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「THSⅡ」と呼ばれるハイブリッドシステムも、プリウスで培ってきた定評のテクノロジーだ。エンジンは1~2世代プリウスにも搭載した1・5ℓで、型式こそ「1NZ―FXE型」と同じだが、“エンジンブロックを筆頭に約70%のパーツを新設計して搭載している”という。
電動ウォーターポンプの採用(補機ベルトをなくしエネルギー損失を低減)、クールドEGRの採用(燃費向上、小型化に貢献)などの新機軸が注目だが、さらにインバーターの小型・軽量化、モーター(駆動用、発電用とも)の新設計、バッテリーパックの小型化など、主立ったところだけでも軒並み“新規”。昇圧コンバーターの仕事量も最大520Vと大きい。
メカがほとんど専用設計に等しいのは、アクアが“クルマとしての走らせる楽しみにこだわった”からだそう。ボディサイズはヴィッツに対し55㎜も低く、110㎜長い(全幅は同じ、ホイールベースは40㎜長い)。ヴィッツより50㎜低い運転席は、昨今のコンパクトカーというより、ひと昔前の「よし走らせるぞ!」の気分にさせられる雰囲気で、座っただけでクルマとの一体感を感じる。
後席も低そうな外観より空間はあり、座面下のバッテリーでクッションも薄いはずのシートは、シェイプがよくサイズも十分のため、このクラスとして異例の快適な着座感だ。
ついでに言えばトランクも、ひとクラス上の欧州車並の容量、四角さ。決して贅沢な素材を使っている訳ではないが、平らに敷きつめられたカーペットなど、ラインでの作業の丁寧さも伝わってくる。
走りは実に爽快。いい意味で少し古風な“自分がクルマを走らせている感”があるのは、クルマの挙動全体が自然体なタッチで仕上げられているからだろう。グレード(タイヤサイズ)ごとに乗り味の微妙な差があり、レポーターは15インチタイヤの「S」が、もっとも乗り味と素直な挙動とがバランスしていると感じた。
シフトレバーがスタッガード式(ジグザグ式)なのも“普通”だが、ことさら意識せずにハイブリッドの支援を得ながら走らせられる新種のコンパクトカーだ。
※記事の内容、価格、スペック等は2011年12月のデビュー当時のものです。その後の一部改良等で変更になっている可能性もあります。
※スタイルワゴン2012年3月号より