスや免疫異常が関係しているという意見もあります。

まとめ

トイレにいる猫

猫コロナウイルスは、現在私たちが戦っている「新型コロナウイルスcovid-19」とは全く別物で、猫から人間に感染したという報告はありません。

しかし、猫から猫には排泄物を介して簡単に感染しうるウイルスで、ほとんどの猫が一度は感染したことがあると言ってもいいほどです。

猫のコロナウイルスには「猫腸コロナウイルス」と「猫伝染性腹膜炎ウイルス」があり、この2つは非常によく似ているため区別することができません。

猫腸コロナウイルスが体内で変異して猫伝染性腹膜炎ウイルスとなり、致死率が高い猫伝染性腹膜炎を起こすという説が現在のところ最も有力です。

猫コロナウイルス感染を予防するワクチンはまだ無く、どうして体内でウイルスが変異するのかもはっきりと解明されていません。

猫伝染性腹膜炎を引き起こすのは感染した猫の約12%と確率は高くないものの、発症してしまうと死に至る病気であることは覚えておきたいですね。


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