犬の目とメラニン色素の量の関係
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犬の特徴はさまざまな身体的な特徴から分かりますが、犬の目にはどのような色があるかご存知でしょうか?両方の目が同じカラーではないこともありますよね。
メラニン色素とは、虹彩(角膜と水晶体の間にある膜)の中に存在するメラニン細胞が作りだした色素のことです。メラニン色素が多いか少ないかによって、犬の目だけでなく被毛・肌の色のバリエーションが見られるのです。今回は、犬の目の形と豊富なカラーバリエーションの特徴をご紹介しますね。
犬の目のカラーバリエーション―7種類
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愛犬の気持ちを知るために目を覗き込むという飼い主さんもおられるでしょう。可愛い目、神秘的な目、吸い込まれるような目など色によって印象は変わってきますね。
1.ブラック(ダークブラウン)
暗色の毛色を待つ犬や柴犬や秋田犬などといった日本犬に多いカラーです。ただし、ブラックとはいっても完全に真っ黒というわけではなく、瞳孔よりは薄い色をしています。
目の色がブラックになりやすい犬種としては、柴犬、秋田犬、紀州犬、毛色が黒っぽい犬などに見られることが多いです。
2.ブラウン
ライトブラウンと呼ばれる明るい茶色からダークブラウンに近い色まで、濃淡がもっとも幅広いカラーです。なかには少しグレーが入っていたり、光の当たり方などによってはイエローに見えるほど色が薄いワンちゃんもいます。
ブラウンの目を持つ犬は、被毛も茶色っぽいことが多く、チョコレートやレッドの被毛の犬に多く見られます。犬種としては、チワワ、ミニチュアダックスフンド、トイプードル、パグなどが挙げられるでしょう。
3.グリーン
かなり珍しいカラーなのですが、メラニン色素の量が適度だと発生する色です。グレーよりメラニン色素の量は多いものの、光の当たり方によっては灰色がかって見えることもあります。
4.グレー
被毛の色がグレー、ブルー、イザベラ(茶色がかったグレー)の犬に多く見られます。犬によっては少しグリーンがかかったように見えることもあり。ブルーよりはメラニン色素が多いのが特徴です。
目の色がグレーになりやすい犬種は、チワワ、ミニチュアダックスフンド、ラブラドールレトリバーがいます。
5.ブルー
シベリアンハスキーやアラスカンマラミュートといった北方系の犬種に多いのがブルーの瞳です。また、被毛の色がマール(グレーに黒のまだら模様)の場合は、ブルーの目を持つ個体が多いと言われています。
目がブルーになりやすい犬種としては、シベリアンハスキー、アラスカンマラミュート、シェルティー、コリー、ミニチュアダックスフンドなどが挙げられます。
6.オッドアイ(バイアイ)
左右の虹彩の色が違うカラーで、人間では虹彩異色症と呼ばれています。オッドとは英語で奇数や奇妙という意味があり、その名の通り何らかの原因で色素を抑える遺伝子が目に働くことで起こります。
オッドアイは犬種特異性が強いカラーで、先天性(生まれつき)の場合は主にシベリアンハスキー、シェルティー、ボーダーコリー、ミニチュアダックスフンドなどの犬種で見られることがあります。オッドアイでは生まれつき以外に「病気や事故などで虹彩を損傷し、メラニン色素が作れなくなる」と言った後天性の原因もあります。
7.マーブルアイ
それぞれの目の中でブラウンとブルーが混ぜ合わさったような、神秘的なカラーです。左右の目の色が違うオッドアイと異なり、マーブルアイは1つの目の中に2種類のカラーが混ざっています。
目の色がマーブルアイになりやすい犬種として、シェルティー、ボーダーコリー、ミニチュアダックスフンドなどがいます。
ブルーは遺伝的に劣性カラー
基本的にはどんな犬でも、ブルーやオッドアイ、マーブルアイなどの神秘的なカラーを持って生まれてくる可能性があります。ブルーは遺伝的に劣性のカラーで、犬が持つメラニン色素の量がとても少ない場合に発症します。生まれつきブルーの瞳を持っていることが多い犬種は、シェルティーやボーダーコリー、ダックスフンドなどが挙げられるでしょう。
