てるみくらぶ、自由自在、てるみくらぶホールディングスの3社は債権者集会を東京都内で11月6日に開催した。債権者集会では経緯や財産目録などが書かれた10ページに渡る資料が配布され、状況が説明された。



てるみくらぶは第1種旅行業者として、ハワイを中心に、グアム、サイパン、韓国、台湾などの募集型企画旅行を手がけていた。インターネットで格安旅行商品を販売して業績を伸ばし、近年はシニア層の取り込みのため新聞広告による募集も行っていた。2011年9月期には売上高137億2,400万円、当期純利益4億7,300万円を計上。2012年9月期も売上高117億8,400万円、当期純利益3億600万円を計上していた。2012年頃から格安航空会社(LCC)の台頭による価格競争の激化や、航空会社からの手数料収入減少、航空機の小型化や訪日外国人の急増により、格安航空券の大量仕入れが難しくなった。その中でも売上高を増やすため、商品の原価率を十分に検証せず、赤字販売を継続したという。顧客からの入金が先で、航空会社や宿泊施設への支払いが後となる前受金ビジネスであることから、格安で旅行商品を販売してでも当面の運転資金を確保する必要があり、悪循環がさらなる資金不足と赤字を生むこととなったとした。



破産管財人の調査では、2013年4月には月次の粗利益がマイナスとなり、その後も繁忙期を除いて月次で数百万円から数千万円の赤字となっていたことがわかった。2014年9月期には債務超過に達し、2015年1月以降の月次の粗利益は全て赤字となっていた。加えて2015年頃からは、シニア層の取り込みを目指して新聞広告による募集を開始し、広告費が増加したことから収益や運転資金がさらに悪化し、2016年秋頃からは、顧客に対する一括支払い値引きキャンペーンを行っていたとした。



さらにてるみくらぶでは、国際航空運送協会(IATA)との契約更新、旅行業の登録更新、金融機関からの借り入れのため、2013年9月期から、費用の取り消しや架空利益の計上による粉飾決算を行っていた。また、2011年9月期と2012年9月期には売上を計上しない逆粉飾決算を行っていた。資料では7期分の粉飾決算修正後の貸借対照表と損益計算書も明らかにされた。事業を停止した2017年3月期には、利益剰余金は143億8,600万円の赤字となっていた。



2017年2月末時点で、宿泊施設に対する取引債務約5億6,600万円の延滞が生じ、IATAに対する3月23日が支払期限の3億7,100万円の支払いができなかった。それ以降の債務の支払いの見通しも立たない状態だったため、3月27日に破産手続き開始の申し立てに至った。







自由自在は第1種旅行業者として、海外旅行商品を販売していた。当初は旅行代理店向けの卸売業を行っていたものの、商号を自由自在に変更後はインターネット販売に特化した旅行商品の販売を行っていた。航空券の発券や宿泊施設の手配はてるみくらぶを通じて行っていたものの、てるみくらぶが破産手続き開始の申し立てを行ったことから、3月30日に破産手続きを開始を申し立てた。



てるみくらぶホールディングスは、2010年12月にてるみくらぶ親会社のアイ・トランスポートが行った株式移転手続きによる設立され、アイ・トランスポートからてるみくらぶ、自由自在の全株式を譲受することで親会社となった。てるみくらぶ、自由自在の経理、財務、総務などの間接部門を担っており、3社の事業資金は相互に融通しながら運営を行っていた。てるみくらぶの金融機関に対する借入金の連帯保証債務などの返済ができなくなったため、3月30日に破産手続き開始を申し立てた。



てるみくらぶでは、過年度の更正請求により、税金の還付が認められれば、債権者に対する配当の可能性があるものとしており、配当を実施する際には利害関係人から弁済の確定、調査検討を行う必要があるとした。自由自在、てるみくらぶホールディングスは現在のところ配当の可能性は低いという。



次回の債権者集会は、2018年5月28日午後2時より開催する。場所の詳細は管財人のホームページで案内する。

情報提供元: Traicy
記事名:「 てるみくらぶ、債権者集会開催 粉飾決算は2013年から