猫は単独で生活する動物です。とはいえ、仲間とくっついて寝たり、じゃれたりもします。しかしある研究者によると、
「非常に不思議なことに、多くの猫は、仲間の猫たちとは決して築けないような、暖かくかつ快活、そして愛情の込もった関係を人間とも間に形成していく」(キャッツ・マインド 八坂書房)
と言います。確かに飼い猫の多くは飼い主と深い信頼関係を築きます。毎日飼い主にじゃれつき、膝に乗ったりしますよね。(しない猫もいますが)
犬が人間に甘えるのは、犬は群れで行動する動物なので、人間をリーダーだと思っているからだと言いますが、猫の場合はマイペースな動物ですから、人間との生活はギブアンドテイク。
猫は自分にメリットがあるから人間と一緒に生活している動物です。猫と人間の暮らしはおよそ4000年もの歴史がありますが、猫は家畜化の影響が最も少ない動物だと言います。未だに祖先のヤマネコの持つ野性味を残しており、人間がいなくてもすぐに野生に戻って生活できると言われています。
チワワやプードルなど、人間によって品種改良され続けた犬は、おそらく人間がいなければ生きていけないでしょう。それに比べて猫はとても自然で人間と対等な関係を築いています。
そんなクールな猫が、どうして仲間には見せない愛情を人間に向けるのか?膝に乗ってリラックスするのか?よく考えるととても不思議ですよね。
今回は、そんな「猫は仲間よりも人間の方が好きかも?」という理由を検証してみました。
■人間に触れられると早く成長する?
1950年代、動物の性格の発達とハンドリング(人に触れられること)の影響との関係が研究されるようになりました。
その結果、人間に触れられた動物の方が、中枢神経系の発達と成熟が促進することがわかったのです。
人に触れられた経験を持つ動物は、体も早く成長し、情緒的ストレスに対しても耐性が強かったとか。
人の手に触れられて育ったシャムの子猫は、全く触ってもらえなかった兄弟たちよりも早く目が開き、外へ出ていくのも数日早かったそうです。
■子猫時代の生活が大切
1970年代の研究では、出生直後から離乳する時期まで、子猫に人間がそっと話しかけることを繰り返すと、その人間に対して子猫がより強い関心を抱き、授乳中の母猫から離れて近づいてきたり、友好的なそぶりを見せたそうです。
■猫にとって人間は理想的な仲間
猫の観察者として定評のあるパウル・ライハウゼンによると、猫にとって、人間は「競争」の対象になり得ないために、実は理想的な仲間だと言います。
猫は単独捕食動物ですから、獲物を仲間に取られたり、繁殖の邪魔をされたりします。まさしく「猫の敵は猫」という関係ですが、人間はひたすら優しく猫を扱い、ご飯やあたたかな寝床を提供します。
猫が人間の膝に乗るのは、「愛情と安心感」を持っているからだ、と言われています。なんだか嬉しいですね。