みなさんこんにちは。トラベルジャーナリストの橋賀秀紀です。日本航空(JAL)の「スカイスイートⅢ」がとても興味深いです。ビジネスクラスはどうしても足元のスペースが無駄になりますが、高低差をつけたというレイアウトは世界初。また、プレミアムエコノミークラスの席数も多く、上級会員であればエコノミークラスからのアップグレードの可能性が高まりそうです。


さて、今回はそのJALではなく、ユナイテッド航空の新ビジネスクラス「ユナイテッド・ポラリス」について「フカボリ」してみたいと思います。


ユナイテッド航空、睡眠を重視した新ビジネスクラス「ユナイテッド・ポラリス」を発表


http://www.traicy.com/20160607-UAbusiness


2016年12月に導入されるボーイング777−300ER型機より提供されるユナイテッド航空の新ビジネスクラスが「ユナイテッド・ポラリス」です。その後に導入予定のボーイング787-10型機とエアバスA350-1000型機のほか、現在運航しているボーイング777-200型機、ボーイング767-300型機でも順次改装する計画です。


北極星を意味する”ポラリス”を冠したこの新サービスは「睡眠」をキーワードにオリジナルパジャマ(12時間以上のフライトで提供)、複数の枕、人間工学に基いて設計されたアイマスクなどが用意されています。また、シートもライバルのデルタ航空、アメリカン航空に続いて、ようやく全席が通路に面する形式となります。機内食も刷新するということですが、現状の米系航空会社の機内食のレベルからどれだけ向上するのかは正直ギモンではあります。



こうした刷新からは、現状国際レベルでみて、必ずしも高い水準にあるとは言い切れない米系航空会社のビジネスクラスの水準を向上させ、国際競争力をつけたいという意図が読み取れます。


それはもちろん結構な話なのですが、この報道に触れたときに一番気になったのがラウンジについてです。




ユナイテッド航空は、「ユナイテッド・ポラリス」のサービス提供に合わせて、世界9か所のラウンジを数年以内に「ユナイテッド・ポラリス・ビジネスクラスラウンジ」をオープンすることを明らかにしています。


リリースによれば、デイベッドやスパ風のシャワー、スパークリングワインなどもサーブされるブティックレストランも併設するとあります。この9か所に中には成田空港も含まれていますので、スターアライアンスゴールド会員ならエコノミークラス利用でもこの恩恵にありつける…と思うと早計に過ぎます。このラウンジはビジネスクラス利用者のみのラウンジなのです。ただし、ユナイテッド航空以外のビジネスクラス利用者も使えます。


ですから、エコノミークラスの利用客である限り、仮にユナイテッド航空のマイレージプラス最上級会員であるグローバルサービス会員であろうとも、このラウンジにはアクセスできないということになります。



実はこのようなマイレージ上級会員よりもビジネスクラス以上の利用客を優先する動きは今回の「ユナイテッド・ポラリス」のラウンジに限った話ではありません。有名な例としてはシンガポール航空本拠地のチャンギ国際空港では、スターアライアンスゴールド会員のエコノミークラス利用者は、ビジネスクラス利用者のラウンジとは異なる、かなりシンプル(言い方を変えるとイマイチ)なラウンジしか利用できません。カタール航空の本拠地であるドーハ、ハマド国際空港でのワンワールドサファイア会員のエコノミークラス利用時もしかりです。こうした流れは、アメリカを中心とする航空業界の流れに沿ったものといえます。


言ってしまえば、たくさん乗るけど単価の安い客は徐々に排除して、それほど乗らないけれども単価の高い(つまり航空会社を儲けさせてくれる)客を優遇するということです。


ビジネスという観点からすればまったく正しいのですが、マイレージの上級会員からみればサービス低下にほかなりません。こうした流れについては、また別の機会に論じたいと思います。


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情報提供元: Traicy