starthome-logo 無料ゲーム
starthome-logo

ChatGPTに使う「〇〇」「△△」という言葉が実はOpenAI社の負担になっていた【優しい言葉は無駄なのか】


2025年4月17日、OpenAIのCEOサム・アルトマン氏は、AIに「please」や「thank you」といった丁寧な言葉が計算負担を増し、電力消費を大幅に増加させていることを示唆しました。この問題は、AIに対して人間と同様に礼儀正しくすることが、本当に必要なのかを問いかけています。事実、丁寧な言葉がAIの応答品質を向上させる可能性もありますが、電力や時間の無駄とする意見もあります。この二極化した意見の中、AIへの言葉の使用方法は議論の的となっています。多くの人が親切なコミュニケーションを重視していますが、今後AIが人間にさらに近づいていく中で、この議論は続くでしょう。

「ありがとう」「お願いします」という感謝や丁寧な言葉は、円滑な人間関係を構築する上で欠かせません。

では、相手がChatGPTだった場合は、どうでしょうか。

2025年4月17日、OpenAIのCEOサム・アルトマン氏はXにて、ChatGPTに投げかけられる「please」や「thank you」といった言葉が大きな損失を生んでいることを認めました。

私たちが無意識に使っている優しい言葉は、AIには不要で、ただ負担をかけているだけなのでしょうか。

目次

  • ChatGPTへの「ありがとう」「お願いします」は電力の浪費につながっている
  • AIへの丁寧な言葉遣いは「無駄」なのか

ChatGPTへの「ありがとう」「お願いします」は電力の浪費につながっている

ChatGPTには「使ってはいけない言葉がある」ってご存じでしたか?

過去の調査では、ChatGPTの世界にも”名前を言ってはいけないあの人”的な人名があることが分かっています。

幾人かの人名に対しては、ChatGPTで尋ねると、「応答を生成できません」とか「何か問題が発生したようです」とだけ答え、頑なに回答を拒否するのです。

ChatGPTを停止させる「言ってはいけない禁断の名前」

そして最近のXで話題になったことからすると、「使ってはいけない」とまではいかないにしても、「言っても無駄」という言葉は存在するかもしれません。

きっかけはXでのある投稿でした。

あるユーザーが次の投稿をしたのです。

人々がモデルに「お願いしますや「ありがとう」と言うことで、OpenAI はどれだけの電気代を失っているのだろうか。

ChatGPTは、入力された言葉のトーンや美徳性を認識し、対応を変えます。

優しい言葉が入ると、より礼儀正しく、細やかで優しい言葉を返す可能性が高くなるのです。

しかしこれが計算負担を増加させ、最終的には大型データセンターの電力消費を増大させるというわけです。

そしてこの投稿に対し、ChatGPTを開発したOpenAI社のCEOサム・アルトマン氏は、次のように返答しました。

数千万ドルが消費されているよ。わからないけど。

彼の冗談めいた口調からすると、正確な計算が行われたわけではないでしょう。

それでも、「CEOが『お願いします』『ありがとう』といった言葉が大きな損失を生み出していることを認めた」と、とらえることができます。

これは、伝統的な「言葉の優しさ」が、現代のAIにとっては現実的な負担となるという複雑な問題を投げかけています。

では、AIには言葉の優しさは不要なのでしょうか。

AIへの丁寧な言葉遣いは「無駄」なのか

アルトマン氏の投稿には多くの反応がありました。

「AIへの丁寧な言葉遣いは、電力と時間の無駄」という考えに同意する人もいます。

実際、研究者たちはプロンプトデザインに対する制限や、返答スタイルの細やかな制御を検討し始めています。

例えば、「余計な言葉を抜き、正確な指示だけを使う」という方式です。

一方で、仮に電力が余分に消費されるとしても、丁寧な言葉を使用すべきだと考える人も少なくありません。

画像
AIへの「ありがとう」は必要?それとも無駄? / Credit:Canva,ナゾロジー編集

2024年後半の調査では、67%の人が、チャットボットに対して親切な言葉を投げかけていると回答しました。

そして、その人たちのうち、55%は「それが正しいことだから」と述べ、12%は「AIの反乱に備えてアルゴリズムをなだめるためだ」と述べたそう。

後者の人々がどれだけ本気かは分かりませんが、多くの人は相手がたとえAIであっても、礼儀正しい言葉を使うことは「人として正しいこと」だと感じているようです。

こうした傾向に同調するように、Microsoft Copilotの設計チームディレクターであるカーティス・ビーバーズ氏は、「お願いします」という一言でプロンプトを書き始めることを勧めています。

またAIが応答したなら、感謝の気持ちを伝えるようにも勧めています。

そうすることで、AIが人間の丁寧な会話から学習し、応答の質を高めてくれるというのです。

とはいえ、現段階では、どちらの主張が正しいと結論を出すことはできないでしょう。

AIが私たちの生活に欠かせないものとなり、今後ますます人間に近づいていくことで、この議論はいっそう燃え上がっていくことでしょう。

全ての画像を見る

参考文献

Your politeness could be costly for OpenAI
https://techcrunch.com/2025/04/20/your-politeness-could-be-costly-for-openai/

Sam Altman Admits That Saying “Please”and “Thank You”to ChatGPT Is Wasting Millions of Dollars in Computing Power “You never know.”
https://futurism.com/altman-please-thanks-chatgpt

AI Etiquette: Why You Should Add a “Please”&“Thank You”
https://techsevenpartners.com/ai-etiquette-why-you-should-add-a-please-and-thank-you-when-using-ai/

ライター

大倉康弘: 得意なジャンルはテクノロジー系。機械構造・生物構造・社会構造など構造を把握するのが好き。科学的で不思議なおもちゃにも目がない。趣味は読書で、読み始めたら朝になってるタイプ。

編集者

ナゾロジー 編集部

    Loading...
    アクセスランキング
    game_banner
    Starthome

    StartHomeカテゴリー

    Copyright 2025
    ©KINGSOFT JAPAN INC. ALL RIGHTS RESERVED.