はじめに


コロナ禍で生活リズムや日々の行動がだんだん変わってきた今、運動不足に悩む方も多いはず。そんな時は自転車に乗って、近所の街や川沿いを走って気分転換へ! 安全に自転車を楽しむためのポイントを、プロのロードレーサーである西 加南子さんにお話を伺いました。

text&photo 西 加南子

コロナ太りなんてぶっ飛ばせ! コロナに負けないママチャリでプチ街トリップ


今回のコロナ禍において、自転車の良さが再認識されています。買い物ついでにちょっと遠回りして公園に行ったり、カフェに寄ったり、車よりも小回りはきくし、徒歩だと遠いけど車だと見つけられないお店や景色を発見できるのが魅力です。駐車場を探す手間がないのもお手軽だし、お財布に優しいし。エクササイズにもなるのもいいですよね。

写真:リビングをジム化、スマートトレーナーに自転車を設置してトレーニング中の風景。目の前にはTVモニターがあり、仮想コースが映し出されている


早速自転車で街へ向かうとして、肝心な自転車について。みなさんは、どんな自転車に乗ろうと思っていますか?
私の愛用は、もっぱら“ママチャリ”! ロードレーサーに乗って人と競争するのが私の本職だけど、生活するうえでの脚として、いやそれ以上に私の精神安定に欠かせないのが、“ママチャリ”なのです! 密を避ける移動手段として、自粛のストレス発散として、これから自転車を始めるなら、いきなりロードレーサーに乗るのではなく、日常生活が快適にちょっと楽しくなるママチャリの活用をおすすめしようと思います。


ママチャリは、大きく分けて従来の非電動タイプと電動タイプがあります。私が普段乗っているものは、非電動タイプの3段変速シティサイクル。何台か乗り継いでいくなかで、同じ距離でも短く感じ、走行感も良い気がしているので、軽量なものを選んで愛用しています。

そんな私が、初めてお母さんの電動ママチャリに乗ったときの一枚がこちら。
写真:初めて電動自転車に乗ったときの一枚。思わず疾走中


電動であれば「これがあればどこまでも行けちゃうんじゃない!?」と思ったくらい出だしが軽く感じて。思わず笑ってしまったところを、初電動記念にパシャリ。ちょっと興奮ぎみに疾走してしまうほど、本当に衝撃を受けました。

坂道が多い場所にお住まいの方や風が強い日にも自転車に乗りたい方、ちょっと眺めのいい高台あたりまで行きたい方は、電動自転車を検討してみてもいいかもしれません!


これだけは気を付けてほしい、自転車乗りメソッド


写真:ママチャリで川沿いの桜並木にあるベンチへ。おやつを楽しんだり、持参したコーヒーを飲むことも


街へ自転車で出かけるとき、安全のために気を付けたほうがいいことが大きく分けて3つあります。


ひとつめは、とっても大事な交通ルールと安全面について。自転車は基本左側通行で、かつ車道を走ることになります。自分が気を付けて走行することはもちろん、車に巻き込まれることも防がなくてはいけません。
例えば、自転車にまたがってスタートする時。進行方向だけでなく、後ろから来る車がいないか確認することが大切です。自転車はスタート直後とストップ直前が一番車体のグラつきがあることを念頭においてくださいね。交差点を直進する時は、左右からの車だけでなく後ろから左折してくる車もいないか確認を。一番多い巻き込み事故を、ぐっと防止できます。
また、ママチャリでも何か被り物をすることを意識しておいてください。街を走るときの日焼け防止にもなりますし、もしもの転倒でも頭に布1枚あると怪我の程度は違うものです。

写真:この時のウエアはCCPフィルタートップオーバーシャツ。スタンドタイプの襟でマスク状態に口を覆える。 マスクを下に装着すればさらに安心


ふたつ目は、自転車の乗り方について。最近はどこへ行くにも手放せないマスクですが、身に着けたまま自転車を漕いでいる時、呼吸が苦しくなったりしていませんか? 鼻だけの呼吸が厳しくなったなら、吐く時は息を口から細―く、長―く、線で吐くイメージで、吸う時は鼻から深く吸ってみて。息が上がった時でも少し呼吸が楽になるはずです。熱中症に気を付けて、水分補給もマメに行いましょう。
エクササイズ効果をより求めるなら、自転車のペダルを踏みこむ時は腹筋とお尻を使ってペダルを踏み下ろすイメージで! お腹が締まり、ヒップアップに繋がりますよ。また、濡れたマンホールやグレーチング蓋の上でハンドルを切ったり、ブレーキをかけたりすると横滑りしやすいので、要注意です。

最後は、自転車のメンテナンス。定期的なメンテナンスはもちろん、タイヤには適正空気を入れましょう。街を走っていても結構見るのですが、タイヤが凹んだ状態で走る方! それだけで走りは重いですよ~!


心配性の私は言い出したらキリがないのでこのくらいにして。自転車に乗るときに少し気を付けているだけで、避けられる大きなリスクなので、しっかりチェックなどして安全にチャリライフを楽しみましょう。

さあ、自転車に乗ってご近所旅にでかけよう!


コロナで自粛中の私は、ママチャリで近所の散策をするのがちょっとした楽しみでした。普段ママチャリで行く場所といえば、駅とスーパーあたりだけだけれど、全く目的地を決めずに普段行かなかった方向、車では行けなかった細い道に進んでみたりしてみることにしたのです。そうすると、家から5分でぱっと開けた緑地があったり、正面までしか行かなかった神社の敷地が思いのほか広かったり、「こんな近くにこんな場所があったんだ!」という発見がいくつもあって。意外と近くにワクワクすることがあるものですね。

写真:桜並木をサイクリング。休憩して、また次の目的地へ走る


出かける時には、エコバックにレジャーシート、コーヒーを入れた保温タンブラー、お菓子もちょっと入れてカゴにポン! 途中でいいベンチや眺めのいい場所に、持ってきたものを広げれば自分専用の即席貸し切りカフェになり、ちょっと贅沢な気分を味わえます。
私の場合、空になったレジャーバックに無人販売で買ったトマトを入れて帰ることもしばしば。やっぱりカゴ付きの自転車は便利です。
コロナ禍のこんなタイミングだからこそ、近所を探検する楽しみを見つけに、皆さんもお手軽な自転車を活用してみるのはいかがでしょうか?



Profile
◆西 加南子 (LUMINARIA)

2009年全日本選手権で初優勝。ジャパンカップサイクルロードレースでも優勝経験がある。日本代表で海外のレースにも参加したことがあるベテラン選手。“女は年齢じゃない肌と筋肉だ!”をモットーに、チャレンジを続けており、若手選手と戦うことも楽しんでいる。BlogやFacebookでも発信中。Instagramは、luminaria_243で検索。


情報提供元: 旅色プラス