10月1日から「Go To トラベルキャンペーン」の本格実施が開始された。一方ですでに割引販売を終了した旅行業者も出現する状況も生じている。「Go To トラベル」給付金枠のナゾを解説する。
旅行業界は徐々に復調傾向で、観光庁によれば、キャンペーン開始約2か月の9月15日までの割引支援総額は735億円、予算の6.5%にあたる。事務局費用なども含んでいる予算に対して少ないのは間違いない。
一方で、すでに「Go To トラベルキャンペーン」の割引販売を取りやめたり、見合わせる旅行業者も出ている。
広島・呉〜松山を結ぶ瀬戸内海汽船は、瀬戸内海汽船トラベルサービスで販売していた「Go To トラベルキャンペーン」対象商品の割引販売受付を10月1日までに終了した。
また、JR東海ツアーズも、10月7日現在、一部の目的地の「Go To トラベルキャンペーン」割引販売を見合わせている。
予算の6.5%しか割引を行っていないにもかかわらず、販売終了はなぜか。原因は給付金枠にある。
Go To トラベル事務局は、旅行会社やオンライン旅行代理店(OTA)からの「GO TO トラベルキャンペーン」割引販売の申請に対して、各地域ごとの取扱実績や販売計画を提出させている。
その上で、Go To トラベル事務局は各旅行会社などに、各目的地エリアごとに給付金枠の分配を行っている。当然この取扱実績などが考慮されていると考えられる。
つまり、この取扱実績や販売計画とずれてしまう、旅行会社などが想定をしていないような売れ行きの場合、「Go Toトラベルキャンペーン」の給付金を一部(特定の目的地エリア)、または全部使い果たしてしまう状況がありうるのだ。
先の例では、瀬戸内海汽船は販売当初、広島県からの助成金(広島県誘客促進支援事業)と「Go To トラベルキャンペーン」の併用でおトクな旅行商品をアピール。JR東海ツアーズも東京〜大阪間往復が実質約7,000円になるという「ひさびさ旅割引」で需要喚起を行っていた。
コロナ禍の逆風でも想定以上の人気、売れ行きとなるシチュエーションには対応出来ないということになる。想定外には対応できない「Go To トラベルキャンペーン」の制度の落とし穴が露呈してしまった形だ。
使い果たしてしまった給付金枠の「復活」はあるかについては、観光庁とGo To トラベル事務局が公表している取扱要領にヒントがある。
「旅行会社・OTA 等旅行事業者・宿泊事業者向け 取扱要領」によれば、決定された給付金枠割当額の変更について、「給付枠割当額の変更がある場合」「事業を中止する場合」に申請書や変更計画書を事務局に提出することができ、審査の上で増減を通知するとしている。
つまり、給付金の枠の変更については受け付けるとしている一方、あくまでも事務局の審査によって決定されるため、確実に「復活」するとは言い切れない。
「Go To トラベルキャンペーン」の制度が変わらないのであれば、今後も人気の旅行会社や宿泊施設などでは、給付金枠を使い果たしてしまうことがありうるだろう。
一方で、この「Go To トラベルキャンペーン」の制度では、基本的に予約した時点で割引やクーポン付与が確定する。
これらのことを踏まえると、極めて当たり前のことであるが、人気の旅行会社や宿泊施設は、「Go To トラベルキャンペーン」の適用可否を確認しながら、早めに予約をするのが吉となるだろう。