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プラド史上、最もロングライフを誇っているのが09年にデビューを果たした4世代目モデルが150系だ。
プラットフォームこそ3世代目からのキャリーオーバーとなるが、まさに熟成といったチューニングも相まって、プラドが目指した世界観をさらに高めている。
従来からのラダーフレーム構造、トルセンLSDをセンターデフに組み合わせたフルタイム式4WD、フロントにダブルウィッシュボーンをリアにリジッド式を組み合わせたサスペンション、上級グレードに採用されるAVS/NAVI・AI-AVS制御+リア電子制御エアサスペンションを大幅に進化させながら採用。さらに新しい技術として、オンとオフで求められる走行性能をバランスさせるKDSS、オフロード走行においてステアリング操作に集中していられるクロール・コントロール、やはりオフロードでシーンに応じた駆動、制動を提供してくれるマルチテレインセレクト、周囲の路面状況を確認できるマルチテレインモニターなど、兄貴分であるはずのランクル200に採用されていない装備まで備えていたほど。
また、いち早くミリ波レーダー方式を採用したプリクラッシュセーフティシステムを設定していたこともトピックとしていた。
エンジンはキャリーオーバーとなり、ガソリンは直4/2.7L、V6/4.0Lをラインナップするが、V6は、デュアルVVT-iとローラーロッカーアームの採用による高出力化と低燃費化を果たしたレギュラー仕様版へと変わっている。トランスミッションは、直4が4速AT、V6が5速ATを組み合わせている。ちなみに、ディーゼルエンジンは先代末期よりラインナップから消えたままとなった。
ボディサイズは全長4760mm、全幅1885mmと、3世代目と大きく変わらないように見えるが、先代のオーバーフェンダーを後から付けたデザインではなく、フェンダーそのものを広げたデザインにより、特に室内幅が広げられており、さらに、135㎜のスライド幅を得たセカンドシート(4:2:4分割可倒式)も相まって、居住性が引き上げられている。また、スイッチ操作で格納や復帰可能な電動フロア格納式を採用したサードシート、バックドアガラスハッチ式による利便性も魅力となっている。
150系プラドは、改良の回数や内容が歴代のプラドの中では、異例づくしとなっている。最初のマイナーチェンジは13年に行われ(中期)、これもまたプラドとしては異例とも言える、大胆なフェイスリフトがされた。フロントグリルは縦基調たるテイストはそのままに大型化され、同時にヘッドランプ、フロントバンパー、さらにはリアコンビネーションランプやリアガーニッシュまでを変更。特にヘッドランプは、ロービームとクリアランスランプにLEDを採用し、先進性を強めていることが特徴的だ。また、大型カラーTFT液晶を採用したマルチインフォメーションディスプレイの採用、マルチテレインセレクトの走行設定モードを4から5モードへと変更したほか、サスペンションのチューニングを変更するなど、その改良内容は多岐に渡る。
14年には、ランドクルーザー70シリーズ誕生30周年を記念した特別仕様車TX“Argento Cross”をリリースしている。
そして、15年にはV6エンジンを廃止し、ディーゼルエンジンを”復活”させた。この新開発となる1GD-FTV型直4/2.8Lは低回転から高トルクを発生させるだけではなく、その吹け上がり、そして、環境性能を含めて、従来のユニットとは全く印象を異にするもので、ディーゼルを待ち望んでいたユーザーに広く受け入れられた。このタイミングでATは全て6速となり、またガソリンエンジン(直4)はデュアルVVT-i化といった改良によって出力を変えないままに燃費向上を果たしている。
16年には、トヨタ店創立70周年を記念し、スーパークロームメタリック塗装の18インチアルミホイール、本革シートなどを特徴とした特別仕様車TX“Lパッケージ・G-FRONTIER”が登場する。
2度目となるマイナーチェンジは17年秋に行われた(後期)。
これまでのライフサイクルからするとそろそろフルモデルチェンジではないかと囁かれていたが、フェイスリフトから先進安全装備の採用まで、フルモデルチェンジ並の改良を行っている。エクステリアは、エンジンフードセンターを凹ませて視認性を確保した形状にしたほか、大型フロントグリルとヘッドランプユニットをひとくくりとしたデザインを採用するなど、これまでのプラドのイメージをベースにしながら、先進性を表現。インテリアでは、特にセンターコンソール部が大きく変えられ、タブレット型デザインとしたナビゲーション部や、金属調パネルでまとめられた駆動操作系など、乗用車的なテイストが採り入れられた。
また、衝突回避支援パッケージ「Toyota Safety Sense P」を全てのグレードで標準装備したほか、ドライブスタートコントロール、ブラインドスポットモニターといった安全装備も採用している。さらに、ランドクルーザーとしては初採用となる、トルセンLSD付きリアデファレンシャル、5つの走行モードをセレクトできるドライブモードセレクトを最上級グレードに標準装備。
このように、モデル末期のカンフル剤どころか、フルモデルチェンジレベルともいえる改良がされた。それが意味するのは、4世代目プラドはもうしばらく販売が続くということである、といえそうだ。
オフロードを走破できることを謳うモデルにとって、サスペンションはその伸び、縮み、つまりストローク量が多ければ多いほど有利となるが、それは、オンロード走行では余計な動きとなり、嫌われてしまうもの。KDSSはタイヤの動きから走行シーンを想定し、スタビライザーの作動を規制、もしくはリリースし、オンロード、オフロードで理想のシャシー性能を提供してくれる。最上級グレードのみに許された装備。