慌ただしい朝、出張先のホテルをチェックアウトして約束の商談へ向かおうとするも、ホテルのエレベーターがなかなか来ずヤキモキ、なんていう経験のある方は多いだろう。特にビジネスホテルは出張族の利用も多く、チェックアウト時刻が重なり混み合うことがある。エレベーター数が多ければ問題は改善されるが、繁忙時間帯に合わせて設けるわけにもいかないだろう。限られたエレベーターでやりくりしているホテルも大変だと思う。



エレベーターの位置を知らせるインジケーター(乗場位置表示器)が停まったままなかなか進まない時など「一体何やってるんだ?」なんてイライラすることもあるが、エレベーター内の映像が表示されるモニターが設置されているホテルもある。状況を確認できるのでストレスも少なく、防犯上も良い。


 

防犯といえば、地下駐車場から客室へ直行できるエレベーターは何かと便利だが、宿泊者以外も簡単に客室フロアへ侵入できるのは問題ありそうだ。宿泊者の派遣型風俗利用など、風紀が乱れる、と神経を尖らせているホテルも多い(確信犯的に黙認しているホテルもあり)。


 
フロント階に必ず一度停止し、扉が開くホテルもあるが、エレベーターのセキュリティは進化していて、最近増えたのがカードキーでタッチしないと行き先階のボタンが押せないというもの。客室のカードキーを持った者しか客室フロアに行くことができない。カードキーをかざさずにボタンを押すと「その階には停まりません!」と結構大きなボリュームでアナウンスされドキッとする。

ちなみに行き先階のボタンを間違えて押したときはダブルクリックするとキャンセルできる機種が多い(長押しや連打の場合もあり)。


 
セキュリティ上は秀逸なカードキー連動のエレベーターであるが、利用者からの評判は芳しくない。いちいち面倒臭い、という。確かに急いでいる時などイラっとすることがある。ロビーやフロント階へは、カードキーをかざさずともボタンが押せるケースは多いが、同じ客室の同行者がいる場合に、ちょっとロビーへ行ってくる、なんてカードキーを持たずに向かってしまえば、行きはヨイヨイ→戻って来られないという悲劇が待ち受けている。
 
(文:瀧澤信秋/ホテル評論家・Hotelers編集長)


情報提供元: Hotelers