グレートピレニーズの特徴
Trong Nguyen/shutterstock.com
グレートピレニーズは寒い所で生活していた犬なので、寒さにとても強い犬です。 寒さに耐えられるもふもふの被毛が特徴で夏には少しやっかいになります。 熱を身体から逃がしにくいので、暑い時は「助けて~」と飼い主さんに助けを素直に求めてくるかわいい性格です。
大きい体に愛くるしい性格!そんなグレートピレニーズの特徴などを幾つかお伝えしていきます。
グレートピレニーズの外見的特徴
グレートピレニーズは身体がとても大きく、真っ白な美しい被毛に覆われています。 体は大きいですが、決して威圧的だったり怖い印象はなく、落ち着いていて穏やかな瞳を持ち、セラピードッグとしても活躍しています。 サイズは、思わず抱きつきたくなるほどの超大型犬で、成犬になると、体高は70~80センチほど、体重は50~60キロと、大人の女性並みの大きさになります。 とても大きいというわけが、これでイメージ出来たかと思います。
グレートピレニーズの寿命・体型
グレートピレニーズの平均的な寿命は10歳~12歳だといわれているので、人間の年齢に換算すると75歳~89歳くらいですね。 体型や寿命にはもちろん個体差もあります。 だいたい体高はオスで70~80cm、メスで65~75cmほど。 体重がオスで約45kg、メスで約39kgほどです。 大型犬のゴールデンレトリーバーなどは皆さんよくご存知かもしれませんが、ゴールデンレトリバーよりも、さらに一回り大きいので、散歩中などの姿を見かけた時は、遠くからでもすぐわかるはずですよ。 遠目で見かけた時は、大きな体で全身真っ白なので、一瞬、え?!白熊?!と思ってしまうかもしれませんが、れっきとした犬なので怖がらず安心して下さいね。
グレートピレニーズの特に気をつけたい病気
グレートピレニーズは超大型犬ゆえに、体がとても大きいので、どうしても体重が重くなります。 体重が重いと、常に関節に負担がかかります。 そのため、特に大型犬は、関節の病気に注意しなければなりません。
グレートピレニーズが特に気をつけたい病気に、膝蓋骨脱臼があります。 これは膝蓋骨が外れてしまう病気で、主な症状としては足を引きずって歩いたり、腰がふらついている、などの動きが見られます。 先天性の場合、膝蓋骨の周りの筋肉や骨などが形成されていく過程で異常が進行し、発症します。 後天的の場合は、ぶつかって打撲したり、高いところから飛び降りて生じてしまう、骨の変形が原因で発症する事があります。 怪我や事故など、日常生活の中で後々病気に繋がりかねない活動や、誘発させかねない環境にも、飼い主が十分注意して、避けるようにしましょう。
更に、グレートピレニーズのかかりやすい関節の病気として、股関節形成不全があります。 股関節形成不全は先天的な異常により見られる症状です。 一緒に生活していて、少しでも通常の動きとは異なる兆候が何か見られた場合は、すぐに病院に連れていき、獣医師に診てもらうようにしましょう。 症状によっては外科的な処置が必要となってくるので、それは犬にとっても飼い主にとっても、大きなストレスとなりかねません。 日頃から愛犬の様子によく目を配り、定期的な健康診断を受診して、愛犬の健康維持を心がけましょう。
他にも、注意が必要な病気として、胃捻転があります。 グレートピレニーズのような体重が40キロ以上ある超大型と呼ばれる犬種に多く発症し、発症から数時間で死に至る恐ろしい病気です。 胃捻転は胃に捻じれが生じて、結果、血流が止まり壊死を起こしてしまう病気です。 捻じれる際に周囲の臓器を巻き込んでしまう場合もあるので、巻き込まれた臓器も一緒に壊死をおこしてしまいます。 胃捻転を避ける為にも、フードを与える時には、1度にたくさんの量を食べさせないように注意して、何回かに分けて食事をさせるなどの工夫をすると良いでしょう。 