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KZJ78W型 3.0 SXワイド ディーゼルターボ (1995)
1980年代、時代は好景気もあってレジャーがもてはやされるようになり、クルマとともにアウトドアへと出掛けるスタイルがブームとなっていた。そこで注目されたのが、カジュアルに乗れるヨンクだった。乗車人数分のアウトドアギアを積み込める優れたユーティリティ性、砂浜からスキーゲレンデまで走れるオールマイティな機動性、さらにはディーゼルエンジンによる経済性、ATによるイージードライブなど、ヘビーデューティ系とは異なるカジュアル感がキーとなっていた。プラドが登場する以前、カジュアルヨンク系の代表格として挙げられ、人気を二分していたのが三菱・パジェロ、トヨタ・ハイラックスサーフだったが、サーフは、スタイリッシュさは語れてもパジェロのような居住性や積載性は不足。そこで、トヨタでは、サーフとは異なる、パジェロライクなパッケージングを与えたカジュアルヨンクとして、1990年にランドクルーザー・プラドをデビューさせる。
この初代プラドはランドクルーザー70系をベースにしたモデルで、シャシーやエンジンを専用とし、フロントマスクに親しみを感じさせる表情を与え、インテリアに乗用車的なデザインや機能性を与えるなど、まさにライトなランクルとして仕立てられ、「都会的なファッション性と本格的四輪駆動車としての機動性・実用性を高い次元で両立させたスーパーハイブリッド4WDをテーマに掲げたモデル」と自ら謳うほどに、ランドクルーザーシリーズとしてはあり得ないほどのカジュアル感を手に入れていた。ちなみに、この初代プラドは全くの新型車ではなく、85年にデビューしたランクル70系をベースにライトなテイストを与えた70系ワゴンのマイナーチェンジ版で、改良を機にランドクルーザープラドを名乗るようになったという経緯がある。その前身モデルは2ドア、MTのみで、さすがにパジェロに対抗するには不足があったため、プラドを名乗る際に4AT、8人乗りロングボディ、改良型エンジンといった、ライバルに負けない仕様、装備を採用した。
91年には当時、人気だったワイドボディを追加。オーバーフェンダー装着によって100mm幅広い1790mmの全幅を得た。
さらに93年には新開発ディーゼルエンジン1KZ-TE型(3.0Lターボ)を採用。その魅力を高め、存在を広めていくことになる。この初代プラド、いくら「都会的センス」を謳おうとも、ベースになっているのはランクル70系であり、デザインから乗り味まで、パジェロのようなカジュアル感には届いていなかった。しかし、逆に言えば、ランクルたるオフロード走破性やタフさを強みとしていたモデルであり、そこにこだわりを求めるユーザーも多かった。
ランドクルーザー70系がデビューした翌年となる1985年、ランドクルーザー・ワゴンと呼ばれるモデルが追加された。70系ショート(もちろんバン)をベースに、ハイラックスサーフに搭載されていた2.4Lディーゼルエンジンを搭載し、サスペンションをリーフリジッドからコイルリジッドへと変更したモデルで、これが後のマイナーチェンジでスタイルに手が加えられプラドを名乗ることになる。
今ではATのみとなっているプラドのラインナップにもかつてはMTが設定されていたが、時代の流れとともにだんだんと数を減らしていき、120系からはとうとう消えてしまった。
ちなみに、プラドの前身である70系ワゴンは、当初ショート+MTのみだった。もちろん、海外モデルのプラドにはいまでもMTが設定されており、ディーゼルとの組み合わせもある。
70系EX5
70系、90系プラドではオーバーフェンダーを付けたワイドボディ人気が高かったが、クルマとしてのメインチューニングはオーバーフェンダーを付けていない標準ボディ(ナローボディ)で行われていた。そのため、乗り心地から操縦性までしなやか、かつ快適性にあふれていた。ちなみに、ナローボディのタイヤ幅は215サイズで、ワイドボディは265サイズだった。人気があったのはもちろんワイドボディのほう。