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「翼竜の骨」に秘められた特殊構造が明らかに!軽くて丈夫な航空機開発に役立つ!


マンチェスター大学の研究チームによると、翼竜の骨の内部構造は軽量かつ丈夫であり、現代の航空技術に応用可能な特性を持つことが判明しました。翼竜は、その巨大な体を空中に保つために、軽量でありながら高強度を持つ骨の構造を進化させました。CTスキャンと3Dモデリングを用いた調査により、骨の内部には微細な管のネットワークが存在し、これが骨の成長と強度維持に寄与していることがわかりました。この発見は、超軽量航空機の設計や、宇宙環境に耐える宇宙船、そして燃費効率の良いドローンの開発において革新をもたらす可能性があります。研究者たちは、絶滅した翼竜の構造が現代技術に活かされる日が来るかもしれないと期待を寄せています。

空を自在に飛び回っていた翼竜は、恐竜時代の空の王者でした。

マンチェスター大学(University of Manchester)の研究チームが、翼竜の骨の内部構造を詳細に分析したところ、「軽量でありながら高い強度を持つ特徴」が、現代の航空技術にも応用できると分かりました。

未来の飛行機設計やドローン技術の進化につながる可能性があるとして注目されています。

この研究は2024年2月11日にマンチェスター大学の『プレスリリース』にて発表されました。

目次

  • なぜ巨大な翼竜が空を飛べるのはなぜ?
  • 翼竜の骨の分析により、「軽くて頑丈」な理由が判明!現代の航空技術に生かせるかも

なぜ巨大な翼竜が空を飛べるのはなぜ?

翼竜は2億3500万年前から前から6600万年前に存在していた巨大な空を飛ぶ爬虫類です。

その中には、翼を広げると10メートル以上に達する種も存在しました。

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翼竜「ケツァルコアトルス」1属2種とヒトの大きさ比較 / Credit:Wikipedia Commons

言うまでもなく、そこまで巨大な体で飛行するためには、体重を軽く保つ必要がありました。

そしてその秘密は、翼竜の骨の特異な構造にありました。

これまでの研究によると、翼竜の骨は鳥類と似ていて、内部が空洞になっていることが分かっています。

しかし、分厚い革のような翼の膜の重量に耐えるには、単に軽いだけでなく、丈夫な骨である必要があります。

では、翼竜の骨はどのようにしてこの2つの条件をクリアしていたのでしょうか。

今回、マンチェスター大学の研究チームは、その秘密を暴くために、最新のCTスキャン技術を用いて翼竜の化石を高解像度で解析しました。

その後、3Dモデリングとコンピューターシミュレーションを駆使し、負荷がかかった際の強度や柔軟性を詳しく調査しました。

翼竜の骨の分析により、「軽くて頑丈」な理由が判明!現代の航空技術に生かせるかも

分析の結果、翼竜の骨の内部に「微細な管のネットワーク構造」があると分かりました。

「人間の髪の毛の幅の約20分の1」の幅の小さな管が、画像のように張り巡らされていたのです。

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翼竜の骨には「微細な管のネットワーク構造」が隠されていた!骨の成長・維持に役立ち、骨折を防ぐ / Credit:University of Manchester

これらの構造は、骨組織全体に栄養素を伝達し、骨の成長を促進・維持する役割を担っていたと考えられます。

そして、この微細構造は、骨に亀裂が入る時、その亀裂が奥深くまで走るのを防ぐ効果もあったようです。

骨の表面に小さな亀裂が生じても、この微細構造が亀裂の進行を逸らし、亀裂が最初の方で止まるようになっているのです。

小さな亀裂は比較的早く治癒するため、骨が折れてしまうような大ごとには至りません。

この研究成果は、将来的にさまざまな分野で活用される可能性があります。

例えば、超軽量の航空機を設計することで燃費効率が向上し、CO2排出量の削減につながるかもしれません。

また、軽量でありながら強度を保つことで、宇宙空間での負荷に耐えうる宇宙船の開発にも貢献するでしょう。

さらに、長時間飛行が可能なドローンの開発にも活かされることが期待されています。

研究者は、「これまでに生きてきたすべての種のうちほとんどが絶滅していますが、その多くは『設計ミス』ではなく、急速な環境変化が原因でした」と述べています。

絶滅した翼竜であっても、現代の技術に生かせる可能性は十分にあるのです。

数千万年前に空を飛んでいた翼竜が、21世紀の航空技術を飛躍的に進化させる日が訪れるかもしれません。

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参考文献

Ancient pterosaur bones could inspire the future of aerospace engineering
https://www.manchester.ac.uk/about/news/ancient-pterosaur-bones-could-inspire-the-future-of-aerospace-engineering/

New analysis of pterosaur bones may bring us lighter, stronger aircraft
https://newatlas.com/science/pterosaur-bones-lighter-stronger-aircraft-materials/

ライター

大倉康弘: 得意なジャンルはテクノロジー系。機械構造・生物構造・社会構造など構造を把握するのが好き。科学的で不思議なおもちゃにも目がない。趣味は読書で、読み始めたら朝になってるタイプ。

編集者

ナゾロジー 編集部

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