「マウンティング」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
マウンティングとは相手の上に立とうとする言動を指す表現ですが、もともとは動物界に存在するものです。
猫もこのマウンティング行為をするので、猫を飼っている人であれば一度は見たことがあるかもしれません。
しかし、猫がマウンティングする正しい理由を知らないという人は意外と多いといわれています。そのため、適切な対処もあまりなされていないのが現実です。この記事では、猫がマウンティングをする理由と正しい対策をご紹介します。
猫のマウンティングとは?
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猫のマウンティングは、主に多頭飼いの場面でよくみられる行為です。片方の猫がもう片方の猫の上に覆いかぶさり、そして相手の上に乗っているような体制をしばらく維持します。これは一見、交尾のよう見えることが多いはずです。
マウンティングの最中は、対象に自分の腰を押し付け動かしたり、相手の首の後ろに噛みついたりすることがあります。猫以外の対象にも同じような行為をすることがあり、これらすべてをまとめて、「マウンティング」と呼びます。
ここでは、猫のマウンティングの対象になる相手をいくつか紹介しますので、判断する上での参考にしてくださいね。
対象が猫の場合
猫同士でマウンティングするのは一般的です。ほとんどの場合、多頭飼いしている猫たちの中でよく行われています。
マウンティングする猫はいつもマウンティングしており、マウンティングされる猫はいつもされる側になります。
対象が他の動物の場合
稀に、相手が猫でなくてもマウンティングする場合があります。例えば、子犬やウサギなどを相手にマウンティングした例も報告されています。
この行為は「動物と仲良くしている」というわけではないので、注意してマウンティングかどうか見極めましょう。
対象が飼い主さんの場合
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飼い主さんに対してもマウンティング行動をしてきます。身体の大きさが全く異なるので、通常のマウンティングには見えませんが、強く引っ掻いたり抱きついて噛んでいたりするなら、マウンティングの可能性があります。ちなみに、発情期にはマウンティングをする傾向が高まるとされています。
対象が物の場合
これも稀ですが、生き物以外を対象にマウンティングすることがあるともいわれています。対象としてはクッションや毛布、また大きいおもちゃなどが当てはまります。
猫がマウンティングするのはなぜ?
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ここからは猫がマウンティング行為をする3つの理由をご紹介します。
1.優位性・上下関係を示すため
猫がマウンティングするのは、相手に対して優位性を示すためです。多頭飼いの場面では、先住猫が新しく入った猫に対して上下関係を示すために行ないます。また猫が自分の方が上だと認識している場合、他の動物や飼い主さんに行うこともあります。
2.発情期の疑似交尾
オスの場合、発情期が近づくと疑似交尾としてマウンティングすることがあります。いわゆる交尾の練習として行われており、性衝動の表われとも取れるでしょう。去勢や避妊手術をしていない場合は要注意です。
3.転位行動
「転位行動」とは、ストレスを感じたり何かを我慢したりするときに、本来行おうとしていた行動とは関係のない行動をして、気を紛らわせようとすることです。そして、その転位行動としてマウンティングすることがあるのです。
つまり、この場合のマウンティングにはほとんど意味がなく、むしろストレスや我慢の結果です。
猫のマウンティングに対する対処方法
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ここから猫がマウンティングするときの適切な対処方法をご紹介します。マウンティングの原因によって対処が違うので、正しく理由を見極めた後に行動しましょう。
怒ったり叱ったりしない
基本的には、マウンティングは猫にもともと備わっている行為なので、無理やり止めさせたり怒ったりする必要はありません。
飼い主さんへマウンティングする場合は優しくやめさせたり、その場を離れたりするようにして対処しましょう。
ただし、マウンティングが重大な問題を引き起こしているのであれば対処が必要です。例えば、子どもや赤ちゃんに噛みついたりするなど怪我の危険があるようであれば、すぐにやめさせるべきです。しかしその場合も、優しく対応してあげてくださいね。
避妊手術
疑似交尾としてのマウンティングをするのであれば、去勢・避妊手術が最も効果的です。手術をするなら猫の中に衝動が生まれることもなくなり、自然とマウンティングしなくなるでしょう。
猫同士の序列に配慮する
飼い主さんが後から入ってきた猫を可愛がり過ぎると、先住猫がやきもちを焼いてマウンティングしてしまうかもしれません。
猫には猫の世界があるので、その序列に配慮してあげるなら、無用な争いやマウンティングは無くなります。