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SNSで見かける「ドカ食い気絶部」が危険なワケとは?食後に眠くなる仕組みを解説


SNSで話題の「ドカ食い気絶部」とは、高カロリーの炭水化物を大量に摂取し、急激に血糖値を上げることで眠気を誘発する行為を指します。この行為は、血糖値の急な上昇と下降、すなわち「血糖値スパイク」が原因で、眠気や倦怠感を引き起こします。血糖値スパイクの原因は、デンプンや糖分の多量摂取です。長期的には、インスリン抵抗性を生み出し、糖尿病のリスクを高める可能性があります。健康的な眠気を誘発するには、高タンパク質食品に含まれる「トリプトファン」や、チェリーに含まれる「メラトニン」、バナナの「カリウム」が効果的です。これらをバランスよく摂取することで、心地よい眠りを促すことができます。危険な「ドカ食い気絶部」は避け、健康的な食生活を心がけることが推奨されます。

SNS上ではよく、「ドカ食い気絶部」というパワーワードを見かけます。

これは高カロリーの炭水化物を”ドカ食い”し、急激に血糖値を上げることで、気絶したように爆睡することを目的とした行為のことです。

主にマクドナルドを食べることから、「マックドカ食い気絶部」などとも呼ばれています。

言うまでもなく、非常に危険な行為なので”廃部”すべきなのですが、ここまで極端な話でなくとも、食後に眠たくなった経験は誰しもあるでしょう。

学校でも職場でも「お昼後の仕事が眠くてしょうがない」とか「目を開けているのがやっと」という人はかなり多いはず。

では、なぜ食事をした後に眠くなるのでしょうか?

目次

  • 食後に訪れる睡魔の原因は「血糖値スパイク」?
  • 心地よい睡眠を誘導できる食事とは?

食後に訪れる睡魔の原因は「血糖値スパイク」?

食後に睡魔を招きやすい食べ物は、ご飯、麺類、パン、ジャガイモなど、デンプンや糖分を多く含むものです。

私たちの体内では、デンプンや糖分を摂取すると、血液中のブドウ糖の量が増えます。

すると血糖値が上昇し、それを管理するためにインスリンが分泌されます。

インスリンは主に、細胞にブドウ糖を取り込ませて、エネルギー源として利用します。

余ったブドウ糖はインスリンの働きにより、グリコーゲンや中性脂肪に合成されて蓄えられ、血糖値が下がります。

それゆえ、インスリンは血糖値の調整だけでなく、私たちの日々の活動やエネルギーレベルを維持するのにも欠かせません。

問題はデンプンや糖分を多量に摂取しすぎたときです。

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「ドカ食い気絶部」は血糖値が急激に跳ね上がるので危険/ Credit: canva

これらの食事を一度にたくさん摂ると、血中のブドウ糖が急増し、血糖値が跳ね上がるように急上昇します。

この異常な量のブドウ糖に対処すべく、過剰なインスリンが分泌されるので、今度は血糖値が急降下します。

この血糖値の急な乱高下を「血糖値スパイク」といいます。

血糖値の急降下によって低血糖状態になり、脳に糖分が行き渡らなくなると、眠気や倦怠感が訪れるのです。

また、こうした食事(それこそ、ドカ食い)を続けていると、血糖値スパイクが慢性化する恐れがあります。

そうなると、高い血糖値を下げるために、大量のインスリンが常に働いている状態が続くため、細胞が「インスリンの作用に対して抵抗性を獲得してしまう」のです。

すると今度は細胞がブドウ糖を取り込めなくなって血糖値を管理できなくなり、脳や体のエネルギーレベルが低下。

強い眠気や疲労感が常態化し、最終的には糖尿病を引き起こす危険性があるのです。

また血中の糖分が処理されず、体内の組織や細胞にたまっていくため、「糖化」という反応が起きます。

糖化は老化や認知症、骨粗しょう症のリスクを高める危険な現象です。

血糖値スパイクは、デンプン質や糖分の多量摂取のみならず、食べ過ぎや早食いでも生じうるので、注意が必要でしょう。

これが「ドカ食い気絶部」に入部することが極めて危険な理由となります。

しかし、ドカ食いによって気絶したように眠らなくとも、心地よい睡眠を誘導できる食事があります。

心地よい睡眠を誘導できる食事とは?

食事によって眠気が引き起こされる理由は、血糖値の乱高下だけではありません。

たとえば、肉、魚、チーズ、卵などの高タンパク質食品は「トリプトファン」というアミノ酸を含んでいます。

実はこのトリプトファンはその後、神経伝達物質である「セロトニン」の合成を促すのです。

セロトニンは”幸せホルモン”とも呼ばれ、脳の興奮を抑え、心身をリラックスさせて、気分を落ち着かせる効果があります。

これによって、心地よい眠気が誘導される場合もあるのです。

食材によって心地よい睡眠も誘発できる
食材によって心地よい睡眠も誘発できる / Credit: canva

こちらはドカ食いに伴う血糖値スパイクで発生した眠気とは違って、体に悪いものではありません。

それから他にも、チェリーに含まれる「メラトニン」は入眠を促すホルモンとして知られますし、バナナに豊富なカリウムやマグネシウムには、筋肉をリラックスさせる効果があります。

こうした食材をバランスよく食べることで、食後の心地よい睡眠を促すことができるかもしれません。

「ドカ食い気絶部」に入部している方はただちに退部して、こちらの健康的な食事に切り替える方がいいでしょう。

※この記事は2022年9月に掲載したものを再編集してお送りしています。

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参考文献

Why Do We Feel Sleepy After A Heavy Meal?
https://www.scienceabc.com/nature/why-do-we-feel-sleepy-after-a-heavy-meal.html

ライター

大石航樹: 愛媛県生まれ。大学で福岡に移り、大学院ではフランス哲学を学びました。 他に、生物学や歴史学が好きで、本サイトでは主に、動植物や歴史・考古学系の記事を担当しています。 趣味は映画鑑賞で、月に30〜40本観ることも。

編集者

海沼 賢: 大学では電気電子工学、大学院では知識科学を専攻。科学進歩と共に分断されがちな分野間交流の場、一般の人々が科学知識とふれあう場の創出を目指しています。

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