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成田空港で5月25日、機能強化に向けた滑走路の整備工事が始まり、成田国際空港(NAA)の田村明比古社長ら関係者が、着工を記念する鍬入れ式を行った。
成田空港では、2029年3月末の供用開始を目指して、3本目の滑走路の新設と既存滑走路の延伸が計画されている。現在は幅60メートル、長さ4,000メートルのA滑走路と幅60メートル、2,500メートルのB滑走路の2本があり、両滑走路と同じ向きで幅45メートル、長さ3,500メートルのC滑走路を整備する。また、既存のB滑走路は北側に1,000メートル延伸して3,500メートルとし、エアバスA380型機など大型機の発着にも対応する。
完成後のB・C滑走路は、風向きに応じて離陸専用または着陸専用として使用。一方、A滑走路は従来通り離陸・着陸兼用の滑走路として使用する。また、滑走路別に異なる運用時間を採用するスライド運用を導入し、現在は午前6時から翌午前0時までとなっている発着時間を、午前5時から翌午前0時30分までに延長する。
これにより、年間発着枠は30万回から50万回に増える見通しだ。成田国際空港によると、年間発着枠が50万回になった場合、旅客数は現在の約2倍の7,500万人に、貨物取扱量は約1.5倍の300万トンになる見込みだという。
課題となっていた用地取得は、今年3月末時点で83%まで進捗。本格的な工事の準備が整ったことから、25日からB滑走路の本体造成、C滑走路の地盤改良に着手した。
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NAAの田村社長は、「世界の航空需要は今後20年で2倍になる。特にアジア太平洋地域は伸び率が高く、主要空港では施設整備が進んでいる」と指摘。「日本と首都圏の国際競争力強化、訪日客の受け入れ拡大、空港周辺地域の発展のため、成田空港の機能強化を図ることは喫緊の課題だ」と強調した。