航空調査会社のOAGは、航空市場が東京五輪の開催に与える影響は限定的であるという見解を示した。
通常、五輪開催時には、約14,000人のアスリートが参加し、サポートチームも同行するものの比較的少数であることから、五輪の成功に世界の航空市場が復調することはそれほど重要ではないとした。
2012年のロンドン五輪時の旅客数をみると、前年同時期と比較して1.4%増加した。内訳をみると、ロンドン発が2.4%増、外国発が0.2%増で、外国発の旅客数にはほとんど変化がなかった。外国からの渡航者を出発国別にみると、最大の市場であるスペインからの旅客数が大きく落ち込んでいる。ドイツからは増加、アメリカからは減少した。Visit Britainは、47万人がロンドン五輪の参加や観戦、関連業務を目的とした渡航だったと報告している。
2016年のリオデジャネイロ五輪の際には、リオデジャネイロ発着便の旅客数は前年と比べ、0.3%減少している。ブラジル発は6.7%減少したものの、外国発は61%増加していた。ブラジルの航空旅客市場は、通常時は国内線に大きく依存しており、リオデジャネイロ発着便を利用する旅客数の90%以上が、国内旅客であることが理由の一つだという。
OAGのBecca Rowland氏は、ロンドン五輪の翌年の同時期には、ロンドンへの航空旅客数が3.6%増加、とりわけ海外からの旅客数が5.2%増加したことを例に挙げ、「私たちの大多数がこの夏、安全が確保された自宅から五輪を観戦することになったとしても、日本にとっては大成功といえます。日本は国際航空旅客数に関して野心的な目標を掲げており、パンデミックにより目標達成は非常に困難な状況にありますが、日本政府が五輪に関する具体的な準備を整え、私たちのリビングやスマートフォンに直接ストリーミング配信することができれば、私たちの全員が今後、日本を訪問したいという気持ちになるはずです」とまとめた。