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「もしあのとき、ああしていれば……」と”反事実的思考にとらわれる人”が実践すべき4つの対処法


「反事実的思考」とは、過去の出来事に対して「もしあの時こうしていれば」と別の展開を想像する思考パターンです。この思考に囚われると、後悔が行動力を奪い、抑うつ症状を引き起こすことがあります。トラバース氏によると、こうした思考から抜け出すためには、思考のスクリプトを書き換えることや、心の閉鎖儀式、現実の活動に集中することが効果的です。また、思考を否定せず観察することも重要です。これらの方法で過去への執着を減らし、今を生きる力を得ることができます。

「あのとき、ああしていれば…」と、いつまでも考えてしまいますか?

それは一見、自然な思考のように思えるかもしれませんが、実は心の健康を脅かす危険なサインかもしれません。

025年5月にアメリカの心理学者マーク・トラバース(Mark Travers)氏は、そうした「反事実的思考」が、私たちにどのような影響を与えるのか解説しています。

特に注目すべきは、「反事実的思考に囚われがちな人に共通する2つの傾向」です。

本記事では、反事実的思考とは何か、そしてそこから抜け出すための具体的な方法について解説していきます。

目次

  • 「あの時、ああしていれば……」反事実的思考と2つの傾向
  • 反事実的思考から抜け出すための実践的アプローチ

「あの時、ああしていれば……」反事実的思考と2つの傾向

「反事実的思考」とは何でしょうか?

これは、「もしあのとき、違う選択をしていたら…」と過去の出来事に対して別の展開を想像する思考パターンのことを指します。

トラバース氏は、この思考を繰り返すなら深刻な精神的影響をもたらす可能性があると警鐘を鳴らしています。

では、反事実的思考にとらわれている人には、どのような傾向があるのでしょうか?

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後悔で活動するエネルギーが失われていないだろうか / Credit:Canva

まず明らかな傾向として、「後悔が行動力を奪っている」ことが挙げられます。

この傾向は、反事実的思考の中でも「上向きの反事実的思考」と呼ばれるものに顕著です。

上向きの反事実的思考とは、「ああしていれば、状況がもっと良くなっていたかもしれない」と考えることです。

例えば、「もっと勉強していれば、今頃は夢の職業についていたのに」と何年も後悔し続けるケースが該当します。

当然ながら、こうした思考は現在の行動力さえも奪ってしまいます。

実際、13,000人以上を対象とした2017年のメタ分析によると、このような上向きの反事実的思考は、抑うつ症状と有意な関連性があるとわかっています。

つまり、過去の“あり得たかもしれない自分”に意識が奪われることで、今の自分を肯定できなくなっているのです。

そうなると、現実での行動エネルギーが枯渇し、文字通り「今を生きられなくなる」のです。

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「もしこうだったら」という空想に浸ることは、現実の世界をつまらないものに思わせる / Credit:Canva

もうひとつの傾向は、「空想することが現実感覚をゆがめる」というもの。

反事実的思考にとらわれる人は、いわば心の中にパラレルワールドを作り出し、その「自分にとって都合の良い空想世界」を楽しむ人のようです。

しかし、2018年の研究では、そのような種類の空想の傾向が精神的な苦痛をもたらしやすいことを示しています。

反事実的思考の人は、「過去のある段階で分岐した理想的なパラレルワールド」と「現実」を比較することで、現在の人生がつまらなく、意味のないものに感じてしまうのです

たとえば、「あの人と結婚していれば、きっと幸せな家庭が築けたはず」といった思考が続くと、今のパートナーや生活がまるで“失敗作”のように感じられるかもしれません。

では、もしこのような傾向が自分にあるとしたら、どうすれば良いでしょうか。

トラバース氏は、反事実的思考から抜け出すための方法も教えています。

反事実的思考から抜け出すための実践的アプローチ

では、反事実的思考がクセになっている人は、どうやってそこから抜け出せばいいのでしょうか?

トラバース氏は、次のような具体的対処法を提案しています。

① 思考のスクリプトを書き換える

「もしあのとき…」と考え始めたら、すかさず「今、何ができるか?」という問いに切り替えてみましょう。

後悔から何かを学ぶことは大切ですが、学んだことを「次の行動」に活かさなければ意味がありません。

例:「あの時、プレゼンをうまくできなかった…」 → 「次はどんな準備をすれば良いだろう?」

② 心の“閉鎖儀式”を行う

頭の中で同じ記憶が何度も再生されてしまうときは、それを書き出して明確に“終わらせる”行動が効果的です。

紙に「こうなっていたらよかったのに」という思いを全部書き、封筒に入れて引き出しにしまうのです。

このような物理的な“区切り”を与える儀式によって、脳が“その物語は終わった”と認識できるようになります。

③ 空想に入り込む“余白”を減らす

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反事実的思考に悩まされるなら、「今何ができるか」考え、何らかの活動に取り組むと良い / Credit:Canva

反事実的思考は、多くの場合「何もしていない時」に発動します。

もし反事実的思考におちいったなら、簡単な散歩や料理、小さな創作活動、友人との会話などを取り入れてみてください。

脳の空想回路が遮断され、現実に戻ってこられるはずです。

④ 思考を否定せず“観察”する

反事実的思考を完全に止めようとすると逆効果になることがあります。

その代わりに、「またこの考えが来たな」と気づき、そのまま静かに見送りましょう。

思考や感情と戦うのではなく“手放す”技術です。

ここまでで考慮した4つの方法を覚えておくなら、反事実的思考に対処できます。

もちろん、「あのとき、こうしていれば…」という思考に取り憑かれてしまうことは、誰にでもあります。

しかしその思考が、あなたの足を引っ張っていると気づいたなら、それは変化のサインです。

過去は変えられませんが、今この瞬間からの選択は、自分の手で形づくることができます。

パラレルワールドの“存在しない自分”を追いかける代わりに、“これからの現実の自分”を迎えに行きましょう。

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参考文献

2 Signs You’re Experiencing the Parallel Life Effect
https://www.psychologytoday.com/us/blog/social-instincts/202505/2-signs-youre-experiencing-the-parallel-life-effect

ライター

矢黒尚人: ロボットやドローンといった未来技術に強い関心あり。材料工学の観点から新しい可能性を探ることが好きです。趣味は筋トレで、日々のトレーニングを通じて心身のバランスを整えています。

編集者

ナゾロジー 編集部

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