男性は信じていなくても占い結果で「リスクある行動」を取りやすい

良い将来を予測する占いを聴いた男性は、その後金銭的にリスクのある行動を取る確率が高くなるかもしれません。

占いは古くから人々の関心を集め、未来を予測すること、人々の不安や迷いを解消したり、人生の道しるべを与えてきました。

「占いなんて信じない」と考えている読者の方もいるでしょうが、言葉ではそう言っていても、実際には占いの結果を聞くと、それに沿う行動を取ってしまう人も多いのではないでしょうか。

オランダのエラスムス大学の研究のシャオユエ・タン（Xiaoyue Tan）氏ら研究チームは、ポジティブな占い結果は、信じているいないに関わらず金銭的にリスキーな行動を引き起こしやすいことを報告しています。

また研究はこの結果が特に男性に多いことを報告しています。

占いは主に女性が好む印象がありますが、実際は信じていない男性の方が影響を受けやすいというのは興味深い結果です。

研究の詳細は学術誌「PLOS ONE」に2022年9月7日に掲載されました。

占いの結果は金銭的な意思決定を変えるのか？

過去の研究では、迷信を信じていなくて、実際には迷信に沿った行動を人々が取ることが報告されています。

具体的な例として、7などの幸運な数字が含まれる商品を購入する場合に、多くのお金を支払う傾向があることが報告されています。

そこで今回研究を主導した、オランダのエラスムス大学のタン氏らの研究チームは、迷信が与える経済的な意思決定への影響について、占いに焦点を当てて調査を行いました。

この実験では226名を対象に占い結果とリスクのある金銭的行動の関連を調べています。

実験参加者はランダムに3つのグループに分けられ、誕生日と好きな色を基に将来を予測する占いアプリを使ってもらい、アプリの評価をしてもらいました。

その3つのグループには、①お金に関するポジティブな予測結果が出る、②お金に関するネガティブな予測結果が出る、③お金に関連のない予測結果が出るという、占いの結果に違いがありました。

また実験参加者には、占いの結果をどれほど信じているのかについても回答してもらっています。

そして最後に、「もし2万ドル（日本円で約288万円）手にしたときに、何に使うか？」という金銭的な意思決定をしてもらいました。

この研究調査では、実験参加者のほとんどが占いの結果は信じないと回答しました。

つまりほとんどの人は、占いは迷信であると理解していたのです。

ところがお金に関するポジティブな占いの結果を聴いた場合、他の場合と比較して、男性の方がお金に関するリスキーな意思決定を下す傾向が約17%高くなることが示されたのです。

後続の実験では、実験1と同様の手続きで行い、最後に50ユーロ（日本円で約8,000円）を渡し、①50ユーロを得た場合にそのまま得るか、②ギャンブルに参加し、50ユーロを賭けるのかの、どちらの選択肢を選ぶのかを訪ねています。

実験の結果、実験1と同じく男性のみにおいて、お金に関するポジティブな占いの結果を聴いたとき、得た50ユーロをギャンブルに使いたいと考える傾向が約1.2倍高いことが確認されました。

今回の研究結果は、特に自分が信じていない占いの影響を受けて、投機的な行動を取る傾向が男性に多く見られることを示しています。

ポジティブな占いが特に男性に対して、金銭的リスクのある行動を促進する理由は、テストステロンの性差が関係しているのでないかと考えられています。

過去の研究では、女性よりも男性の方がテストステロンのレベルが高く、より高いキャリア選択やリスクのある経済的な意思決定を下す傾向があることが示されています。

こうしたもともとリスクを取りやすい男性の傾向に対して、ポジティブな占い結果は影響を与えやすいと考えられるのです。

占いに影響されてリスクのある行動を取りやすくなる、と言われると悪いことであるように感じますが、実際はどうなのでしょうか？

ポジティブな占い結果に影響されて投機的な行動を取りやすいという男性の性質は、主に起業家などに男性の割合が多い理由の1つである可能性があり、男性の方が社会的・経済的地位を獲得しやすい要因なのかもしれません。

参考文献

Men take more financial risks after positive fortune telling. https://www.eurekalert.org/news-releases/963523

元論文

Positive fortune telling enhances men’s financial risk taking. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36070296/

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