Go To トラベルキャンペーンの全国一斉停止から2週間。感染収束の兆しは見えず、ホテルや旅館を始めとする観光業や、公共交通機関などは厳しい冬の時代に突入した。
Go To トラベルが全国で一斉に停止したのは12月28日から。年末年始の移動を抑える目的だった。この当時は、1月12日以降については感染状況を踏まえて判断する事になっていたが、1都3県の緊急事態宣言の発出とともに停止期間が延長されたのは既報の通り。
この年末年始のGo To トラベルの停止について、感染抑制の効果があったかどうかは、明確な証拠がなく、断言はしづらい。ただ、Go To トラベルを継続するべきであったと主張するつもりもない。感染者数が減るように、Go To トラベル停止とあわせて効果的な対策を取るべきだったとは思うが、時既に遅しである。
2月末までのGo To トラベル延長を前提に、緊急事態宣言の当面の期間である2月7日までGo To トラベルは停止することが決まっているが、緊急事態宣言は関西にも対象地域が拡大され、宣言の解除は不透明。Go To トラベルの再開も、実質的には先が見えない状況だ。
全世界的に感染症が広まったのは昨年3月。もうまもなく1年が経過しようとしている。絶望的な海外旅行はともかく、国内旅行も都道府県境をまたいだ移動を控えてということで、断続的に制限されている。
ウィズコロナの時代、Go To トラベルの効果もあったとはいえ、"体力"のない観光地や事業者は確実に淘汰されている現状がある。
「コロナが落ち着いたら」というフレーズがよく聞かれるが、長いコロナ禍が明けたのちに残るのは、有名観光地や大規模ホテルチェーンばかりになるという危機感がある。もちろんこれらを否定するつもりはない。しかし、日本の豊かな自然、地方の特色を享受することを手助けしてきた零細な観光資源が失われたら、明らかに旅行がしづらくなるだろう。
星野リゾートは、マイクロツーリズムをPRする特設サイトを立ち上げ、ウィズコロナ時代でのさまざまな旅行のあり方を提案している。
このような動きは、比較的感染者が少ない地方からも生まれている。島根県の丸山達也知事は、9日、地域限定でGo To トラベルを再開してほしいという考えを示した。和歌山県の仁坂吉伸知事も、Go To トラベルが感染源にあたらないという考えを発信するなど、地方の首長から、現状の観光業の”体力”が失われている危機感から、Go To トラベルを一律に停止する以外の方向を目指したいという考えが聞こえてきている。
自県や隣の県への旅行から緩やかに再開していくというのは、大きな往来を抑えながら観光産業を復興していく1つの道筋になりうる。大きく落ち込む航空など公共交通機関の利用に繋がりにくいなどのデメリットもあるが、今の旅行自粛の流れからは十分すぎる前進だろう。