はじめに


奄美の夕日は格別なんです。海にポトンと降りて行ったり、山と山の溝にスーッと吸い込まれていったり。地形が複雑だからいろんなバリエーションの日の入りシーンを見ることができて、毎日うっとりです。もちろん、季節や天気、湿度によっても様々な表情を見せてくれるので、何度でも行きたくなっちゃいますね。

Text&Photo:とまこ

立神さまに太陽降臨。笠利湾の夕景が神々しすぎる


これは5月の夕焼けです。場所は笠利湾沿いの小さなビーチ。グランピング施設の「HOLLY CAMP」さんのすぐ隣、ベンチのある見晴らしスポットから降りられる浜で眺めました。
湿度たっぷりで気温も高い1日でした。そんな日はワクワクしちゃうんです! 夕焼けが赤く見えるのは、大気中の水蒸気に暖色の波長が反射するからと聞きます。この日も、くるくる形を変える雲も、空気そのものも、存分に染まっていました。

湾の真ん中に、ちょこんとしてる島が見えるでしょう? あれが立神さま。理想郷ニライカナイからやってきた神が、まず立ち寄るところをそう呼ぶのです。5月には、水平線に吸い込まれる太陽と、そのすぐ近くの島影と立神さまとが画におさまるので神々しさが増します。


◆笠利湾
所在地:鹿児島県奄美市笠利町外金久笠利町大字外金久

大自然の中に街がちょこん。人の営みを大きく見下ろす大熊展望台


大熊集落から北へ続く山道を登っていくと、大熊展望台が現れます。ここは名瀬湾を見渡せる所で、絶好の夕焼けスポットでもあるんです。

展望台のすぐ下の斜面が、だんだんと赤く染まってきています。そんな中、大熊漁港へと船が入ってきて……どこからきたのかな、今夜は大熊港に船をつけておくのかな。いろんな質問が頭を飛び交いますが、もちろん答えはもらえません。
そうして太陽は、島影へと吸い込まれていくのです。ちなみにこの時は12月。夏場は水平線に沈んでいきますよ。どっちもロマンチックなので、ぜひ四季折々の夕日を見に訪れていただきたいです。


◆大熊展望台
所在地:鹿児島県奄美市名瀬大字大熊

ヤシの木の間に太陽が沈む。南国の夕焼けムードが抜群の大浜海浜公園


海外の南の島に期待しそうな、いかにも南国の夕焼けらしい世界に埋もれるなら、大浜海浜公園へどうぞ。丘の上の駐車場と、浜辺すぐの駐車場、どちらにもヤシの木が整列しているので、ぜひそれらの間から夕日を眺めてみてください。
これは5月に訪れた時の写真です。大浜目の前のビーチから、水平線へと沈んでいく様子が見られるとき。思いっきり南国チックで、ここが日本だとは信じられないようなショットが撮れるかもしれません。


◆大浜海浜公園
所在地:鹿児島県奄美市名瀬小宿大浜7701-1

「西郷どん」のオープニングの舞台、宮古崎の夕景は壮大すぎる


大河ドラマ「西郷どん」のオープニングの最後で、西郷どんが風に吹かれて立っているのがここ、宮古崎の先端です。海にぐるっと囲まれた約1.5km藪道を歩いていくのはなかなか大変でもありますが、達成感と浸れる度は半端ないですよ。しかもご褒美がこの夕日だから。
宮古崎から西を見るとこう。島影が重なるなんとも奄美らしい風情が、存分に心を震わせてくれます。冬場はもっと太陽が陸地に近寄って、複雑な光を作ってくれることもありますよ。


◆宮古崎
所在地:鹿児島県大島郡大和村大字国直668-7

冬場の一番神々しい夕景。戸円ふれあいパークの夕景は絶対に見てほしい


戸円ふれあいパークから西を向くと、低い岬の向こうに、山がどっしり構えた半島が控えています。この高低差と複雑な入り組み方が、最高の夕景を作り出してくれるのです。
写真は12月の末で、雲の多めの時でした。どんな色に反射してくれるのかドキドキして待っているとこうなったのです。「神様降臨!」と言いたくなるほどの絶景には、ハートの雲(右上)まで加わって、見ているこちらは大いに脱力。この夕景の一部になれたことだけでも、奄美にやって来てよかったと思えるのでした。

おわりに


湿度が高く地形が複雑な奄美は、夕日スポットを口にしだしたら枚挙にいとまがありません。地図から地形を見て、太陽の方向を考えて、あなたのとっておきスポットを見つけるのも、思い出にきっと深く残りますね。

◆とまこ
明治大学在学中からバックパッカーとしてデビューし、卒業後は秘境ツアーコンダクターに。現在は旅作家&おしゃれパッカーとして本の執筆や講演、TV出演など多方面で活躍中。著書に『離婚して、インド』(幻冬舎文庫)、『世界の国で美しくなる!』(幻冬舎)、『台湾で朝食を 日常よ、さようなら!』(メディアパル)など既刊12冊。2018年5月14日には奄美観光大使に就任。


情報提供元: 旅色プラス