はじめに


普通の観光地もよいですが、せっかく旅をするのなら、刺激いっぱいの珍しい体験をしたい。そんなみなさんにおすすめなのが「珍スポット」です。その名の通り、他にはない珍しいモノとの出会いがそこにはあります。今回、夏にぴったりの珍スポットをセレクトしてみました。

Text&Photo: 金原みわ

年間13℃のひんやり鉱山には地下アイドルが?! 生野銀山<兵庫県>


生野銀山は戦国時代から近代にかけて開発された鉱山です。閉山後に整備された観光坑道は1kmにも及びますが、その坑内は一年を通して約13℃、心地良い涼しさの中で趣深い歴史を感じることができます。

また、日本中に鉱山跡は数多くありますが、生野銀山はおそらく日本でここだけが行っているユニークな試みがあります。生野銀山には採掘をしていた当時の様子を模したマネキンが60体置かれているのですが、その全てに名前が付けられており、「GINZAN BOYZ」という超スーパー地下アイドルとして活動をしているのです。

どの鉱夫マネキンも西洋顔のイケメンばかりですが、私の一押しは「狸堀りの源太」ですかね。ひょっこり横穴から顔を出した姿が愛しくって。

つい最近新曲もリリースされたばかりなので、まさにこの夏激アツの生野銀山。皆さんも是非、涼しい坑道で今日も採掘しているGINZAN BOYZの中から“推し”を探しに行ってほしいですね。


◆生野銀山
住所:兵庫県朝来市生野町小野33-5(シルバー生野)
電話番号:079-679-2010(シルバー生野)
入場時間:
4月~10月 9:00~17:30(16:50)
   11月 9:00~17:00(16:20)
12月~2月 9:30~16:30(15:50)
    3月 9:30~17:00(16:20)
※()は観光坑道受付終了時間
定休日:12月~2月の3カ月間のみ火曜日※火曜日が祝日の場合は翌日
料金:大人900円、中高生600円、小学生400円、小学生未満無料
アクセス:JR生野駅⇒[神姫グリーンバス約8分]⇒生野銀山口バス停下車徒歩約10分

ダムの水位が下がる夏だけ出現! 曽木発電所跡<鹿児島県>


鹿児島にある曽木発電所跡は、夏にしか見られない特別なスポット。明治42年に竣工し、当時は国内最大級の出力を誇りましたが、昭和40年に鶴田ダムの完成と同時に水没することになりました。しかし、ダムの水位が下がる5月〜9月にだけ湖底から出現。現在では“幻の発電所”とも呼ばれています。

中世ヨーロッパを思わせる煉瓦造りの遺構には苔が生え、まるでなにかのRPGに出てくる建物のようにファンタジックです。曽木発電所の対岸に展望台があり、そこから曽木発電所跡の写真を撮影することができます。
珍スポットではありませんが、曽木発電所跡の1.5km上流に “東洋のナイアガラ”と呼ばれている曽木の滝があり、こちらも魅力的です。滝幅210m、高さ12mという非常にダイナミックな滝で、私は豪雨の時に訪れてしまい恐怖を感じてしまうくらいの迫力がありましたが……(苦笑)。普段は美しく荘厳な光景を拝むことができるようなので、一見の価値ありです。


◆曽木発電所跡・曽木の滝
住所:鹿児島県伊佐市大口針持(曽木発電所遺構展望公園)
鹿児島県伊佐市大口宮人628-41(曽木の滝公園)
電話番号:0995-28-2600(曽木の滝観光案内所)
定休日:無休
アクセス:新水俣駅⇒[南国交通鹿児島空港連絡バス約47分]⇒大口バス停⇒タクシー約20分

何が起きても自己責任?! 肝試しになる動物園、ノースサファリサッポロ<北海道>


夏といえば肝試しですね。せっかくなので動物園で肝試しをしてみてはいかがでしょう。「なんで動物園で肝試しなの?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。実はこのノースサファリサッポロ、他にはない「距離感ゼロ」を謳っている動物園なのです。柵やガラスがないすぐ目の前に、指をも食いちぎることができるワニを見ることができたり、巨大なトラに直接餌をあげることができたりなど、スペシャルな体験が目白押しです。
一番のおすすめは、その名も“デンジャラスゾーン”。この先何が起きても自己責任、ということを了承して記名した者だけが訪れることができるそこは、超スーパーデンジャラス。長靴をつらぬく針を持つヤマアラシが歩き回る中を歩いたり(私はビーサンで挑みましたが)、ピラニアの水槽の上に敷かれた橋を落ちないように渡ったり、ドクヤモリの寝床の上を歩いていく。めくるめくドキドキハラハラ体験に冷や汗びっしょりで背筋がゾクゾク。肝試しと納涼をいっぺんに楽しむことができます。


◆ノースサファリサッポロ
住所:北海道札幌市南区豊滝469-1
電話番号:080-1869-6443
時間:7月27日~8月31日
   平日:9:00~17:00(最終入園:閉園1時間前)
   土・日・祝日9:00~18:00(最終入園:閉園1時間前)
※8月13・14・15日は9:00~18:00(最終入園:閉園1時間前)
※ノースサファリアドベンチャーのアクティビティ最終受付は閉園30分前
※季節によって営業時間が異なる。
定休日:年末年始、12月(要確認)
アクセス:真駒内駅⇒[じょうてつバス約25分]⇒豊滝小学校降車⇒[無料シャトルバス約10分]

突き出るフライにかぶりつく! 五味の市(ごみのいち)のカキフライソフト<岡山県>


旅に出たら何かその土地の物を食べたくなりますよね。夏の旅にぴったりなのが、ご当地アイス。全国各地には、ご当地の食べ物を使ったアイスがたくさんありますが、なかにはこんな変わりダネも。

岡山の日生(ひなせ)町はカキが有名ということで、“五味の市(ごみのいち)”の愛称で親しまれている日生町漁協の魚市場では、「カキフライソフト」を食べることができるのです。カキフライを、贅沢にも2個ソフトクリームに刺したこのカキフライソフト。外はサクサク、中はトロッとしたカキフライが、濃厚なソフトクリームと混ざり合い、仕上げの刺身醤油の香ばしさが鼻腔を抜けていく……。食べてみると、本当になんとも言えない絶妙なハーモニーが口の中に広がります。是非一度ご賞味あれ。


◆五味の市
住所:岡山県備前市日生町日生801-4(五味の市)
電話番号: 0869-72-3655(五味の市)
営業時間:9:00~16:00
定休日:火曜日(祝日の場合は水曜日)、年末年始
アクセス:JR日生駅より徒歩約15分

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おわりに


他にはない唯一無二の存在、珍スポット。ひとたび訪れてみるとそこでは、今までしたことのない経験ができたり、今まで出会ったことのない世界が広がっていたりするのです。その刺激があるから珍スポットへの旅はやめられません。この夏を、忘れられない熱い夏にしてみませんか。


◆金原みわ
珍スポットトラベラーという肩書きのもと、全国の珍しい人・物・場所を巡りレポートを行う。テレビやラジオなど各種メディアに出演するほか、数々のイベントを主催するなど幅広い活動を行っている。関西情報誌『MeetsRegional』でコラム連載中。著書としては『さいはて紀行』(シカク出版)『日本昭和珍スポット大全』(辰巳出版)『日本昭和珍スポット大全』(辰巳出版)『金原みわの珍人類白書』(有峰書店新社)などがある。
情報提供元: 旅色プラス