また、犬が首を曲げて食事をするような体制は避けて下さい。 なるべく水平な状態で食べられるように、高さのあるスタンドを使用しましょう。 また、食事の前後1時間はあまり動き回らないよう見守って下さい。 更に、運動後の飲み水の量も、取りすぎに注意しましょう。 吐き気があるのに吐き出せなかったり、なんだか苦しそうで落ち着きなく動き回ったり、過剰に腹部を舐め続けるなどの様子が見られた場合は、特に注意が必要です。 いつもと少しでもちがう様子の時は、すぐに動物病院へ連れていってあげて下さい。 何事も早期発見、早期治療を心がけましょう。 普段から、グレートピレニーズがかかりやすい病気について、動物病院の獣医師から情報を得ておくなら、いざという時に大きな助けとなるでしょう。
特にシニア期に注意してあげたい点
愛犬には少しでも元気で長生きして欲しいのが、飼い主の願いですね。 グレートピレニーズのような超大型の犬種は、実は老成が早く、5歳くらいから既にシニアの仲間入りとなります。 人間と同じく大型犬も、シニア期に入ると若い頃とは違い、エネルギー代謝率が徐々に落ちていきます。 代謝が落ちてきた時に注意したいのが、食事による摂取カロリーです。 肥満による病気や不健康を避けるためにも、カロリーの低いシニア専用の食事に移行するようにしましょう。 お店や病院などで、どのようなフードが良いかを相談するのも助けになります。 シニア期に入ったなら、定期的な健康診断を受診して、愛犬と共に穏やかな日々を送れるようにしたいですね。
グレートピレニーズの歴史
Perry Correll/shutterstock.com
グレートピレニーズは古い歴史のある犬種です。 紀元前の1800から1000年頃のヨーロッパ地方で見つかった遺跡に、グレートピレニーズによく似た犬の絵が残っているのが発見されています。 祖先犬はチベタン・マスティフではないかと考えられていますが、はっきりとしたことはわかっていません。 グレートピレニーズは、中央アジアからヨーロッパに持ち込まれ、フランス・スペインのピレネー山脈やその他のヨーロッパの山岳地で飼われるようになりました。 厚く長い被毛があるのでとても寒さに強く、その大きな体を生かして、ピレネー山脈で働く牧羊犬、ソリを引く作業犬としても活躍していました。
1669年には、ルイ14世の息子デュポン王子がピレニーズを飼っていた事で、宮殿の人々からも人気のある犬種でした。 1675年頃にはフランスのルイ14世が宮廷犬として愛玩し、当時の流行犬となっていました。 かの有名なマリー・アントワネットも、ピレニーズを護衛犬として所有していたと言われています。 更に、中世から19世紀中頃まで、グレートピレニーズはフランス王立法廷の公式犬としても用いられ、その人気は不動のものとなりました。 また1850年には、英国のビクトリア女王も、グレートピレニーズを所有していました。 もともとは、山岳地帯で働いていたタフな犬種でしたが、その威風堂々とした美しい姿は、特にヨーロッパの王族に愛されていたんですね。
このように、中世のフランスでは警備犬、17世紀後半ではフランス王室犬として大活躍し、王族に愛されてきたグレートピレニーズですが、残念な事に20世紀までにはこの犬種への関心はどんどん薄れていってしまったのです。 しかし、一部の山岳地帯では質の良いグレートピレニーズの血統を受け継いだ犬種が生き残っていました。 そして愛好家たちの努力家により、現在のグレートピレニーズの基盤が築かれていきます。 ついに1933年2月に、アメリカン・ケネルクラブはグレート・ピレニーズを純粋犬種として公式に認知し、同年4月に公認のドッグショーで単独犬種として認められました。 そして、グレート・ピレニーズがジャパン・ケネルクラブに初めて登録されたのは1961年の事。 古く深い歴史を持つグレートピレニーズが、ここ日本にも来てくれて、本当に嬉しいですね!