Go To トラベルキャンペーンが、大きな転換期を迎えそうだ。楽天トラベルやじゃらんなどのオンライン旅行会社(OTA)を中心に、キャンペーンの割引適用条件を変更し、事実上キャンペーンが「改悪」された。
インターネット上では、「都民が旅行に出るようになったから改悪された」という主に東京都民以外の意見や、「10月から都民も対象になった矢先の変更は不平等だ」という東京都民とみられる意見がみられ、旅行者には疑心暗鬼や、今後のさらなる条件改悪に対する不安が広がっている。
この記事では、今までのGo To トラベルキャンペーンをめぐる動きを、TRAICYの過去の記事とともに整理してみようと思う。
また、この7月22日からの旅行については、「先行実施」と位置づけ、地域共通クーポンによる支援を見送り、最大35%の旅行代金の割引のみを行った。また割引販売の準備が整う前までの予約については、事後申請による還付も実施した。
新型コロナウイルス感染症に一定の抑制効果があり、Go To トラベルキャンペーンスタートから約2か月後の9月11日、東京発着の旅行を10月から対象にする方針が示された。同18日からは予約受け付けが開始され、10月1日から東京の除外が解除されたのは周知の通りだ。
また、地域共通クーポンの配布も10月1日から開始されることも発表された。これは新型コロナウイルスの感染症とは関係がなく、準備にある程度時間がかかるとして割引だけが先行実施されていたところに、現時点でも加盟店が十分あるとは言い切れない「見切り発車」とは言え、クーポンが「追いついた」という形であった。
ここ数日、楽天トラベルやじゃらんなどの最大手の予約サイト、その他の予約サイトでも割引上限金額の変更や利用回数の制限を「公平性」を名目に実施。dトラベルやRelux、一部の旅行会社では割引販売の中断・終了を発表した。いずれも予約サイトや旅行サイトの給付枠の割当が関係しているだろう。
ただ、単純に考えれば、7月から利用可能だった道府県民に対し、10月からやっと利用できるようになった東京都民に対して、一律の条件変更や販売終了は不平等感が拭えない。
今までのGo To トラベルキャンペーンの流れを整理したところで、Go To トラベルキャンペーン改悪の要因を整理する。
東京都民の旅行や、東京都を目的地にした旅行のGo To トラベルキャンペーンの適用が解禁された。約1400万人の東京都民がキャンペーンに参加できる変化も大きかったかもしれない。しかし、東京都民以外が「Go To トラベル」で東京都に旅行できるようになったことも、ある程度の影響があっただろう。日本中の殆どの空港から、東京に向かって飛行機が飛んでいる。新幹線はすべて東京にレールがつながっている。
表面的に「都民のせい」と言うことは簡単だが、東京行きのGo To トラベルキャンペーンの効果や、以下に挙げるような様々な要素があることも頭においておく必要がある。
9月から10月にかけて、地方自治体が助成金として予約サイトを通してクーポンを配布するなどの動きが相次いだ。Go To トラベルキャンペーンと併用可として配布するクーポンは予約が集中し、数時間で利用が終了となるクーポンも。
半額相当を自治体が補助し、Go To トラベルキャンペーンの半額補助と併用すれば、単純に宿泊代金全額が補助される。実際はここまで単純ではないが、宿や予約サイトの配布していたクーポンや、宿泊プランに組み込まれている食事券などを組み合わせれば、「儲かる」ことも十分にありえる。
SNS上でも盛り上がりを見せており、筆者もそんな「儲かる」プランを予約した1人だ。
新型コロナウイルスの感染者数は全国的に一時期に比べ落ち着きつつある。観光地でも客足は戻りつつあり、旅行会社も旅行相談の客で混雑する店舗も。
感染対策を徹底し、まずは近場から旅行を再開しようという流れは9月の4連休頃から始まり、高速道路は激しい渋滞に見舞われ、空港も混雑した。今後も旅行の復調傾向は続くだろう。Go To トラベルキャンペーンの利用は9月までは低調であったと報告されているが、それ以降の利用ペースは高まっていくのではないか。
主にオンライン旅行会社を中心にGo To トラベルキャンペーンの改悪が相次いだ。今後も割引販売を終了する旅行会社は出てくるだろう。近いうちに旅行を予定しているならば、なるべく条件が悪くならない早いうちに旅行の予約を済ましてしまうだろう。
一方で、これらの流れに対して、観光庁やGo To トラベル事務局は対応してくるだろう。キャンペーンは少なくとも来年1月末までで、継続的にキャンペーンを行わなければ観光業の回復は見込めない。ただどのような対応がされるかは未知数のため、しばらくは「情報戦」となるだろう。最新情報をチェックし、ぜひ本誌も活用していただきたい。