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毎日「緑の葉物野菜」1カップの摂取が心臓病死亡リスクを劇的に下げる


オーストラリアのエディス・コーワン大学の研究によれば、毎日1カップの緑の葉物野菜を食べることで、心臓病による死亡リスクが大幅に減少する可能性があります。この研究は、『European Journal of Nutrition』誌に発表されました。心血管疾患の予防において、ビタミンK1の摂取が重要であるとされ、特に高齢女性においてアテローム性動脈硬化症(ASVD)の死亡率が43%低下することが示されました。ビタミンK1は、ホウレンソウやケール、ブロッコリーなどに多く含まれ、日常的に摂取することで動脈硬化の進行を抑制する効果が期待されます。ただし、この研究の対象は主に女性であったため、男性や若者に同様の効果があるかどうかはさらに研究が必要です。

健康を意識してホウレンソウやブロッコリーなどの緑の葉物野菜を意識的に食べている人は少なくないでしょう。

とはいえ、どれほどの効果があるのか、毎日続ける意味があるのか疑問に思っている方もいるかもしれません。

そんな中、オーストラリアのエディス・コーワン大学(ECU)の研究チームが「緑の野菜を毎日1カップ食べる」ことで、心臓病による死亡リスクを大幅に減らす可能性があることを明らかにしました。

この研究成果は、2025年5月3日付の『European Journal of Nutrition』誌に掲載されました。

目次

  • 多くの人の命を奪ってきた「アテローム性動脈硬化症」――予防のカギはビタミンK1?
  • ビタミンK1を十分に摂取している高齢女性はASVDの死亡率が43%も低かった

多くの人の命を奪ってきた「アテローム性動脈硬化症」――予防のカギはビタミンK1?

世界中で最も多くの命を奪っている病気、それが心血管疾患(CVD)です。

中でも、心筋梗塞や脳卒中を引き起こす「アテローム性動脈硬化症(ASVD)」は、先進国において最も多い死因の1つとして知られています。

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アテローム性動脈硬化症(ASVD)では、血管の内側にプラークが沈着し、血流が妨げられる / Credit:Canva

この疾患は、動脈の内側に脂質やカルシウムが沈着してできる「プラーク」が蓄積し、血管が狭くなって血流が妨げられることで生じます。

そしてASVDの危険性は、年齢や生活習慣、性別によっても大きく変化します。

特に高齢女性は、閉経によって心臓を保護する女性ホルモンの分泌が減少するため、ASVDのリスクが一気に高まります。

では、ASVDを予防する方法はあるのでしょうか。

近年では、ビタミンK1の摂取が注目されています。

ビタミンK1は、ホウレンソウやケール、ブロッコリーなどの緑の野菜に豊富に含まれ、体内では血液の凝固に加え、血管の石灰化(カルシウムの沈着)を防ぐ働きがあると考えられています。

このメカニズムには、ビタミンK依存性タンパク質が関与しており、これがビタミンKの摂取によって活性化されることで血管内にカルシウムが蓄積するのを防ぎます。

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緑の葉物野菜に多く含まれるビタミンK1がASVDの予防に役立つかも / Credit:Canva

そこで研究チームは「食生活、特にビタミンK1の摂取が高齢女性のASVDの発症や進行にどう影響するのか」を検討するため、長期にわたる観察研究を実施しました。

研究では、平均75歳のオーストラリア人女性1436人を対象としました。

彼女たちの食生活は、信頼性の高い食物摂取頻度質問票(FFQ)によって詳細に記録され、1日あたりのビタミンK1摂取量が算出されました。

そして約14.5年間にわたり、頸動脈の厚さ(動脈硬化の進行指標)や、心筋梗塞・脳卒中などの重大な心血管イベント、さらにはASVDによる入院・死亡リスクなどを、西オーストラリア州の医療記録と死亡記録を用いて追跡しました。

では、ビタミンKの摂取とASVDにはどんな関係があったでしょうか。

ビタミンK1を十分に摂取している高齢女性はASVDの死亡率が43%も低かった

調査の結果、1日あたりのビタミンK1摂取量が最も多かったグループ(中央値119μg/日)は、最も少なかったグループ(49μg/日)に比べて、頸動脈の厚さが約5.6%薄く、動脈硬化の初期段階が抑制されていました。

また、追跡期間中のASVDによる死亡率は、ビタミンK1摂取量が多いグループで43%も低下していました。

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ビタミンK1を多く摂取する高齢女性では、ASVDによる死亡リスクが劇的に下がっていた / Credit:Canva

研究チームは次のように述べています。

この研究では、オーストラリアの食事ガイドラインで現在推奨されている量より、約30%多くビタミンK1を摂取した女性は、ASVDの長期リスクが低いと分かりました

では、ビタミンK1を日々どれくらい、どのように摂取すればよいのでしょうか?

実はそれほど難しくありません。

ビタミンK1の1日あたりの推奨摂取量は、 オーストラリアでは男性が70μg、女性が60μgとされています。

(ちなみにアメリカの推奨摂取量はアメリカでは男性が120μg、女性が90μg。日本は男女ともに150μg)

既に日本での推奨摂取量となっている150μgを目指せば、「オーストラリアの食事ガイドラインの推奨量の約30%増」を簡単にクリアできます。

そして、ビタミンK1は以下のように緑の葉物野菜に含まれています。

  • 生のケール1カップ:472μg
  • 生のホウレンソウ1カップ:145μg
  • 調理済みブロッコリー半カップ:110μg
  • 調理済み芽キャベツ半カップ:109μg

つまり、1日あたり「生の葉物野菜1カップ」または「茹で野菜の半カップ〜1カップ」程度を食べるだけで、十分なビタミンK1を摂取でき、心臓病による死亡リスクを大幅に低減させられる可能性があるのです。

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毎日の食事でしっかり「緑の葉物野菜」を食べよう / Credit:Canva

もちろん、今回の研究には限界もあります。

食事の内容は自己申告によるものであり、正確性に限界があります。

また、ビタミンK1のみが評価対象で、他の栄養素との比較は行われていません。

さらに、対象が主に白人の高齢女性であるため、若者や男性、他の人種にそのまま当てはまるかは不明です。

それでもこの研究は、簡単な食習慣の変更で命を守れる可能性を示す貴重な一歩といえるでしょう。

今日から緑の葉物野菜を1カップ食べて、健康な心臓を守っていくのはいかがでしょうか。

※ただし、持病のある方は医師と相談すべきです。

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参考文献

An extra cup of leafy greens each day reduces heart disease death risk
https://newatlas.com/health-wellbeing/vitamin-k1-daily-cardiovascular-disease-risk/

Leafy greens could be good for the heart
https://www.ecu.edu.au/newsroom/articles/research/leafy-greens-could-be-good-for-the-heart

元論文

Higher vitamin K1 intakes are associated with lower subclinical atherosclerosis and lower risk for atherosclerotic vascular disease-related outcomes in older women
https://doi.org/10.1007/s00394-025-03686-x

ライター

矢黒尚人: ロボットやドローンといった未来技術に強い関心あり。材料工学の観点から新しい可能性を探ることが好きです。趣味は筋トレで、日々のトレーニングを通じて心身のバランスを整えています。

編集者

ナゾロジー 編集部

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