はじめに


旅色プラスでのインタビュー記事、TV番組「クレイジージャーニー」や写真集『奇界遺産』『世界の廃墟』でおなじみの写真家・佐藤健寿氏。
その最新刊『THE ISLAND 軍艦島』(朝日新聞出版)が2018年1月19日に発売されます。今回のテーマは長崎県にある世界遺産「軍艦島」。世界中の廃墟をめぐった佐藤氏にして、「廃墟の王」という軍艦島の写真集です。

最新刊『THE ISLAND 軍艦島』


”この町には耳をふさぎたくなるほどの静けさがある”
謎多き一編の「詩」に導かれた、新たな軍艦島の光景とは ──
「クレイジージャーニー」『奇界遺産』『世界の廃墟』
佐藤健寿が廃墟の王、軍艦島へ。


古くはローマの遺跡群から今日の東日本大震災の跡地まで、あらゆる文明=社会はいつか荒廃して自然に帰すことを、実は私たちは、経験的に、あるいは歴史的に、よく知っている。ところが私たちは永続的な進歩という共同幻想を維持することで、この社会をどうにか成立させなければならない。それは文明が本質的に抱えるパラドックスである。だからこの欺瞞からすでに解放された軍艦島に立つとき、むしろ私たちが矛盾だらけの存在であることに気付かされる。そして社会を成立させる幻想と無常の現実との境界に浮かぶ島で、語るべき言葉を失うのだ。
(あとがき「幻想と現実の境界に浮かぶ島」より)。
書名:『THE ISLAND 軍艦島』
著者:佐藤健寿
発売日:2018年1月19日
定価:2,200円+税
判型:A4判変型・上製 オールカラー112頁
発行:朝日新聞出版
これまで数多くの廃墟を撮影してきた佐藤氏が切り取った軍艦島の風景は、見るものに多くのことを教えてくれるでしょう。心が静寂に包まれそうな、ファンならずとも一度は手に取ってみたくなる一冊です。
 

 

 


著者略歴


佐藤健寿(さとう・けんじ)
写真家。武蔵野美術大学卒。世界各地の“奇妙なもの"を対象に、博物学的・美学的視点から撮影・執筆。著書に『奇界遺産』『奇界遺産2』(エクスナレッジ)、『世界の廃墟』(飛鳥新社)、『世界不思議地図』『SATELLITE』(共に朝日新聞出版)、『奇界紀行』(角川学芸出版)、『TRANSIT 特別編集号~美しき不思議な世界~』(講談社)、『ヒマラヤに雪男を探す』『空飛ぶ円盤が墜落した町へ』『諸星大二郎 マッドメンの世界』(すべて河出書房新社)など。テレビ朝日「タモリ倶楽部」、TBS「クレイジージャーニー」、NHK「ニッポンのジレンマ」、NHKラジオ第一「ラジオアドベンチャー奇界遺産」ほか出演歴多数。  




情報提供元: 旅色プラス