JR東海は、アメリカ・テキサス州の高速鉄道プロジェクトの開発主体に対する技術支援の実施に向けた準備の一環として、5月にもテキサス州・ダラスに子会社を設立する。社名はHigh-Speed-Railway Technology Consulting Corporationで、略称はHTeC(エイチテック)。資本金は150万米ドルとなる。取締役社長には、JR東海のワシントン事務所副所長の加賀山慶一氏が就任する。
これは、2022年にも開業を予定しているヒューストン〜ダラス間の約385キロを90分で結ぶ「テキサス・セントラル・レイルウェイ」が、2017年にも着工する見込みであることから、技術支援に向けた準備のため。開業すれば、北アメリカで初の高速鉄道となる。事業主体は民間企業のTexas Central Partners。東海道・山陽新幹線で活躍するN700系の改良版を導入する計画で、日本からも事業投資を行う。
ヒューストンとダラスは同じテキサス州の都市。1日28便以上が両都市を約1時間10分で結んでおり、ビジネスでの利用も多い。また、自動車で移動する場合、所要時間が5時間を超える場合も多く、2035年には交通渋滞などの理由で6時間半まで長くなる可能性があるという。これに伴う経済的損失も大きく、「テキサス・セントラル・レイルウェイ」の建設、開業で多くの雇用も生まれることから、数十億米ドルもの税収をもたらすものとしている。途中停車駅はなく、沿線の住民から不満が上がっていることから、1駅を建設する可能性もあるという。
国としても、新幹線技術の輸出は積極的に進めている。2015年12月にはインドのムンバイとアーメダバードを結ぶ新幹線の建設で合意。インドネシアでの導入は中国に逆転されてしまったものの、中国の技術も日本のE2系新幹線の中国への導入を機に行われた技術提供がベースになっている。2007年には台湾でも新幹線が開業しており、N700系をベースとした新車両の導入も検討している。重要なインフラ輸出の一つとして、発展著しいアジアを中心に売り込みに必死だ。
現在のところ、HTeCの従業員数は20名程度を予定しており、技術支援の実施はまだ協議を重ねている最中。決定次第発表するという。