犬によって値段が違うのはどうして?
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ペットショップに行った時、同じ犬種なのに値段が全然違うのを見て「え?この違いって何なの?」と不思議に思われた経験はありませんか?
性別や毛色の違いなどである程度値段に差が出てくるのは分かるけれど、性別も毛色も大きさも特に違いはないように見えるのに、片方の犬の方が5万円~10万円も値段が高いという場合もあります。
実際に犬の値段の違いに関してこんな疑問を感じている人のコメントがヤフー知恵袋に掲載されていました。一部抜粋しながらご紹介します。
ショッピングモールのペットショップに行きました。トイプードルが5頭いたのですが、5頭とも値段が違いました。15~25万円で売られていて、10万円もの差がありました。月齢や毛の色、性別などで値段が違ってくるのは分かります。でも、誕生日が1週間ほどしか変わらず、毛の色もレッドと同じなのに、値段が5万円程度差がある2匹がいました。ネットを見ると、レッドの犬種の中には35万円という高値の犬もいれば、10万円という安い犬もいます。同じ犬種でこんなにも値段が違うのはなぜなんでしょうか出典:https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1339185878?__ysp=
ペットショップに行ったのですが、スプリングセールで3匹のミニチュアダックスフンドが1万円で売っていました。成犬ではなく、まだ子犬です。でもその前にアウトレットの中にあるペットショップに行った時には、ミニチュアダックスフンドは30万円近くしていました。この29万円の差って何なのでしょうか。1万円の方を買うと、何かトラブルが生じるのでしょうか出典:https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1038249115?__ysp=
同じ犬種、同じ兄弟でも価格が違うのはなぜでしょうか。血統で違いがあるのは分かりますが、同じ兄弟で違うのは不思議です。性別や器量、性格が反映するのでしょうか出典:https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1117217666?__ysp=
確かにこうしたコメントを見てみると、ペットショップによっても値段の違いがあるように見受けられますし、同じ犬種や兄弟、毛色であったとしても値段に違いがあることが分かります。
犬の値段はいったいどのような基準で決めているのでしょうか。この不思議についてここで取り上げていきたいと思います。
犬の値段はどのようにして決めているの?
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犬をペットとして迎えたいと思う際に皆さんはどこで犬を探しますか?
現在日本では、ペットショップから各家庭に迎えられる犬がほとんどの割合を占めています。実に8割程度がペットショップから購入していると言われています。では残り2割はどこからかというと、ブリーダーが繁殖している犬を直接購入する方法です。
ペットショップで販売されている犬も、ブリーダーが繁殖した犬を仕入れて販売しています。オークションで仕入れる場合もあれば、ブリーダーと直接契約をして自社のペットショップに仕入れているお店もあります。
ですから直接ブリーダーから購入する場合と比べると、仕入れ価格がプラスされて販売されるペットショップの犬の方がやや高めの設定になることは仕方がないことと言えるでしょう。
しかしだからと言って、直接ブリーダーから購入すれば安いのかというとそうではありません。ブリーダーによっても安く売るところもあれば、高い値段で販売するところもあります。
なぜなら犬の定価は明確に定められていないからです。つまり、個々のブリーダーやショップごとに販売価格を設定できるということです。それぞれの事業者が犬ごとにクオリティーを査定して、独自の基準で販売価格を設定しています。
「じゃあ、安い犬を買った方がお得ってこと?」と思うかもしれませんが、必ずしもそうとは言えません。犬のクオリティーは、ブリーダーが犬の飼育にどれだけのコストをかけたか、良質な犬を生み出すためにどれだけきちんとした環境を整えたかに大きく影響してくるからです。
ではブリーダーによってどんな違いが出てくるのか、次に取り上げてみることにしましょう。
優良なブリーダーもいれば悪質なブリーダーもいる
よりクオリティーの高い子犬を出生させるためには、きちんとした血統を持った親犬を育てなければなりません。もし健康に問題がある犬がいるなら、その犬の家系が血統付きであってもそれ以上繁殖を行わないなどの、厳格な血統管理を行う必要もあります。
そうした管理にはコストがかかります。しかし営利だけを目的とした悪質なブリーダーの場合、犬の健康などに問題があることが分かっていても、次々に繁殖させて安価な値段で販売する場合があるのです。
また優良なブリーダーの場合、健全な犬を飼育し育てるためにきちんとした環境を整えるので、そうしたコストもさらにかかります。たとえば感染予防や健康診断をきちんと行い、適切な治療を受けさせるので医療費がかかります。フードなどの消耗品、飼育にかかる人件費用、飼育施設を整備するためのコスト、血統証明書に登録するためのコストもあります。
しかし悪質なブリーダーの中には、飼育設備が悪辣でほとんど掃除もしない不衛生な環境で飼育する、適切な医療を受けさせない、安価なフードで済ませるなどして、コストを最低限に抑えて販売しているところもあるのです。
こうした飼育にかかったコストの違いも、犬の値段に差を生み出す理由の一つとなっていることを覚えておきましょう。
犬種ごとの標準的な相場ってどれくらいなの?
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犬種によっても値段はぜんぜん違います。人気が高い犬種だとそれだけ需要が高くなるので、相場も上がっていきます。つまり、需要と供給のバランスによって犬の販売価格も変動していくというわけです。
JKC(一般社団法人ジャパンケネルクラブ)に登録されている犬種の中で、登録等数が多いベスト10の犬種(2018年)の標準相場を見てみることにしましょう。
1位 | トイプードル | 30~50万円 |
2位 | チワワ | 15~25万円 |
3位 | ミニチュアダックスフンド | 20~30万円 |
4位 | ポメラニアン | 20~30万円 |
5位 | 柴犬 | 15~40万円 |
6位 | ミニチュアシュナウザー | 15~30万円 |
7位 | ヨークシャーテリア | 15~20万円 |
8位 | フレンチブルドッグ | 30~50万円 |
9位 | シーズー | 10~20万円 |
10位 | マルチーズ | 15~20万円 |
同じ犬種であっても、価格に大きく開きがある種類もいますね。これは標準的な相場ですが、市場の変動で値段が変わることもありますし、ブリーダーやペットショップごとの方針によって値段に開きがでることもあります。
そして、次に考えたい「犬のクオリティーの査定基準」による違いも値段に大きな影響を与えていきます。では同じ犬種でも、どんなところを基準にして値段を決めているのか見ていくことにしましょう。