猫との生活をもっと幸せに送るために。
今回の猫壱よみものは、獣医師で米国獣医行動学専門医であり、そして猫愛にあふれる入交先生のご寄稿第5回です。
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今回は「猫のトレーニング」についてお届けします!
「猫のトレーニング」は2回に分けてお送りいたします、ぜひ次回もお楽しみに…!
猫との生活を送る上での知識や、解決策のヒントがたっぷり詰まっていると思います。
「猫が幸せ、私も幸せ」な毎日の実現に、お力添えできますように…。
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猫のトレーニングとは
どんな効果があるの?
「猫もトレーニングできます」と聞いたら、何を想像しますか?
猫loveな皆様もよくご存じのように猫はとても頭のいい動物で、色々なことを教えることができます。
犬と同じようにちょっとかわいい「芸」を教えることもできますし、犬と同じように一緒に「アジリティー」という障害物を使った競技なども楽しめます。
「トレーニング」と聞くと、「しつけ」の一環で「おすわり」とか「つけ」などのコマンド(号令)を教えて、言うことを聞かせて主従関係を決めるものだ、とお考えの方もいらっしゃるかもしれませんが、しつけやトレーニングはそんな主従関係をつけるために行うものではありません。
トレーニングをしていろいろなことを教えることで、
①猫とコミュニケーションが取れるようになる
②猫の気持ちを理解することができるようになる
③猫が緊張したりストレスを感じているときにその気持ちをリラックスさせてあげることができる
色々な面でとっても役に立ちます。ちなみに犬のトレーニングも全く一緒で、これは犬とコミュニケーションを取るための技術であって、犬と主従関係を作るものではありません。
犬と人との関係は主従関係ではないので、そもそも「しつけは主従関係をしっかりするためのもの」というコンセプト自体がとってもとっても古い、もう化石になって、今は存在しない考えなのですが。。。
どのようにトレーニングするの?
猫のトレーニングでは一体何を教えられて、どう教えるのか、ですが、猫の大好きな報酬を使ってこちらが求める行動を1歩1歩、教えていきます。「おすわり」「おいで」などの基本的な動作はすでに教えていらっしゃる方は多いと思います。
さらにかわいいしぐさとして、我が家の猫には「鼻タッチ」という技を教えています。
指先を猫に見せると自然によってきて鼻先を指にタッチするので、そのときに「いい子」と言ってからおやつを与えます(通常のドライフードを我が家は与えています)。
それを繰り返すと、指を見せるだけですぐに鼻先を寄せてくるので、その瞬間に「タッチ」と言います。
あとは鼻先を指につけたら、「いい子」→おやつです。
繰り返すと、私が「タッチ」というと指に向かってきてくれます。
そこまでならかわいい技ですが、そのあとはこの技を必要な時に使います。
例えば、うちの猫は、我が家の犬が苦手なので、通常はお互いに違う部屋ですごさせています。
犬がリビングにくるときは、猫は寝室に移動させるのですが、移動させたいときに、「タッチ」で指先を追わせて、そのまま寝室に誘導し、寝室でおやつや知育トイを与えて、部屋のドアを閉めると嬉々として寝室に入り、そのまま納得してしばらくいてくれます。
その間犬がリビングで暴れ放題できます。
こんな感じにトレーニングという技術を使って猫に、私が何をしてほしいかを伝えられるので、コミュニケーションが取れます。
家の平和も保てます。
猫が「今そのような気分ではない」という時は動かなかったり、指に来なかったりするので、こちらは猫が何か訴えているな、何か問題がありそうだな、ということがわかります。
犬がリビングにいる時間帯を変えたり工夫もできます。
このトレーニングの技術を使ってかわいい芸をいくつか教えておくと、猫が緊張したときに、その芸をあえてさせてみることによって緊張を解いたり、緊張具合を見たりすることができます。
他にも、動物病院で、診察台が苦手な猫に「おすわり」「ハイタッチ」と特異な技をさせてみることで、猫が診察室でもただ恐怖に感じているのではなく、知っている言葉を聞いて我に返って技を披露しつつ、猫にも自信が戻るので落ち着くことが出来たりもします。
また大得意な技で、大好きなおやつがそのあと来るのに、その技をやれないときは「かなり緊張していて、今余裕が全くありません」という気持ちの表れであることがわかるので無理強いをさせないで済みます。
あるいは時間をおいて再度試そうかな、と考えてあげることもできます。
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いかがでしたか?
「猫のトレーニング」第1回目は、猫のトレーニングの効果、トレーニングの方法をお届けしました。
次回は、トレーニングの技術を用いた「ハズバンドリートレーニング」、についてご紹介します。
お楽しみに…!
入交眞巳先生 プロフィール
どうぶつの総合病院 行動診療科 主任(獣医師・獣医学博士)
米国獣医行動学専門医(ACVB)、学術博士
東京農工大学 動物医療センター 特任講師
著書:猫が幸せならばそれでいい:猫好き獣医さんが猫目線で考えた「愛猫バイブル」