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「不規則な生活」そのものが太りやすくする!メカニズムが明らかに


日本大学の研究チームは、体内時計が乱れると脂肪がたまりやすくなるメカニズムを具体的に解明しました。研究によると、不規則な生活は体内時計の機能を低下させ、脂肪細胞から「FGF21」というホルモンの分泌を増加させます。このFGF21は、インスリン感受性を高め、脂肪細胞が通常よりも多くの糖を吸収し、脂肪として蓄積することにつながります。さらに、インスリンは脂肪の分解を抑制するため、燃焼が難しくなり、結果として肥満を引き起こしやすくなることが分かりました。この発見は、夜型生活者やシフトワーカーが肥満になりやすい理由を科学的に説明するものであり、肥満予防のための新しい視点を提供します。

「夜遅くまで起きていると太る」とよく言われます。でも、それは本当に科学的に証明されたことなのでしょうか。

日本大学の榛葉繁紀氏ら研究チームが、不規則な生活が脂肪をため込みやすくする仕組みを解明しました。

この研究では、体のリズムを調整する「体内時計」が、脂肪細胞の働きにどのような影響を与えるかを詳しく調べています。

その結果、体内時計が乱れると、脂肪細胞のインスリン感受性が強くなりすぎて、脂肪がたまりやすくなることが分かったのです。

この発見は、夜型生活を送る人が太るメカニズムを説明するものであり、将来的には肥満の予防や治療につながるかもしれません。

研究の詳細は、2025年2月3日付の『npj Biological Timing and Sleep』誌に掲載されました。

目次

  • 「夜更かし」「不規則な生活」で太るのはなぜ?
  • 体内時計の乱れがマウスを太りやすくしていた!メカニズムを解明

「夜更かし」「不規則な生活」で太るのはなぜ?

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「夜更かし」「不規則な生活」で太るのはなぜ? / Credit:Canva

不規則な生活をしていると太る」とよく言われます。

そしてこれは、体の仕組みと関係していることが分かっています。

私たちの体には「体内時計」と呼ばれるリズムがあり、これは睡眠だけでなく、ホルモンの分泌やエネルギーの使い方にも影響を与えます。

しかし、夜更かしを続けると、この正しいリズムが崩れ、エネルギーの使い方が変わってしまいます。

これまでの研究でも、夜型の生活を送る人は肥満や糖尿病のリスクが高いことが報告されています。

でも、なぜ体内時計が乱れると太るのか、その詳しい仕組みは分かっていませんでした。

そこで、日本大学の研究チームは、体内時計が脂肪細胞にどんな影響を与えるのか を詳しく調べることにしました。

彼らは、脂肪細胞の体内時計が働かなくなったマウス を作り、普通のマウスと比べました。

この研究では、それらマウスにおいて、脂肪細胞の大きさ、インスリンの働き方の変化、脂肪の分解や燃焼の具合を調査しています。

体内時計の乱れがマウスを太りやすくしていた!メカニズムを解明

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脂肪細胞の比較。(左)通常のマウス、(右)体内時計が乱れたマウス / Credit:榛葉繁紀(日本大学)_健康衛生学研究室の榛葉繁紀教授を中心とする研究グループが、不規則な生活により太るメカニズムを解明しました(2025)

観察の結果、体内時計が乱れたマウスでは、脂肪細胞が通常の2倍ほど大きくなることが分かりました。

また、このマウスでは、脂肪細胞のインスリン感受性が高く、脂肪をどんどんため込んでしまう ことも確認されました。

インスリンは血糖値を下げる働きがありますが、同時に脂肪を蓄える働きも持っています。

そのためインスリン感受性が高いと、脂肪細胞が血液中の糖を通常よりも多く取り込み、脂肪として蓄えるため、脂肪細胞が大きくなってしまうのです。

さらに、インスリンは脂肪の分解を抑える作用もあるため、余分な脂肪が燃焼されにくくなり、これも体脂肪の増加に繋がります。

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体内時計が乱れたマウスは脂肪細胞のインスリン感受性が高くなり、太りやすくなる。人間も!? / Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部

では、どうして体内時計が乱れたマウスではインスリン感受性が高くなっていたのでしょうか。

研究チームが調べたところ、このマウスでは、脂肪細胞から「FGF21」というインスリン感受性を高めるホルモンが大量に分泌されていることも分かりました。

「FGF21」の増加が、インスリン感受性の増加に関わっていたのです。

そうなると次に気になるのは、「FGF21」と不規則な生活との関係性です。

研究チームがこの点も調査したところ、FGF21の量は、体内時計によってコントロールされており、体内時計の機能が低下することでFGF21が増加すると分かりました。

つまり今回の研究は、「不規則な生活によって太る」という次のメカニズムを解明したことになります。

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不規則な生活で太るメカニズム / Credit:榛葉繁紀(日本大学)_健康衛生学研究室の榛葉繁紀教授を中心とする研究グループが、不規則な生活により太るメカニズムを解明しました(2025)

①不規則な生活によって体内時計の機能が低下、②脂肪細胞からFGF21の分泌量が増加、③脂肪細胞のインスリン感受性が増加、④脂肪細胞の肥大化(肥満)

この発見は、夜型生活やシフトワークをしている人がなぜ太りやすいのかを科学的に説明するものであり、肥満予防のヒントになるかもしれません。

今回はマウスによる実験でしたが、私たち人間も、規則正しい生活をすることで、脂肪がたまりにくい体を作ることができるかもしれません。

体型を気にしているなら、「体内時計」を意識した生活を始めるのも良さそうです。

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参考文献

健康衛生学研究室の榛葉繁紀教授を中心とする研究グループが、不規則な生活により太るメカニズムを解明しました
https://www.pha.nihon-u.ac.jp/education-info/20250205/

元論文

Deletion of Arntl, a component of the molecular clock, in adipocytes leads to cellular hypertrophy by increasing insulin sensitivity via FGF21
https://doi.org/10.1038/s44323-025-00023-7

ライター

大倉康弘: 得意なジャンルはテクノロジー系。機械構造・生物構造・社会構造など構造を把握するのが好き。科学的で不思議なおもちゃにも目がない。趣味は読書で、読み始めたら朝になってるタイプ。

編集者

ナゾロジー 編集部

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