JR東日本は12月21日から、横須賀・総武快速線に「E235系1000番台」を導入する。同路線の近郊型車両としては、E217系以来26年ぶりのニューモデルとなるこの車両を詳しく見ていきたい。



E235系は2015年から山手線に導入されている車両で、同路線以外で導入されるのは横須賀・総武快速線が初めて。基本編成は山手線用のE235系0番台と同様、動力車6両、付随車5両(6M5T)の11両で、4M7TのE217系と比べて動力車が2両増加。付属編成は2M2Tの4両で、最大15両編成で運用する。制御システムとしてINTEROSが導入されており、旧方式(MON)を使用しているE217系との混結運用は想定されていない。





0番台と同様に車両機器や設備の状態監視システムを搭載しており、走行しながら機器状態のデータを収集して不具合の予兆などを把握できる。0番台との大きな違いとしては、非常走行用バッテリーを搭載していることが挙げられる。JR東日本として初めての導入で、停電などで万が一停止してしまった場合でも、自走して避難しやすい場所に移動できようになった。このバッテリー装置を床下に搭載したため、従来はそこにあった元空気溜め(ブレーキ等に使用する空気を溜める機器)が屋根上に移動している。また、0番台やE217系にはなかった半自動ドア機能が搭載されているが、横須賀・総武快速線でこの機能を使用する予定は今のところないという。





続いて車内を見ていく。普通車においては、E217系に比べて座席幅が10ミリ拡大した。同車両では一部車両にクロスシートを設けていたが、都心部での混雑緩和などのためE235系は全席ロングシートとなった。各車両にフリースペースが設けられているほか、1・6号車のトイレが車椅子対応型となるなど、バリアフリー性もE217系から向上している。ドア上と網棚上には、案内情報や広告を表示する液晶ディスプレイ(LCD)を設置。0番台では17インチだったが、1000番台では21インチに大型化し、視認性が上がっている。新たな機能として、運行支障時に全ての画面を切り替え、自動放送と合わせて情報提供するシステムが加わった。





基本編成のうち2両(4・5号車)は、E235系では初導入となるグリーン車。基本的な構造はE217系などと変わらないが、シート生地のデザインに特徴があり、全体の雰囲気に違いが感じられる。シートの背もたれ上部はより起毛感のあるモケットになっており、従来よりふっくらした印象だ。設備面では、この頃の新型車両としてはおなじみとも言えるコンセントを全座席に設置。公衆無線LAN(フリーWi-Fi)サービスも提供され、利便性・快適性が大きく向上した。グリーン車の案内情報表示装置にもLCDが採用されている。





E235系1000番台は12月21日にデビュー予定。今後4年程度で、基本編成51本、付属編成46本が落成する予定で、今年度はまず基本編成8本、付属編成8本が導入される。横須賀・総武快速線のほか、外房線の千葉〜上総一ノ宮間、内房線の蘇我〜君津間、総武本線の千葉〜成東間、成田線の佐倉〜香取間と成田〜成田空港間、鹿島線の香取〜鹿島神宮間でも運用される計画だ。



▲車両側面外観。半自動機能用のドアボタンがある。山手線と異なり、路線識別帯は横向き(クハE234-1001)

▲グリーン車側面外観(サロE234-1001)

▲側面のフルカラーLED行先表示器

▲側面のフルカラーLED行先表示器

▲正面のフルカラーLED行先表示器(クハE235-1001)。0番台は走行時、後部LEDに季節の植物のデザインが表示されるが、1000番台でも「運用時期に合わせて趣向を考えている」(JR東日本担当者)という

▲8号車の床下に非常用はしごが搭載されている(サハE235-1001)

▲普通車車内(クハE235-1001)。座席は全てロングシートになっている

▲普通車車内(モハE235-1200)。袖仕切りの形状などが0番台と異なっている

▲普通車端部のフリースペース(モハE235-1200)

▲普通車のドア周り。JR東日本横浜支社マスコットキャラクター「ハマの電ちゃん」のドア開閉注意喚起ステッカーが掲示されている(クハE235-1001)

▲半自動機能用のドア開閉ボタン(クハE235-1001)

▲ドア上に設置された21インチLCD。0番台と比べ4インチ拡大している(クハE235-1001)

▲運行支障時はLCDを一斉に切り替えて状況を案内。大雨、強風、運転打ち切りなど様々なケースに対応した自動放送も搭載

▲普通車のうち1・6号車にはトイレを設置(モハE234-1201)

▲普通車のトイレは車椅子対応(モハE234-1201)

▲グリーン車2階席(サロE234-1001)

▲グリーン車1階席(サロE234-1001)

▲グリーン車平屋席(サロE235-1001)

▲グリーン車2階座席

▲リクライニングした状態のグリーン車2階席

▲グリーン車では全席の肘掛け部にコンセントを搭載している

▲運転台(クハE235-1001)

▲運転台(クハE235-1001)

▲運転台に設置されているバッテリー走行の切り換えスイッチ
情報提供元: Traicy
記事名:「 グリーン車がレベルアップ? まもなくデビューの横須賀・総武快速線「E235系」に潜入(写真28枚)