犬のリンパマッサージのやり方とは
msgrafixx/shutterstock.com
医療の進歩やドッグフードの品質向上などにより、わんちゃんの寿命は大幅に伸びています。また、愛犬の健康は『家庭から』という健康志向の飼い主さんが増えたことにより、「愛犬のホームケア」を強化する人も増えてきました。
今回は「愛犬のホームケア」の一つとして、誰でも簡単にできる「愛犬のリンパマッサージ」についてお伝えしたいと思います。
リンパとは何?
一般的に、『リンパ節』、『リンパ管』、『リンパ液』の3つをまとめて『リンパ(リンパ組織)』と言います。
リンパマッサージの『リンパ』とは『リンパ液』のことです。『リンパ液』とは血管から染み出した血漿(けっしょう)やタンパク質の成分などです。
リンパ液は全身に網のように張り巡らされている『リンパ管』の中を、老廃物を回収しながら『リンパ節』を経由して全身に流れています。
『リンパ節』はリンパ液の中継基地のような場所で、ここで細菌やウイルス、腫瘍細胞などがないかをチェックし、免疫抗体を作り出し、細菌やウイルスなどを撃退する重要な役割を果たしています。
リンパ液と血液の違いとは
全身を行き巡っているのなら血液と同じなのではと思いますが、血液が流れる管は血管、リンパ液が流れる管はリンパ管と、まず通り道である管が違います。
もっとも大きな違いとして、血液は心臓のポンプ機能によって全身を循環していますが、リンパ液にはポンプ機能というものがありません。そのため滞りやすいというのが特長です。
わんちゃんが体を動かすことでおこる振動や、体の外からのマッサージなどの刺激で流れるのです。血液と比べるとリンパ液の流れるスピードはゆっくりで、流れる速さも一定ではありません。
では、そのように流れに勢いのないリンパ液は滞ってしまうとどのようになってしまうのでしょうか?
リンパ液が滞ってしまうと
リンパ液は『老廃物を回収』しながら体の中を行き巡っています。『老廃物を回収』しながらリンパ液が滞ってしまうということは、不要な老廃物や毒素がうまく排出されないと言うことです。
老廃物の中には余分な脂肪やたんぱく質など、分子の大きな「粗大ゴミ」を含んだ水分などが含まれます。
そうしたものが滞れば身体には様々な不調が現れます。むくみやこり、自立神経の乱れ、さらには新陳代謝や免疫力まで低下してしまうことになります。
上記で説明した通り、心臓のようにポンプの役割をするものがないため、運動を行うことやマッサージをしてもらうことによって積極的に流さなければなりません。そして流れる過程で『リンパ節』を経由することになるのです。
『リンパ節』では何がおこっているの?
リンパ節はフィルターとしての役割があり、身体に入ってきた細菌や老廃物を濾して、リンパ液はきれいな液体となって流れていきます。病気から身体を守るためパトロールをしてくれているのです。
異物の侵入を確認すると、リンパ節では免疫細胞がボディーガードとして戦ってくれます。そのためリンパ節が腫れてしまうということが起こります。私たちの体もしくは愛犬の体の中では、気がつかないうちにこのような戦いが行われているのです。
リンパが滞り流れないと、体内に老廃物がたまって侵入した細菌やウィルスに抵抗する力が弱まってしまいます。それはつまり免疫機能が下がるということで、様々な病気につながります。
ですからリンパ液が滞ることなく流れるためにも、愛犬のマッサージは大切と言えるのです。
犬のリンパ節はどこにあるのか
Billion Photos/shutterstock.com
①頸部(けいぶ)リンパ節
両手で頬を覆った所にあります。リンパ液が滞ると外耳炎や口内炎が治りにくくなってしまいます。
②腋窩(えきか)リンパ節
場所は脇の下にあります。ここでリンパ液が滞ると肩の痛みや、足のむくみが出てくるようになります。
また、呼吸により侵入したウィルスに反応するため、風の引き始めに痛みを感じることもあるようです。
③鼠径(そけい)リンパ節
足の付け根の中央に位置し、下半身にリンパが流れ込む大切なところです。ここでリンパ液が滞ると下半身や足がむくみ、下半身が太くなる原因となります。
④膝窩(しっか)リンパ節
場所は膝の裏側です。ここでリンパ液が滞ると足や膝が痛み、足のハリがなく押しても弾力がなくなります。
リンパの最終出口の場所は左肩甲骨です。全てのリンパが静脈に流れるところで、マッサージのスタート地点でもあります。