「英語があまり得意じゃないのに、仕事で急に英語でプレゼンテーションすることになってしまった!!」なんて大ピンチが訪れた時に参考になる、英語初学者のためのプレゼンのコツをご紹介します。もちろん、日頃から英語学習をすることが、こういったピンチを切り抜けるための一番の近道なのですが、いざ間近にせまったプレゼンを前にして、「ああ、もっと勉強しとけば良かった・・・」なんて後悔しても仕方がないですよね。
この記事では、英語初学者の方向けに、流暢な英語が話せなくても「メッセージが伝わる」プレゼンにするためのノウハウをご紹介します。短時間の付け焼き刃で完璧な英語を身につけることは難しいですが、いくつかのポイントを抑えるだけで、随分伝わりやすいプレゼンになります。ぜひ参考にしてみてください。
「伝わる」英語プレゼンをするためのポイント
第一印象を左右する始めの挨拶:日本人が言いがちなNGフレーズに注意!
日本人の方がプレゼンの始めに、
Ladies and gentlemen, my name is Taro Yamada from ○×. I would like to introduce our new project today.
(みなさん、私は○×から来た山田太郎です。今日は弊社の新しいプロジェクトについてご紹介したいと思います。)
と、ladies and gentlemenを使っているのを聞くことがあります。しかしながら、このフレーズをアジア人(主に日本人)以外が使っているのは聞いたことがありません。Ladies and gentlemenは、非常にフォーマルな表現です。通常のプレゼンであれば、もっとシンプルに、Good morning/good afternoon/good evening, everyone. (皆さん、おはようございます/こんにちは/こんばんは。)と言って始める方が自然です。
ちなみに、アメリカ人ネイティブの夫に「ladies and gentlemenからプレゼン始めるのってどう思う?」と聞いてみたところ、
You have never (and will probably never) be in correct place to say ladies and gentlemen.
(きみは今まで(そして多分これからも)一度も”ladies and gentlemen”と言うのにふさわしい場に居たことがないと思うよ。)
と断言されてしまいました。「ふさわしい場」というのは、豪華なディナーパーティを主催するとか、アカデミー賞授与のようなかしこまった場だそうです。
また、英語に自信のない方が、
I am sorry. My English is poor.(すみません。私の英語は非常につたないです。)
とおっしゃるのを聞くこともよくあります。とても気持ちはわかるのですが、日本と違って、欧州ではこのような表現は「謙虚」ではなく「卑屈」と取られてしまいます。相手に悪い印象を与えるだけで、「英語が苦手」という事実は何も改善しないので、これだけは絶対に言わないようにしてください。英語が苦手でも、開き直って堂々としていれば、逆に良い印象を与えることができると思います。
プレゼンテーションの構成のポイント:Keep it simple!
良いプレゼンをするには多少の混乱やサプライズがあると良いという話もありますが・・・あまり言語力に頼れない時は、何よりもまず相手に内容が「伝わる」ことが重要です。TEDのような難易度の高く洗練された表現は、英語が上達した未来の自分にお任せして、ここでは、プレゼンの「型」と「易しい・短い・ゆっくり」をポイントに、できるだけシンプルなプレゼンを構成することを目指してみてください。
いつもよりも「型」を意識したプレゼンに!
プレゼンの構成は、フォーマット通りの「典型的でわかりやすい」ものの方が伝わりやすいです。「いま何が話されているのか」や「次に何が話されるのか」を聴き手とすんなり共有できるということが強みです。典型的なプレゼン構成としては、例えば以下の三部構成が挙げられます。
- Introduction(導入)
- Main topic(主題)
- Conclusion/summary(結論/まとめ)
Introductionで、おおまかな概要や事前知識などを導入します。そして、Main topicでは、例えば、何かを提案する際には、Problem(問題)やSolution(解決法)などの具体的内容を述べます。特に重要なのがSummaryで、最も伝えたいメッセージ(take home message)を数行でまとめたスライドを用意しておくと、プレゼンテーションの途中で多少躓いてしまっても、最終的になんとかなったりします。
「見出し」を効果的に導入する
上の「型」の話とも関連しますが、「このスライドで何を話すか」が1行でまとめられたような見出しがついていると、聴き手が話の内容についてのアイディアを理解しやすいです。ある程度アイディアが共有されると、発音が悪く聞き取れない単語でも聴き手の頭の中で自動的に補間されるので、何を話しているか伝わりやすくなります。しかしながら、ここで読むスクリプトを全てスライドに書いてしまうのは逆効果ですのでお気をつけください。重要なポイントが聴き手に伝わりにくくなってしまい、混乱させてしまいます。
話し方も、この見出しを効果的に利用すると良いです。例えば、Our new product(新商品)という見出しをつけたとして、スライドを切り替えた時に、
Next, I would like to talk about our new product.
/Okay, let’s move on to our new product.
(次は、弊社の新商品についてお話します。)
と言うと良いです。
単語や文はなるべく平易で短いものを!
まず、あなたのプレゼンから、発音が難しい単語と長い文を徹底的に消して、平易な単語と短い文に置き換えましょう。無理に難しい言葉を使う必要は全くありません。どうしても使わないといけないが発音が難しい単語がある場合は、オンライン辞書などで音を聞きながら何度も練習しましょう。話すときには、ハッキリ丁寧に発音して、なるべくゆっくり話しましょう。英単語の発音に関しては、English hackerの過去の記事①や②などを参考に練習してみてください。
質疑応答の切り抜け方:ピンチに備えて覚えておきたい英語フレーズ
最後の難関である「質疑応答」で、ピンチになったら使えるフレーズをいくつかご紹介します。英語が苦手だからといって、あなたが劣っているわけではありません。相手の質問に答えるために、質問をゆっくり繰り返してもらったり、平易な言葉で言い換えてもらったりすることは全然問題ないです。うまく聞き取れなかった時は、慌てず、堂々と聞き返しましょう。
相手の質問が聞き取れなかった時
Sorry, I didn’t catch your question. Could you repeat that?
(すみません、質問が聞こえませんでした。もう一度言っていただけますか?)
Sorry, I didn’t understand your question. Could you repeat that more slowly?
(すみません、質問がわかりませんでした。もう一度ゆっくり言っていただけますか?)
相手の質問が難しくて意味がわからなかった時
言い直すのではなく、別の言葉で言い換えて欲しい時はrephrase(言い換える)を使います。
I don’t understand your question. Could you rephrase that?
(あまり質問の意味が良くわかりません。別の言葉で言い換えていただけますか?)
質問にどうしても答えられない時
聴き手が大勢いるような大きな会議で、質問の意味がわからず時間だけを消費してしまう時の最終手段です。このような時は、以下のフレーズを使うと、セッション後に直接お話しすることを申し出ることができます。
Sorry, I don’t understand your question. Could we talk directly after this session?
(すみません、質問が理解できません。後で直接お話しできますか?)
以上、いかがでしたか?英語でのプレゼンは大変ですが、その後の英語学習のモチベーションに繋がったり、あなたを大きく成長させてくれる糧になるはずです!Good luck!