「ネコはイヌよりも気まぐれでクールだ」という印象をもっている人は多いはず。
「そこがいい」という飼い主もいますが、ときには「本当に自分のことが好きなのだろうか?」と不安になることもあるでしょう。
イギリス・ブリストル大学(University of Bristol)の動物行動学者エミリー・ブラックウェル氏は、いくつかの研究結果にもとづいて、ネコの愛情を確認する方法について解説しています。
ネコは飼い主に対して愛情を抱く動物であり、その証拠をしぐさから確かに見分けることができるのです。
目次
- 猫が抱いている愛情のサイン
- 私たちが気づきにくい猫の愛情表現とは?
猫が抱いている愛情のサイン

ネコも人間と同様パーソナルスペースをもっており、信頼できない相手が近づくのを嫌います。
そのため飼い主が近づいたときに極端に嫌がったり逃げたりしなければ、ある程度の信頼関係が構築できていると言えます。
当然ながら、ネコの方から近づいてきたり、体をこすりつけたりしてくれるなら、それも警戒心を抱いていない証拠です。
2022年のカナダ・トレント大学(Trent University)に所属するローレン・フィンカ氏の論文では、「ネコは自分がよく知っていて心地よいと感じる人間に対して、自分の脇腹や頭をこすりつける」と報告されています。
これはネコにとって、匂いが重要なコミュニケーションツールだからです。
ネコはわき腹や頭、耳の周りに臭腺(強いにおいの液を分泌する腺)をもっており、それを擦り付けて同じ匂いを共有することで、社会的なグループや家族を識別しているのです。

さらに同じ論文では、私たちがよく知っているように、ゴロゴロと喉を鳴らしたり、こねるように足踏みしたりすることも安心と愛情の表れだと述べられています。
加えて、仰向けになって弱点のお腹を見せることも大きな愛情表現の1つです。
では、これまでに紹介してきたサインが確認できなかった場合、飼い主はネコから愛されていないことになるのでしょうか?
そうとも言い切れません。次項では、私たちが気づきにくいネコの愛情表現について解説します。
私たちが気づきにくい猫の愛情表現とは?

ネコの尻尾の形は、飼い主への愛情を確認するのに役立ちます。
相手に対して友好的な意思を示したいとき、ネコは尻尾を直立させるのです。
人間同士が手を挙げて挨拶するときのように、ネコも尻尾を立てるのでしょう。
飼い主に対しては、甘えたいときにも同様に尻尾を直立させます。
また尻尾が「クエスチョンマーク”?”」のような形になっているときも、「構ってほしい」「一緒に遊びたい」という意思の表れです。
最後に、飼い主が特に気づきにくいネコの愛情表現をご紹介します。
それは、ネコの「まばたき」です。

2020年のイギリス・サセックス大学(University of Sussex)に所属するタスミン・ハンフリー氏ら研究チームによる研究では、ネコのゆっくりとしたまばたきがポジティブな感情(信頼・愛情・満足)と関連していると報告されました。
実際、ネコたちは見知らぬ人間や他のネコに出会うと、まばたきをせず、見つめて挨拶するのだとか。
対照的に、仲の良いネコに対してはゆっくりとまばたきして挨拶するようです。
この独特なコミュニケーションは、人間が近づくのを嫌うネコと絆を深めるのに役立つでしょう。
実験でも、ネコに対して飼い主がゆっくりとまばたきすると、ネコの方もゆっくりとまばたきしたり目を細めたりするなど、友好的な反応がありました。
このようにいくつかの研究結果を調べると、確かにネコは飼い主に愛情表現してくれる動物だと理解できますね。
ネコの飼い主は、ぜひこれらのサインをチェックしてみてください。
きっと、これまでにたくさんの愛情をネコから受け取っていたことに気づくはずです。
参考文献
Four ways to tell if your cat loves you – based on science
https://theconversation.com/four-ways-to-tell-if-your-cat-loves-you-based-on-science-188170
ライター
大倉康弘: 得意なジャンルはテクノロジー系。機械構造・生物構造・社会構造など構造を把握するのが好き。科学的で不思議なおもちゃにも目がない。趣味は読書で、読み始めたら朝になってるタイプ。
編集者
ナゾロジー 編集部