猫が腕枕で寝る心理とは?
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一日のほとんどを寝て過ごす猫は、寝ることが大好きな動物です。猫の寝姿は見ているだけでも癒されますが、猫の中には飼い主さんが寝ているときに布団にもぐり込んできて、腕を枕にして寝る子もいます。
猫を飼っている方であれば、猫が腕枕で寝るという経験をしたことがある方は多いことでしょう。愛猫が大好きな飼い主さんにとっては、最高のひとときと言える時間です。
猫が飼い主さんの腕の中で寝ている時はどんな気持ちなのでしょうか?この行動は、猫が飼い主さんのことを100%信頼している証拠とも言えます。
飼い主さんに甘えているようにも見えるとても可愛らしい行動のひとつですが、猫が飼い主さんの腕の中で眠るときの心理は甘えていること以外も関係してます。それには次のような心理が考えられます。
温かいから
猫はただ単に、飼い主さんと一緒にくっついて寝ると温かいという理由から腕枕で寝ることがあります。特に秋冬になると気温が下がるため、猫の多くは暖かさを求めて飼い主さんの布団の中に入り、腕枕で寝ようとしてきます。
猫はとても賢い動物なので、温かい飼い主さんにくっついて眠れば自分も温かく過ごせることを知っているのです。
自分の縄張りだから
猫は自分の縄張り、つまりテリトリーの中で生活している生き物です。特に室内で生活している猫の場合、身を隠すことができる布団は温かいだけでなく、安心できるお気に入りの場所のひとつです。
猫は一度お気に入りの場所を見つけると、自分のニオイをつけて自分の縄張りとすることで安心感を得ようとします。
猫の額や顎の下には”臭腺”というニオイを発する分泌腺があり、そこから匂いをだしてこすりつけ、自分の縄張りをアピールします。
そのひとつとして飼い主さんの腕を枕にする際、自分の顎をこすりつけてマーキングし、自分の大好きな場所と主張していると思われています。猫の本能に由来している愛情表現のひとつとも言えるかもしれませんね。
母親のような温もりを感じることができるから
野生で暮らしている野良猫の場合、子猫の時期だけ母猫や兄弟猫と一緒に生活します。子猫がメスの場合はそのまま母猫の近くで生活することができますが、オスの場合は近親相姦を防ぐために強制的に親離れし、遠く離れた場所で生活しなければいけません。
一方、室内で飼育されている飼い猫の場合、母猫の代わりとも言える飼い主さんは常に側にいます。成猫に成長しても親離れすることが求められているわけではないので、いつでも甘えることができます。
甘えたい気持ちを抑える必要がないため、子猫が母猫のそばでいつも安心しきって寝ているように、成猫に成長しても母親代わりの飼い主さんの腕枕で温もりを感じていると思われます。
安心感があるから
猫が飼い主さんの腕の中で眠るという行動は、飼い主に対する信頼感があるからこそできることです。つまり飼い主のことを信頼していなければ腕枕で寝ることはありません。
愛猫の顎をやさしく撫でると、愛猫がゴロゴロと喉を鳴らしているのを聞いたことがあることでしょう。これは猫が喜んでいることや安心していること、リラックスしていることの証拠です。
猫を含めた動物にとって、顎は攻撃された時に命に関わる急所と言われています。そんな急所部位を飼い主さんの腕の中に預けて寝るということは、自分の弱点をさらけ出し、安心しきって自分のすべてを飼い主さんに預けている証拠です。飼い主さんにとってはまさに嬉しいことと言えるでしょう。
飼い主さんのことが大好きだから
猫は好き嫌いがはっきりしている上、警戒心がとても強い生き物です。そのため信頼していないものには警戒心を抱き、絶対に近づこうとはしません。
ですから愛猫が腕枕を要求してくるようであれば、それは信頼されて愛されている証拠と言えます。
猫が腕枕を要求してこない理由
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猫の中には腕枕を要求してこない子もいます。”もしかしたら愛猫に嫌われているのでは?”と心配されている飼い主さんもいるかもしれません。
でも安心してください。そのようなことはありません。腕枕を要求してこない猫は単純にひとりで寝ることが好きなだけなのです。
また過去に腕枕で寝た際、飼い主さんの寝相の悪さからぐっすり眠ることができなかった・・という経験をしたため、腕枕で寝ることが嫌になってしまった子もいます。
腕枕を要求してこない理由は個体によって違いますが、決して飼い主さんのことが嫌いというわけではありません。
猫に腕枕をするにはどうすればいい?
