「ペットへの治療は麻酔が怖いから避妊はさせないの」
と言っていた猫の飼い主さんがいました。気持ちはよくわかります。でも手術を伴う治療の場合は、麻酔は避けて通れない医療ですよね。
人間に比べて体も小さく、痛みや苦痛を訴えられないペットにとって、麻酔治療や鎮痛剤投与は欠かせません。そして、そのことに不安を感じている飼い主さんは多いようですね。
今回は、麻酔に関する飼い主さんの素朴な疑問を集めてみました。
■麻酔薬や鎮痛剤の副作用が心配です。
一般に麻酔薬の副作用として、腎臓や肝臓の損傷と脳や心臓への影響が考えられます。しかし猫に使用する麻酔薬は作用時間が短いので副作用はほとんどないと言えるでしょう。
それでも念のため、現在では数種類の麻酔薬と鎮痛剤を少量ずつ併用して、それぞれの薬が持つ副作用を軽減させる方法がとられているそうです。
■去勢・避妊手術の麻酔は本当に安全なの?
猫の避妊去勢手術は、生後半年を過ぎたあたりから可能になります。若い猫に去勢・避妊手術をする場合、麻酔による事故が起こる可能性はかなり低いと考えて良いでしょう。
シニアの猫になると持病や体力の問題が出てきますから、避妊去勢をさせる場合は獣医師の先生とよく相談してからの方が安心です。
■全身麻酔より局所麻酔の方が安心なの?
確かに局所麻酔の方が麻酔薬の量が少ないので副作用の点ではメリットがあるとは言えますが、一概に安全とは言えません。
なぜなら局所麻酔は猫の意識があるまま行いますから、猫への恐怖や精神的ストレスはかなりかかると思われます。
手術中に猫が恐怖で暴れて手術が失敗する可能性も高くなります。猫への精神的ストレスまで考えると、猫の治療は全身麻酔の方が安心安全と言えるのではないでしょうか。
いかがですか。愛猫への治療は飼い主さんも辛いですよね。少しでも痛みを軽減してあげたいけど副作用が心配、という気持ちはとてもよくわかります。
しかし欧米では動物病院にも人の治療同様に麻酔科があり、麻酔専門医が手術時の麻酔管理をしているそうです。
日本ではまだ動物治療の麻酔専門医師は少ないものの、大学の動物病院を中心に麻酔科を設置する動きも出ているとか。
将来的には、欧米並みに動物病院に専門の麻酔医師が配属されることが多くなるのではないでしょうか。
麻酔治療で気をつけることは、治療後に与えられる鎮痛剤は用法と時間をきちんと守って猫に与えることです。
猫が痛がるからと勝手に1回あたりの薬の量を増やしたりすると、猫の体に負担をかける可能性があります。
麻酔を伴う治療は猫へのストレスも相当なはず。先生の処方を守って、家でゆっくりと看護してあげてくださいね。