starthome-logo 無料ゲーム
starthome-logo

「眠ったら悩みが解決」は単純だからじゃない!睡眠が及ぼす脳の問題解決能力


「解けなかった問題が翌朝やったら解けた」「一晩眠たら画期的なアイディアを思いついた」といった経験をしたことはありませんか?

このような現象が起こるのは、あなたが寝ている間も脳が働き続けているためです。

睡眠時、脳は記憶を反芻し続けていて、起きた間に学んだことを記憶として定着させます。

さらに睡眠は記憶の定着だけでなく、起きているとき悩んでいた問題を解決するためにも働いているようです。

今回は学習から問題解決まで、睡眠時に発揮される脳の驚くべき機能を解説します。

目次

  • 睡眠は複雑な掛け算の暗記を手助けする
  • 脳は睡眠中に「問題を解決」できる

睡眠は複雑な掛け算の暗記を手助けする

睡眠はあらゆる暗記の効率を上げる
credit:フォトAC

睡眠中でも人間の脳は起きている間に学んだことを反芻しており、それによって記憶が定着していきます。

このため、単語学習は寝る前に行うと学習効率が上がるという研究結果も出ています。

しかし、最新の研究で睡眠時の反芻による記憶の定着は単語学習などのシンプルな暗記に留まらないことが明らかになりました。

イギリス、ラフバラー大学数学的認知センターの研究グループによると、2桁を含む複雑な掛け算でも、睡眠によって暗記の精度が向上したというのです。

この研究はRoyal Society Open Scienceに2023年9月27日付けで掲載されています。

学習後に睡眠を挟んだ方がテストの成果がUP

眠りを挟んだ方がテスト結果がよくなる
credit:Pixabay

実験には18~40歳までの成人77人が参加しました。

被験者は1桁×2桁の掛け算について学習し、その10.5時間後、その掛け算についての答えを計算せず暗記した結果で示すように指示されます。

学習後の時間の過ごし方については睡眠を挟むパターンとずっと覚醒しておくパターンの2つがあり、被験者たちはそれぞれの実験を期間を1週間空けて行いました。

その結果、睡眠を挟んだパターンの方が、10.5時間後のテストで正答率が有意に高くなっていたのです。

なお、睡眠を挟むパターンと覚醒しているパターンの順序は被験者によってランダムに決められましたが、順序による差は特にありませんでした。

最初の「掛け算のレベル」は関係なし

子どもの学習にも役立つこと間違いなし!
credit:Pixabay

単語学習と掛け算の暗記の大きな違いは人によって初期の知識レベルが異なることです。

今回の被験者はすでに掛け算を習得済である成人に限られましたが、中には掛け算が得意な人もいれば、苦手な人もいました。

研究者たちはそのような被験者たちと初期レベルが暗記能力向上にどのような影響を及ぼすか調査しましたが、睡眠による暗記能力の向上は、初期の知識レベルと無関係に起きていました。

この結果から、同研究グループは小学生など掛け算レベルが乏しい人こそ睡眠前学習のメリットは大きいと述べています。

日本の小学生はみんな九九を暗記しますが、これをさらに推し進めた2桁以上の四則演算も暗記させる教育は今世界的にもトレンドです。

難しい応用問題に対しても、暗記した計算結果を使いながら解けば、それを計算する分のリソースを問題を解くことにあてられるため、数学の応用学習にもつながることが期待されています。

しかしそもそも睡眠がサポートするのは、記憶の定着が重要な暗記学習だけではありません。起きている間に解決できなかった問題に対しても重要な働きをするのです。

脳は睡眠中に「問題を解決」できる

眠っている間は問題解決に有利な条件がそろっている
credit:Pixabay

起きているときはどうしても自分がいいと思う考えに固執してしまい、さらに不安などの負の感情によって考える効率が下がってしまいます。

しかし、睡眠中は合理性を司る前頭前野が機能していません。

普段自分が考える合理性の範囲を超えて、脳が自由に考えの関連付けを行っています。

この脳のはたらきが、起きているときには思いつけない解決策につながることもあるのです。

また、睡眠中には不安を司るノルアドレナリンが遮断されています。

不安な感情に振り回されなければ、脳はリソースのすべてを割いて、効率的に問題を解決することができます。

運動能力は長い睡眠で磨かれる

学習後2回テストが行われたがいずれも睡眠後のスコアは飛躍的
credit:Neuron

睡眠時の問題解決能力はスポーツにおいても発揮され、アメリカ、ハーバード大学の研究では運動後の睡眠がパフォーマンスの向上を大幅に高めることがわかっています。

この研究はNeuronの35巻に2002年7月3日付けで掲載されました。

同研究グループでは指に番号をつけ、指示された通りにタッピングできるか評価する試験を行い、睡眠を挟んだ場合とずっと覚醒していた場合でスコアを比較しました。

その結果、睡眠を挟んだ場合には覚醒していた場合に比べスコアが20%程度向上していたのです。

睡眠時には脳が「できた」ときのイメージを反芻して、記憶として定着させてくれるため、スポーツのパフォーマンスを高めることができます。

また、同研究ではこのように記憶が定着する期間についても調査され、記憶が定着するのはレム睡眠とノンレム睡眠の反復に置ける4周期めであることもわかりました。

つまり、記憶を定着させるには単に眠ればいいというわけでなく、ある程度長い睡眠時間が必要ということです。

悩んだときは寝る方が有益かも

悩むくらいなら寝た方がいい
credit:Pixabay

睡眠には覚えたことを反芻し、記憶として定着させる力があります。

記憶できるものは多岐に及び、単語学習のようなシンプルなものから、2桁の掛け算のような複雑なもの、運動パフォーマンスのような言語化できないものまでさまざまです。

さらに睡眠中は問題解決につながる様々な事象が脳内で起こっています。

もしあなたが今何か悩み事や問題を抱えて解決策が思いつかないのなら、考え続けるよりさっさと寝る方がいいかもしれませんね。

練習中ではなく「頻繁な休憩」がスキルを上達させると判明

全ての画像を見る

参考文献

Mathematical bedtime stories may build better mathematical memory https://phys.org/news/2023-10-mathematical-bedtime-stories-memory.html Sleep to solve a problem https://www.health.harvard.edu/blog/sleep-to-solve-a-problem-202105242463

元論文

Positive impact of sleep on recall of multiplication facts https://royalsocietypublishing.org/doi/10.1098/rsos.230663#d1e350 Practice with Sleep Makes Perfect https://www.cell.com/neuron/fulltext/S0896-6273(02)00746-8
    Loading...
    アクセスランキング
    game_banner
    Starthome

    StartHomeカテゴリー

    Copyright 2024
    ©KINGSOFT JAPAN INC. ALL RIGHTS RESERVED.