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サスペンションからホイール、マフラーにボディ補強パーツまで。足に関わる用品をここまで幅広く展開しているメーカーは、世界でも稀な存在だ。そんなタナベはどう生まれ、成長してきたのか。そのモノ作りへのこだわり、信念に迫る。
そんな田邊社長が製品作りに関して、何より重要視しているのが、壊れないモノを作ること。
「常々、壊れるモノは作るなと社員には求めています。タナベはずっとレース活動を行なっていますが、レース用の製品であれば、1レースごとに交換できる。けれども市販品は、走るごとに交換できるわけではありません。
まずは、安全安心、壊れない、が絶対。安全安心にこだわるからこそ、過酷な条件のレースを続けているんです」。
現代のレースで採用されているパーツは、ほとんどが海外メーカー製。スーパーGTやスーパーフォーミュラといった上位のカテゴリーで使用されているスプリングは、国内に限定すればタナベくらいのもの。
その寄せられる信頼が、いまのタナベの市販品にも息づいているのだ。
「タナベの製品は、2階建てなんです。ベースになる1階は、安全安心、壊れないちゃんとしたモノ。その上の2階に、軽いや強い、カッコ良さやブランドのテイストがある。
安全安心が土台として存在していて、レース由来の軽さや強さへのこだわりというDNAが、その上にコーティングされているんです。まず安全、そのうえで感動のある製品を常に目指しています」。
世界は常にアップデート。まだまだタナベも、変わる。
安全安心を確実なものとするため、タナベではJAWAやJIS、JWLといった品質基準で定められている数値よりも、数段上の数値を製品に求めている。
厳しい自社基準を設けていて、そのための試験やチェックは数段階にも及ぶ。時間もかかるし、コストもかかる。だからこそタナベの製品は、壊れない。
「レースに携わってきたDNAが浸透しているのか、タナベの技術者はどうしても軽さ、強さにこだわるんです。例えばリムひとつを作るにも、デザインを犠牲にせず、軽くて強いものを作るのはすごく大変で(笑)。
でも車高調やスプリングも、軽く強くにこだわって作る。タナベの特徴で、伝承でもあります」。
そんな軽さと強さを実現するのが、製法と素材へのこだわり。スプリングは、国内のアフター用品メーカーでは唯一という冷間成形方式を採用し、その材料も国内で精錬された国産材料だけを使用する。ホイールのディスクやリムの材料にもこだわり、選りすぐられた材料、そして高い技術によって造られている。
「材料は、いろんな国のものが当然、あります。でも不純物のなさでは、国産に勝るものはない。不純物が多いと割れることもありますので、それでは安全性が確保できない。
命に関わる部品だから、そこだけは崩せない。だからタナベの基本は、メイドインジャパンなんです」。
そんなタナベは現在も、日々進化を続けている。新しいブランド展開や、新たな試みにも臆せず、チャレンジする計画だ。
「クルマはもっと変わっていくし、都市の中での役割も変わる。その変化へ常に対応することが、タナベとしての責任。
常にアップデートされ続ける時代だからこそ、我々も変わらないと。新しい社会からも、存在を期待される企業になる。まだまだです」。
株式会社タナベ 田邊一徳代表取締役社長
スタイルワゴン2020年5月号より
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