はじめに


一生に一度は宿泊したい。そんな羨望の的として必ず名前が挙がるのが「星のや」。昨年、東京・大手町に日本旅館をオープンして話題をさらった当ホテルが、なんと今から1カ月前に、年初にひっそりと初の海外進出を果たしていたそう。しかも、オープンした場所はバリ島というビーチリゾート。なぜ今?海外に?バリにオープンしたの?その謎を解き明かす、「星のや」がバリ島観光に求めた新しいコトとは。

「星のや」ブランドがバリへ進出


最高のロケーションと最高のホスピタリティー。2005年にオープンした軽井沢を皮切りに、日常ではありえない滞在を私たちに提供してくれる「星のや」。彼らが一貫してこだわり続けるのが、その土地とのつながりです。

例えば、沖縄で観光地化がまったく進んでいなかった、手つかずの島、竹富島にオープンしたときの話。その土地の観光資源を荒らされることを危惧し、大型ホテルの進出を竹富島の住人はかたくなに拒んできましたが、「星のや」が開業を許されたのは、彼らが軽井沢をはじめとして、その土地の景観を損なうことなく、うまくその土地と共存するための関係性を築いてきているから。

地元に馴染む、都市に馴染む――。

それが「星のや」流の宿泊施設をオープンする際に徹底するスタイルなのかもしれません。

そんな彼らが2017年1月20日、「星のや」ブランドとしては初の海外進出となる「星のやバリ」を開業。場所はインドネシア、バリ島のビーチから離れたウブドの渓谷。初の海外進出する際に、彼らの真骨頂ともいうべき「地元に馴染む」スタイルの‶格好の標的″だったのが、巨大な産業としてビーチリゾート化してしまったバリではなかったのかと勝手に推測します。いわば、現在のバリ観光に対する「星のや」からのアンチテーゼなのかもしれませんね。いま考えると「星のや」が近代のビル群が並ぶ大手町に日本旅館をオープンしたのも、本来あるべき東京の姿を取り戻すためだったのかもしれません。

バリ島≠ビーチリゾート


そんな推測はさておき、「星のやバリ」があるウブド東側の地域一帯は、未だ観光開発がなされていない貴重な伝統的集落群です。インドネシアの伝統的な集落が残るエリアに位置します。バリの神話に語り継がれる聖なる川・プクリサン川と、その流域に広がる世界遺産の風景を支えているスバック。そのふたつの水源に囲まれ、バリの伝統建築であるヴィラを模した客室が3つの運河のようなエメラルドグリーンのプールに面して建っています。それはまさにバリの川に位置する集落そのもの。バリのヒンドゥー寺院や伝統的な家、集落について学び、バリの工芸品についても研究しつくしたゆえの、「星のや」でしか成しえない、バリの文化と調和した空間になっています。
バリ島の内陸部、ビーチ沿いでは絶対に出会うことはない、バリ・ウブドの大自然を目の当たりにできるのもポイントです。ジャングルの中に造られた「カフェ・ガゼボ」は、まるで宙に浮いているかのような設計で建てられていて、自然と一体化し、時間とともに移りゆく渓谷の表情を眺めながら一息つけます。
同じく往々と生い茂るジャングルに張り出す開放的なダイニング。そこで味わえるのは、バリの食材を熟知したシェフによる「コンテンポラリーバリニーズ」です。バリは天然香辛料の宝庫。さらに山の幸、海の幸も豊富です。10皿におよぶコース仕立てで、多彩なスパイスが織り成す新しいスタイルのバリ料理を堪能できます。

バリの素顔に触れられるアクティビティ


「星のや」といえば、滞在する人たちを飽きさせない多彩なアクティビティにも定評があります。バリの人たちはとても人懐っこく、地元の人との触れ合いの場が用意されています。

例えば、ライスフィールドをトレッキングするメニューでは、現地の方の案内のもと、美しい田園風景をカラダ全体で感じながら、バリの哲学「トリ・ヒト・カラナ」に触れ、世界的に希有な水利システムであるスバックを見学することができます。

また、バリ人の伝統的な信仰に欠かせないチャンナというお供え物作りも体験することができます。これからもバリの素顔に巡り合える多彩なアクティビティを用意するそうなので乞うご期待です。


◆星のやバリ
住所:Br.Pengenmbungan,Desa Pejeng Kangin, Tampaksiring, Gianyar 80552 Bali, Indonesia
チェックイン:15:00
チェックアウト:12:00

「星のやバリ」の詳細はこちら



おわりに


氾濫する南国リゾートに見つけた新たなオアシス。「星のや」のバリ観光への新しい”解答”をぜひ確かめに、2017年はバリ島へのトリップを計画してみては。
情報提供元: 旅色プラス