猫にタコを与えてはいけない理由とは
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タコには、「チアミナーゼ」というビタミンB1を破壊する、猫にとっては有害な成分が含まれています。ビタミンB1は、神経系統を正常に保ち、身体が正常に機能するのを助ける働きをするため、猫にとっても必要不可欠な栄養素です。
また、ビタミンB1は、炭水化物の消化にも必要な栄養素です。炭水化物は消化されると糖質へと変わります。この糖質が、神経伝達の機能を保つのに必要な栄養素となるのです。
ビタミンB1は水溶性ビタミンの一種です。この水溶性ビタミンは、水に溶けて尿と共に体から排出されるので、体内に蓄えておくことができません。そのため、猫はビタミンB1を毎日摂取する必要があります。
ゆえに、ビタミンB1を破壊する成分が含まれているタコを猫に与えるのは、猫の健康に悪影響を及ぼす可能性があるので危険といえます。
猫がタコを食べてしまった時の症状
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ビタミンB1(チアミン)欠乏症
前述の通り、タコには「チアミナーゼ」という、猫には有害な成分が含まれています。そのため、猫が大量にタコを食べたり、少量であっても継続して食べ続けたりするなら、ビタミンB1欠乏症になり、様々な症状を引き起こす可能性があるので注意が必要です。
初期症状は、食欲低下や嘔吐などがあらわれます。症状が進行すると、瞳孔が開いたり、歩き方がフラフラするなどの神経症状があらわれます。さらに症状が進むと、痙攣を起こしたり、昏睡状態に陥ることもあり、最悪の場合死に至る危険があります。
これらの症状が見られる場合は、チアミナーゼによるビタミンB1欠乏症の可能性が考えられるでしょう。
多発神経炎
ビタミンB1は神経伝達の機能を保つ働きがあります。そのため、チアミナーゼによりビタミンB1が破壊され不足すると、歩行障害や視覚障害などの多発神経炎を引き起こす可能性があります。
猫に危険が及ぶ摂取量
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中毒症状が出る摂取量や致死量など、はっきりした目安はありません。しかし、上記で見たように、猫がタコを食べると様々な症状を引き起こしかねないので、少量であっても猫にタコは与えない方が良いでしょう。
チアミナーゼは、熱に弱いため加熱処理をすれば、成分的には問題ありません。しかし、タコは消化が悪いので、加熱したものでも下痢や嘔吐を起こすことがあります。ゆえに、加熱したタコも与えない方が良いでしょう。
子猫の場合
生後12カ月未満で、体重が1kg未満の子猫の場合、消化器官機能が未発達なので特に注意が必要です。少量であったとしても、命を落とす危険もあるので、子猫にタコを与えてはいけません。
体調不良を起こすのは、子猫の身体にもとても大きな負担となります。
成猫の場合
生後12カ月から7歳、体重が3~5kgの成猫であったとしても、タコを与えるのは危険です。
大体の目安としては、生のタコの刺身2~3枚ほど食べると猫にとっては危険と言われています。しかし、それ以下の量だったとしても、継続して与え続けているなら、やはりビタミンB1欠乏症になる可能性があります。
老猫の場合
7歳以上の老猫の場合も、子猫同様、消化器官機能が弱っている可能性があるので注意が必要です。
猫は食べ物を丸のみにする習性を持っているので、加熱したタコであっても、喉や消化器官などに詰まらせてしまう可能性もあります。
生のタコでも加熱したタコでも、猫にとって悪影響を及ぼしかねないので、与えるのはやめましょう。
猫がタコを食べてしまった場合の対処法
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猫がタコを少量食べたからといってすぐに死に至ったり、重篤な病気を引き起こすわけではありません。猫が誤ってタコを食べてしまったとしても、慌てず落ち着いて対応するようにしてください。
下痢や嘔吐など何らかの症状が見られる場合は、すぐに病院に連れて行って獣医師の指示に従うようにしましょう。決して自己流で吐かせようとしたり、安易な処置は行なわないでください。
病院に連れて行く場合は、獣医師に「いつ食べたのか」「どのくらいの量を食べたのか」「どのような症状が出ているか」など、できるだけ具体的に伝えられると治療がスムーズに進むでしょう。
イカも与えてはダメ
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猫にとって有害な成分である「チアミナーゼ」は、イカにも含まれています。イカもタコ同様、生のまま猫に与えるのは命にかかわるので絶対にやめましょう。
加熱されたイカは、チアミナーゼの心配はありませんが、加熱したからといって猫に大量に与えると、消化不良を起こす可能性があります。猫はもともと、イカやタコなどを消化するのが得意ではないため、下痢や嘔吐を起こすことがあります。加熱したものでも猫にイカは与えない方が良いでしょう。