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一夜の内に屹立しその後萎えていく「立派なキノコ」のタイムラプス


ドイツの森でなんとも立派なキノコが屹立し、その後萎えていく様をとらえたタイムラプス画像が撮影されました。


このキノコは先端の傘から腐った肉のような悪臭を放ち、多くの虫を寄せ付ける声質を持ち、英語圏では「stinkhorn(スティンクホーン)」と呼ばれ、日本では「スッポンタケ(鼈茸)」という名前がついています。


実はこのキノコ、悪臭を放つのにも関わらず食べることもできるようです。


一度見たら忘れられないような特徴的な見た目を持つこの不思議なキノコ、一体どのようなキノコなのでしょうか。


このキノコの詳細はフロリダ大学のWebサイト『UF/IFAS Extension』に掲載されています。


 







目次



  • 悪臭を放つキノコ「stinkhorn(スティンクホーン)」とは
  • 世界中で見られるスッポンタケとその仲間

悪臭を放つキノコ「stinkhorn(スティンクホーン)」とは


画像


キノコなのに一瞬違うものを想像してしまったという人は安心して良いでしょう。


このキノコの学名は「Phallus impudicus(ファルス・インプディクス)」といい、これはラテン語で『恥知らずな男根』(「Phallus=男根」「impudicus=恥知らず」)を意味しています。


なんともストレートな学名です。発見した学者もこれはもう他に言い逃れできんだろうと思ったのかもしれません。


英名も「stinkhorn(スティンクホーン:stink=悪臭、horn=角)」という名がつけられており、「horn」には英語のスラングで男性器や勃起の意味があることを考えると、こちらもかなりストレートな名前と言えるでしょう。


ちなみに日本での呼び名は「スッポンタケ(鼈茸)」です。


最大で25センチまで成長することがあるこのキノコですが、なんといっても特徴的なのは、オリーブ色のスライムのようなドロドロで覆われた帽子の部分で、これが非常に強烈な臭いを放っています。


実際にこの臭いは、腐敗した肉や下水のよう強烈な悪臭を放つことで知られています。


しかし、そんな悪臭をもちながらも毒はなく食用になり、特に成長前の幼菌と呼ばれる卵状のものはヘーゼルナッツのような味や、揚げることで魚のような味がするとされています。


身近なところでは中華料理で使われているようです。


卵のような「幼菌」ここから大きく成長していきます
Credit:ja.wikipedia

特殊な生存戦略


今回撮影されたタイムラプス画像では、スッポンタケが地中から出現し、3時間で完全な大きさに急成長する様子を見ることができます。


しかし、この映像を撮るのは簡単ではなかったようで、撮影チームは3週間待ち続け、その大半の時間は変化がなかったようです。


映像からは成熟したスッポンタケが放つ強烈な臭いに引き寄せられ大量のハエが集まるのが確認できます。


ハエたちは10時間もの間、スッポンタケのスライムの部分を食べ続けました


そしてハエたちは体内にキノコの胞子を摂取します。この胞子を排泄物として他の場所に撒き散らすことでスッポンタケは繁殖していくのです。


この戦略は、胞子を風に乗せて散布する他の多くのキノコ類とは異なっており、強烈な臭いとスライムが、胞子を風に飛ばすことができないスッポンタケならではの生存戦略として存在することがわかります。


そして数日後、スッポンタケは腐敗を始め、ゆっくりと地中に戻っていきました。


キノコ自体には男性器にちなんだ名前がつけられていますが、この腐敗して白くなり倒れている様は、「死体の指」と呼ばれているようです。


世界中で見られるスッポンタケとその仲間


今回は非常に珍しいタイムラプス画像が撮影されましたが、スッポンタケ自体は世界中に分布しており、それほど珍しいキノコではありません。


そして、スッポンタケ科にも様々な特徴的なキノコが存在しています。


見た目や色などは様々ですが、悪臭を放つことと胞子をハエたちに食べさせて撒き散らす繁殖方法は変わらないようです。


ここではユニークな見た目を持つスッポンタケをいくつか紹介したいと思います。


キツネノロウソク


キツネノロウソク
Credit:ja.wikipedia

北半球の温帯域、特にヨーロッパに分布するスッポンタケ科のキツネノロウソク。


このキノコも先端に悪臭を放って虫をおびき寄せるグレバと呼ばれる胞子を含む粘液を出す部位があります。


この先端が炎のよう紅色で根本の方が白くなるためロウソクと呼ばれるようになったようです。


「キツネの」と呼ばれるようになった理由はわかりませんが、北海道などキツネが多い北の地域でも見られるキノコのため、日本ではキツネと一緒の姿がよく目撃されたのかもしれません。


海外ではイヌのような悪臭があると言われているので、その臭いが名前の由来となっている可能性もあるでしょう。


タコスッポンタケ


タコスッポンタケ
Credit:ja.wikipedia

オーストラリア原産で、現在は世界中に分布している「タコスッポンタケ」。


確かにタコの触手のような見た目をしていますが、その毒々しい見た目から海外では「悪魔の指」や「エイリアンの卵」という呼び方をされています。


「エイリアンの卵」は開いた状態では意味がよくわからないかもしれませんが、先に説明したようにタコスッポンタケは、卵状の幼菌から急速に成長してきます。


その成長の様子を収めた動画を見れば、エイリアンの卵と表現される理由がわかるかもしれません。



アカダマスッポンタケ


アカダマスッポンタケ
Credit:ja.wikipedia

スッポンタケ科の中でも絶滅危惧種に指定されている「アカダマスッポンタケ」。


日本では北海道や新潟で数例のみ確認されている希少なキノコです。


特徴としては、他のスッポンタケのような腐った肉の臭いを放つのではなく、塩素系の臭いを放つようです。


見た目も、これぞスッポンタケという形をしていますね。


アカイカタケ


アカイカタケ(Aseroe rubra)
Credit:en.wikipedia

こちらも希少なキノコとして知られる「アカイカタケ」。


日本では主に西日本で確認されています。


パッと見はイソギンチャクのような形をしておりキノコっぽくないですが、これでもスッポンタケの仲間です。


独特な特徴をもつスッポンタケ


学名からして『恥知らずな男根』とストレートな表現をされるキノコとその仲間たちは、強烈な臭いを放ち、独特の繁殖方法をもっています。


ここで紹介した以外にも多くのスッポンタケの仲間が世界中に存在しており、様々な特徴を持っているようです。


日本では絶滅危惧種に指定されているスッポンタケ科のキノコも多く、発見することは難しいかもしれませんが、もし発見することができたら、是非ともその強烈な臭いを嗅いでみたいところです。


全ての画像を見る

参考文献

Watch slime-covered penis mushroom that smells like rotting flesh grow and decay in mesmerizing time-lapse
https://www.livescience.com/planet-earth/watch-slime-covered-penis-mushroom-that-smells-like-rotting-flesh-grow-and-decay-in-mesmerising-timelapse

元論文

STINKHORN MUSHROOMS (AGARICOMYCETES: PHALLALES: PHALLACEAE)
https://edis.ifas.ufl.edu/publication/PP345
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