1個の正方形を8×8の正方形のブロックに分けています。さらに、この正方形をA、B、C、Dの4つのブロックに分けました。この4つのブロックをバラバラにして並べ替えることにより色々な形を作ることができます。色々な形の中のひとつとして長方形もあります。あなたはこの4つのブロックを並べ替えて長方形を作ることができるでしょうか。
4つのブロックの形を確認しておきましょう。
4つのブロックA、B、C、Dを正方形の外側に出してみました。この4つのブロックを組み合わせて長方形をつくって下さい。長方形といっても大きさもわからないのでは組み合わせることはできませんね。
出来上がる長方形は下の大きさです。
4つのブロックを組み合わせてできる長方形は下のような大きさになるはずですが、本当にできるのでしょうか。
長方形を作るとしたら...。
正方形を作っていた4つのブロックを下のように並べ替えることにより、長方形を作ることができるのではないでしょうか。
しかし、何かおかしくないでしょうか。正方形と長方形の面積を確認してみて下さい。
正方形の面積と長方形の面積が等しくありません。
正方形と長方形のどちらも同じ4つのブロックで作られています。それならば正方形と長方形の面積は等しくなっているはずです。しかし、下の図を見る限りでは、2つの図形の面積は等しくなっていません。正方形の中には小さな正方形のブロックが64個あり、長方形の中には小さな正方形のブロックが65個あります。
4つのブロックの組み合わせ方を変えて出来上がった長方形の面積は、元の面積よりも小さな正方形のブロックひとつ分だけ増えていることになります。なぜ、このようなことが起きたのでしょうか。こんなことあって良いのでしょうか。
A、B、C、Dの4つのブロックを組み合わせてできた図形は、本当に長方形なのでしょうか。
長方形のように見えますが、実際には長方形は出来上がっていないのです。A、B、C、Dの4つのブロックを並べて出来上がるのは、隙間のある長方形です。下の図の赤い部分がその隙間です。赤い部分の面積が、小さい正方形のブロックひとつ分の広さということになります。なぜこのようなことになるのでしょうか。確かに4つのブロックを組み合わせて長方形ができたはずなのに...。
長方形を作っていると思われる4つのブロックのうちの2つのブロックBとDを詳しく見てみましょう。
長方形の中にあるBとDのブロックは、形が変わっています。
下の3つの図のうち、上2つは正方形の中で作られたものです。赤い円で囲まれた頂点は直角に交わっている直線の交点上にあります。
下の図は長方形の中で並べられたものです。赤い円で囲まれたBとDの頂点部分を見ると、上2つの状態とは異なっています。つまり、長方形の中に並べられているBとDのブロックは正方形の中にあったものとは異なっているということです。赤い隙間の部分の面積はほんの少しだけなので、なかなか気付くことができません。
4つのブロックを重宝家の中に並べると、隙間ができてしまうことがわかりました。
4つのブロックで長方形が出来ない理由は、長方形の対角線と、長方形の対角線と重なっているように見えるブロックB、ブロックDの傾き方が一致しないことからも説明することができます。
答えです。
4つのブロックA、B、C、Dを組み合わせて長方形を作ることはできません。
長方形は出来上がっているように見えるのですが、こんなこともあるのですね。
ものの見え方って色々ありますね。日常では対象物をしっかりと見なければいけませんが、時にはわざと錯覚を楽しんだりすることもできます。手のひらに穴があいてしまったかのような体験ができる という対象物を見る方法も興味深かったです。