春先は「花粉症」のシーズン。花粉症はいきなりデビューが始まりますよね。去年はなんともなかったのに、今年は目が痒くて鼻水が止まらない……。病院で診断されて初めてわかった、という人は多いのでは?
花粉症に似たアレルギーの病気に「猫アレルギー」があります。花粉症かと思って病院で調べたら「猫アレルギー」って言われた、という友人から、「猫アレルギーになったら愛猫と暮らせなくなるよね?」とかなり心配して相談されましたが、これはどうなのでしょうか?
ネットで調べると、猫アレルギーに関する話がたくさん掲載されていますが回答は様々。今回は猫の専門雑誌に載っていた日本アレルギー研究所副所長の十字文子先生の話を参考に、「猫アレルギーの噂の真実」について調べてみました。
■猫アレルギーって突然なるの?
人間の体には有害な物質が体内に侵入してきたときにそれを排除する機能が備わっています。花粉や食物など一定の物質に反応することをアレルゲンと言いますが、これには許容範囲があり、この範囲量を超えた時点で発症します。
猫アレルギーも同様です。アレルギーは年齢、性別に関係なく発症するので、猫を飼い始めてしばらくたってから急に発症することもあるそうです。
■猫アレルギーになりやすい人とは?
何らかのアレルゲンが体内に入ったときにアレルギー症状が起こりやすい人は、猫アレルギーにもなりやすい傾向があると言います。
いわゆる「アレルギー体質」は遺伝が関係しています。アメリカの研究結果によれば、両親ともにアレルギーがない場合はその子供のアレルギー発症率はおよそ10%でしたが、両親のどちらかがアレルギー体質だった場合、子供の発症率は70%になることがわかっています。
■猫アレルギーはどうやってわかるの?
猫アレルギーかどうかは血液検査で調べられます。1回の採血で10種類以上のアレルゲンの有無が調べられますから、花粉症の検査と同時に猫アレルギーかどうかもわかるでしょう。
検査の結果が出るまで数日かかります。検査を受けたい場合は呼吸器内科かアレルギー科を受診してください。症状に応じて内科や耳鼻咽喉科、皮膚科を受診しても大丈夫です。必ず医師に猫の飼育歴を伝えて検査をしてもらってください。
■猫アレルギーになったら愛猫と暮らせないの?
アレルギー症状を断つにはアレルゲンの元を断つのが一番ですが、アレルギーになったから猫と暮らせないということはありません。
対症療法で症状を緩和することもできますし、暮らし方に気をつければ猫と暮らすことは可能です。猫アレルギーになったからと安易に猫を手放すことはおすすめではありません。
■猫アレルギーになったら二度と治らないの?
100%猫アレルギーを完治させる薬は今の所まだ公表されていないようです。ただ人の舌の裏に脱脂綿などに含んだ猫のアレルゲンのエキスを数分間入れて体質改善を行う「舌下減感作療法」と呼ばれる臨床試験などにより、猫アレルギーを完治するための研究は行われています。
しかし投薬や生活環境の工夫、体質改善など、時間をかけて治療すれば猫アレルギーも症状によっては全くでなくなることもあるそうです。
また猫アレルギーに限らず、アレルギーは加齢により体質が変わると症状が出なくなることもあります。
■猫と暮らした赤ちゃんは猫アレルギーになりにくい?
赤ちゃんの頃から猫と一緒に暮らして入れば、むしろ免疫ができて猫アレルギーになりにくい、という説があるのは確かです。
アメリカでは「1歳まで犬や猫を2匹以上飼っている家庭で育った子供が小学校入学時までにアレルギー疾患にかかる確率は飼っていない子供の半分だった」という調査報告も。
スウェーデンでも幼い頃から動物と暮らすことでアレルギーにかかる子供の数が減った、という研究報告もあります。
ただ、両親がアレルギー体質の場合は遺伝することがあるので一概には言えないようです。
■最後に
いかがですか。もし突然「猫アレルギー」と診断されたら。もう猫と暮らせない!と悲観的にならなくても大丈夫です。飼い主さんにとって、愛猫と離れることは精神的に大きなストレスになるはず。そのストレスの方がアレルギー症状を悪化させる場合もあります。
適切な治療を受け、掃除や換気で身の回りのアレルゲンを減らすように心がけて、いつまでも愛猫と楽しく暮らせる工夫をしてくださいね。