小型ドローンといえば、一般人でも気軽にアプローチできる便利な技術として近年広まっています。
多くの人が、動画撮影、農業、警備、被災地調査などのために用いてきたのです。
一方で、このようなドローンが「戦争のための便利な道具」として利用され始めています。
最近、アメリカの軍事企業「Anduril Industries」が発表した新しいドローンは、まさに戦争の在り方が変わることを示唆しています。
彼らが公開した動画では、爆弾ドローンとなった「Bolt-M」が、敵軍の車めがけて急降下し、強力な爆撃を加える様子が映し出されています。
目次
- 戦争用ドローン「ボルト」
- 爆弾ドローン「ボルトM」が兵士や車両をピンポイントに攻撃する
戦争用ドローン「ボルト」
Anduril Industries社は、新しいドローン「ボルト(Bolt)」を開発・発表しました。
これは趣味や一般的な仕事に用いられるものではありません。
戦争に特化した小型ドローンです。
このボルトは、情報収集、監視、偵察、捜索救助を目的に開発されており、オペレーターの操作によって戦場を飛行します。
実際、ロシアとウクライナの戦争が示すように、現代の戦争には多くのドローンが使用されており、戦局を優位に導くためにはドローンを上手く利用することが必須になっています。
そのような需要を満たすドローン「ボルト」は、重量2.4kgでバックパックにすっぽりと収まるサイズです。
どんな場所でも5分以内に簡単に展開できるため、兵士たちが持ち運ぶのに向いています。
また飛行時間は45分と長く、20kmもの距離を飛行できます。
さらに基本的な手動操作とは別に、搭載されたAIによる自律機能を備えており、遮蔽物があったとしてもターゲットを追尾することが可能です。
そのためボルトを上手く利用するなら、味方の兵士を危険にさらすことなく、戦場を把握できるようです。
そして、このドローンを攻撃に利用したモデルが、「ボルトM(Bolt-M)」です。
Anduril Industries社が公開したボルトMによるデモンストレーションは、見る人に「新たな戦争の始まり」を感じさせるほど、恐ろしいものです。
爆弾ドローン「ボルトM」が兵士や車両をピンポイントに攻撃する
Anduril Industries社が発表したもう1つのモデル「ボルトM(Bolt-M)」は、機体としてはボルトMとほぼ同一です。
ただし、最大3ポンド(約1.4kg)の弾薬を抱えることができ、敵の兵士や車両などを攻撃することができます。
つまり爆弾ドローンとして敵に突撃し、オペレーターはリスクを冒すことなく正確に攻撃することができるのです。
公開されている動画は、その恐ろしさを示しています。
ターゲットをロックオンしたボルトMは上空から急降下。
敵車両の上で弾薬を爆発させ、ボルトMの機体もろとも砕け散りました。
そして爆発と同時に無数の破片が車両へと降り注ぎ、ターゲットは大破します。
たった1機の小型ドローンにこれほどの攻撃が可能であること考えると、これらを大量に用いた戦争は、これまでとは様々な点で異なってくるでしょう。
通常のドローンより重量が増加したボルトMですが、それでも40分間の飛行が可能であり、かなり遠距離からの攻撃も可能なようです。
しかもオペレーターは、コントローラーに表示される「どこを見るか」「何を追跡するか」「どのように戦うか」「いつ攻撃するか」といった簡単な指示だけで、ドローンを誘導・操作できるという。
そして一度ターゲットが選択されると、仮にオペレーターとの接続が失われた場合でも、攻撃角度などの設定に応じて、あとはAIが攻撃を行えるようです。
戦争において、兵士が前線へと戦いに出る時代は終わりつつあるのかもしれません。
これからは、「ドローンでどのように攻撃するか」「敵のドローンをどのように迎撃するか」といった点が戦況を掌握するためのカギとなりそうです。
いずれにせよ、戦争はドローンがピンポイントかつ正確に人や物を狙って攻撃するという恐ろしい時代に突入しました。
参考文献
Anduril’s new drones are nothing like DJI
https://newatlas.com/military/anduril-bolt-boltm-drone-lattice-ai/
Anduril Unveils Bolt &Bolt-M
https://www.anduril.com/article/anduril-unveils-bolt-and-bolt-m/
ライター
大倉康弘: 得意なジャンルはテクノロジー系。機械構造・生物構造・社会構造など構造を把握するのが好き。科学的で不思議なおもちゃにも目がない。趣味は読書で、読み始めたら朝になってるタイプ。
編集者
ナゾロジー 編集部