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どうしても愛猫を腕枕したい人は、まず猫がリラックスできる環境を作ってみることをおすすめします。布団の上で遊ぶなどして猫に興味を持たせ、その場所が安全だと慣れさせることができれば、腕枕を要求してくる可能性が高まります。
また、秋冬の温度が下がってくる寒い季節は暖を求めて布団の近くまで寄りやすくなっているので、猫が布団の中に入りやすいように布団でトンネルを作ってあげることができるかもしれません。布団のトンネルに興味を持ち、中に入ってくることがよくあるので、試してみる価値があると言えるでしょう。
そして猫が布団の中に入ってきたらじっと動かずに、猫に安全な場所だと判断してもらうようにしましょう。猫が安全な場所と認識すれば、今後もその場所に自然と寝てくれることを期待できます。
強制的に猫を布団に連れ込むのはNG!
猫のぬくもりと愛情を肌で感じることができる腕枕は、猫を飼っていれば誰もが体験できるというわけではありません。猫は独立心が強いので、人から強制されることは嫌いです。
そのため愛猫と腕枕で一緒に寝たいという理由で無理矢理布団の中に連れ込むなら、猫はそのまま逃げてしまうことでしょう。つまり、たとえ飼い猫だとしても猫に腕枕をして一緒に寝るためにはかなりの根気が求められます。
また愛猫に腕枕をしたいなら、飼い主さん自身が自分の寝相を確認してみましょう。
猫の腕枕を外すにはどうすればいい?
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愛猫と一緒に過ごせる腕枕も時間はとても幸せな時間です。しかし長時間腕枕をしていると、腕がしびれて疲れてくるのは事実です。また動きたくても、愛猫の気持ちよさそうな寝顔をみるとついつい我慢してしまう方も多いのではないでしょうか?
では非常にリラックスした状態で腕の中で寝ている猫を驚かせずに、どのように腕枕を外すことができるでしょうか?
頭を撫でている間に腕から外してみる
猫の腕枕を外すためには、まず愛猫の額や顎の下をやさしく撫で、喉をゴロゴロと気持ちよく鳴らしている隙にゆっくりはずすという方法がおすすめです。猫を起こさずにリラックスした状態のまま、腕から外すことが可能です。
猫の個体差にもよりますが、多くの猫は顔の周囲、特に額と顎の下を撫でられることが好きな傾向にあります。その習性を生かし、猫が驚かず、気持ちいい状態のまま腕から外すことがポイントです。
そして可能であれば、腕枕を外した後もリラックスできるようしばらく撫で続けてあげましょう。
おやつを使ってみる
愛猫の好きなおやつを使うシンプルな方法は、自然に腕から外すことができる確実な方法です。猫の鼻先に大好きなおやつを近づけるなら、おやつに気づいた瞬間に目覚め、頭を持ち上げることでしょう。
ただし腕枕をしていると身動きがとれないので、いつも手の届く範囲におやつを用意しておかなければいけません。嗅覚の優れている猫の場合、おやつを布団の下などに隠しておくとバレてしまう可能性もあるので注意が必要です。
おもちゃを使ってみる
大好きなおやつだけでなく、大好きなおもちゃを使ってみることもできます。音が鳴るおもちゃであれば、猫の頭の上でゆっくり音を鳴らすことで、猫はおもちゃの存在に気づくことでしょう。
猫がおもちゃに気づいたらしっかりおもちゃを見せ遠くに投げれば、猫はおもちゃを追いかけるために腕枕から出ていくことでしょう。