このうち被毛の色がマール(本来なら黒いはずの毛の部分がまだら模様になっている)の個体同士から生まれた犬「ダブルマール」では、先天的に視覚や聴覚に異常があることが多いと言われています。そのため、ダブルマールの犬はとてもキレイな淡い水色の瞳を持っていますが、視覚・聴覚は生まれつきほとんどないそうです。
このような先天性の異常を考えて、マール毛色同士の交配は、ブリーディングの世界的ガイドラインではNGとなっています。ブルーの瞳はとても魅力的に思われるかもしれませんが、遺伝的に劣性のブルーを掛け合わせることで、先天的に異常が起こる可能性が高くなってしまうというのを知っておきましょう。
シベリアンハスキーは両目の色が違っても虹彩異色症とは呼ばない
遺伝性の疾患とされている虹彩異色症(オッドアイ)ですが、シベリアンハスキーに限ってはこれが標準です。シベリアンハスキーはその名の通り、ロシアの寒冷地域「シベリア」が発祥の犬種で、長年犬ぞり用の犬として親しまれていました。
シベリアは日光の照射時間が極端に短い地域であるため、そこで生まれたシベリアンハスキーはもともとメラニン色素の量が少ない傾向にあります。
加齢や遺伝的疾患が原因で両目の色が違っているワケではないため、ハスキーの犬種標準でもスタンダードとして認められています。ちなみに、シベリアンハスキーのなかでもブラックやブラウンの瞳を持つ犬もいますが、これは日光照射の多い地域に移動したことで変化に適応されていったと考えられるでしょう。
生活する環境に合わせて目の色を変えていくことで、日光を多く浴びてもトラブルが起こらないように工夫していったのですね。
犬の目の形―3種類
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目の色だけでなく、目の形も犬種によって特徴があります。おおまかな分類として3つありますので、見ていきましょう。
1.アーモンド型(アーモンド・アイ)
アーモンドのように目じりが尖っている目。シェットランドシープドッグやスコティッシュテリア、レトリバーなどによく見られます。
2.三角型(トライアンギュラー・アイ)
目じりが少し吊り上がっていて、三角形のように見える目。柴犬などの日本犬全般、ブルテリア、アフガンハウンドなどに見られる目の形です。
3.丸形(サーキュラー・アイ)
全体的に丸くて円状の目。フォックステリアをはじめ、パグやフレンチブルドッグ、チワワなど目が飛び出している犬種に多く見られます。
なお、丸形には「オーヴァル・アイ(卵型・楕円形の目)」と「バルギング・アイ(出目)」という形が含まれています。この2つはもともと丸形から派生したものを考えられており、大きな分類としては丸形に該当します。
特にオーヴァル・アイとサーキュラー・アイはよく似た形をしていることからも、区別させずに1つにまとめられることが多いでしょう。
目の形は犬の感情によって変化する
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あまり知られていないのですが、犬の目の形は、犬がどんな感情かによって変わります。というのも、犬は相手に自分の感情を伝える際にアイコンタクトやボディーランゲージを積極的に使うからです。
犬が怒りや威嚇の感情を持っている場合、額を鼻にしわを寄せることで目の下の筋肉が引っ張られて目が大きく見えます。パグのようにもともと目の大きな犬は分かりにくいですが、よく観察するといつもより更に目が大きくなっていることに気づかれることでしょう。
反対に、犬が「服従」や「反省」の気持ちを持っている時は目は狭まって非常に細く、小さくなります。イタズラを注意された時の犬が目をぎゅっとつぶって小さくなっている姿は、まるでお母さんに叱られた子どものようです。
愛犬が「ごめんなさい」と思っているかどうかは分かりませんが、飼い主さんが嫌な気持ちになっていることは感じ取っていることでしょう。そして、この場をやり過ごしたいと思っていることもあるかもしれませんね。
しっぽは犬の感情表現として見分けるポイントになりますが、実は目をよく観察することによって愛犬の感情を理解してあげることができるでしょう。