全日本空輸(ANA)は、今夏から今夏から導入する長距離国際線用ボーイング777-300ERの新仕様機を公開した。
新仕様機はファーストクラス8席、ビジネスクラス64席、プレミアムエコノミークラス24席、エコノミークラス116席の212席。現行の212席仕様の同型機と比べるとビジネスクラスが4席減っており、エコノミークラスが「2-4-2」配列から「3-4-3」配列に変更されて4席増えている。
ファーストクラスとビジネスクラスでは約10年ぶりにシートを刷新。プライバシーを重視し、両クラスともにドア付きの個室型シートを導入した。デザイン監修は建築家の隈研吾氏と英国のデザイン会社Acumenが担当している。
ファーストクラスは、5つ星ホテルのような空間を提供したいという思いから「THE Suite」と名付けられた。「1-2-1」配列の全8席で、各席の占有空間はANAとしては最大となる広さを実現。広さや座り心地はもとより、シートデザインやファブリックの色合いまで洗練されている。シートモニターは現行の23インチから43インチに大型化。さらに、シートモニターとしては世界初で初めて4K解像度に対応しており、機内で臨場感ある映像を楽しめそうだ。
個室のドアは日本建築の引き戸をイメージした。隈氏はその狙いについて「襖のように静かに引ける。通路の空間も邪魔しない。カーテンと違ってプライバシー感がある」と説明している。
中央の2席は可動式パーティションで仕切られており、ペア利用にも対応している。
自身も頻繁に飛行機を利用し「私の生活はほとんど機内」と話す隈氏は、「自分の飛行機の中での生活を一つずつ思い浮かべ、あらゆる希望を充足させ、しかもゆっくり休める空間をデザインした」と語った。
自宅のような空間を提供したいという思いから「THE Room」と名付けられたビジネスクラスは、「1-2-1」配列の全64席。従来通り全席から通路にアクセスできる。進行方向と逆方向のシートが交互に配列することで各席の占有面積は従来の約1.3倍となり、世界最大級の居住空間を実現した。シートの最大幅は現行の約2倍で、ANA史上最大だ。
シートモニターは17インチから24インチに拡大し、4K解像度に対応。
ファーストクラスと同様に中央2席を仕切るパーティションは可動式で、ペアでのプライベート空間を作ることもできる。
また、乗客がワインなどの飲み物や菓子類を自由に取ることができる冷蔵機能付きのバーカウンターが設けられた。
プレミアムエコノミークラスおよびエコノミークラスは、4月に運航を開始したボーイング787-10型機と同様のシートとなっている。プレミアムエコノミークラスの配列は「2-4-2」。エコノミークラスは先述の通り「3-4-3」配列になっている。
新仕様機の初便は8月2日の東京/羽田〜ロンドン/ヒースロー線NH211便。当面は隔日での運航とし、デイリー運航は8月末から9月上旬頃を予定している。12月までに新造機6機を導入し、その後は6機の現行機を改修して最終的に12機を新仕様とする計画だ。