最強クラスの太陽フレアが観測されたようです。
2025年3月28日、アメリカ航空宇宙局(NASA)とアメリカ海洋大気庁(NOAA)が共同運営する気象衛星「GOES-16」が、太陽から放出された強力な太陽フレアを観測しました。
これにより、アメリカ全土と南米の広い範囲で一時、通信障害が起こる事態に発展したと報じられています。
今回の太陽フレアはどれほど強力なものだったのでしょうか?
目次
- 最強クラスの太陽フレアを観測、地球への影響は?
- そもそも「太陽フレア」ってなに?
最強クラスの太陽フレアを観測、地球への影響は?
報告によると、太陽フレアが観測されたのは2025年3月28日午前11時20分ころのこと。
太陽表面の黒点領域「AR4046」から、強力なX1.1クラスの太陽フレアが発生しました。
これは太陽が今年の2月以来に放出した最初のXクラスの太陽フレアとなります。
Xクラスとはどれくらいのレベルかといいますと、太陽フレアはその強さに応じてA・B・C・M・Xの5段階に分類されます。
それぞれ一段階ごとにエネルギー量が10倍になり、Xクラスは5つのうちの最強レベルです。
さらにX1.0、X2.0のように数値で細かく分類され、その強さに上限はありません。
今回の太陽フレアは「X1.1」とされています。
これにより放出されたX線や紫外線が光速で地球に到達し、北米・南米・大西洋を含む広範囲で無線通信に一時的な障害が発生しました。
観測された太陽フレアの様子はこちら。
A view of today’s X1 (R3) flare in GOES-16 imagery at the 304A wavelength (courtesy of jhelioviewer) shows the blast of solar material associated with the flare. The CME is likely directed not Earth-directed;however analyses continues to be sure of no flanking influences. pic.twitter.com/xggvYz3Pb0
— NOAA Space Weather Prediction Center (@NWSSWPC) March 28, 2025
この現象を観測したのは、NASAとNOAAが共同運用する人工衛星GOES-16。
フレア発生の瞬間を記録した映像は、まさに太陽表面から光の閃光が弾け飛ぶような迫力に満ちていました。
フレアの直後には、太陽の大気から大量のプラズマが放出される「コロナ質量放出(CME)」も確認されました。
ただし、今回は黒点が東の縁に位置していたため、コロナ質量放出が地球にもたらす直接的な影響はないと考えられています。
とはいえ、この黒点AR4046は今後、太陽の自転により地球の正面に回ってくる見込みです。
そのため、今後数日の間に再びフレアやCMEが発生すれば、今度は地球が真正面から影響を受ける可能性もあります。
そもそも「太陽フレア」ってなに?
太陽フレアとは、太陽の表面で突発的に発生する爆発現象のことです。
原因は、太陽表面に存在する黒点周辺の磁場と密接に関係しており、この磁場に蓄えられた大量のエネルギーが解放されることで発生します。
このとき放出されるのは、X線や紫外線、可視光線、そして高エネルギーの粒子などなど。
まるで太陽が「咳き込む」ように、宇宙空間へ向けて強烈な放射線をまき散らすのです。

この放射線が地球に向かって届くと、電離層と呼ばれる上空の大気層が影響を受けます。
特に高度60kmから90kmに存在する電離層のD層が影響を受けると、短波ラジオなどの高周波通信が遮断されるのです。
宇宙から届く放射線が、なぜ地上の通信にまで影響するのか。
それは電離層が通常は電波を反射し、地球を回り込むようにして通信を成立させているからです。
しかし太陽フレアの強力なX線や紫外線がD層を過度に電離させると、電波が電子との衝突によって吸収され、通信が著しく劣化したり完全に途絶えたりしてしまうのです。
特に航空機の通信や航行システムはこの高周波に依存しているため、太陽フレアが激しいと航空業界にも大きな影響が及びます。
私たちは普段、太陽を「明るくて暖かい存在」として捉えていますが、その裏には地球環境に激しい影響を与える力を秘めています。
今回のフレアは、その宇宙のダイナミズムを垣間見せてくれた出来事でした。
参考文献
Powerful X-class solar flare caught on camera erupting from sun’s surface
https://www.livescience.com/space/the-sun/powerful-x-class-solar-flare-caught-on-camera-erupting-from-suns-surface
Surprise X-class solar flare from emerging sunspot triggers radio blackouts across the Americas
https://www.space.com/surprise-x-class-solar-flare-triggers-radio-blackouts-americas
ライター
千野 真吾: 生物学出身のWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。
編集者
ナゾロジー 編集部