エアロキットの開発現場を見てみたい!!


エムズスピード 阪南工場を訪問してみた


ABS素材が注目されているエアロキット。従来のFRP素材に比べ、精度に優れ高品質と様々なメリットがある。そんなABSエアロを完全自社生産するため、大阪阪南市に自社工場を設立したエムズスピード。ABSエアロの製作工程をみられるチャンスということで、工場見学、してきました!!



純正同等精度の商品をスピーディに届ける

カスタマイズされたクルマを購入できる新車コンプリートショップとして、全国各地に店舗展開しているエムズスピード。


エアロキットをはじめ、オリジナル商品の開発も精力的に行う老舗ブランドで、常に最先端の技術やデザインを採り入れているのも特徴。エアロキットの開発に、いち早く3Dスキャナーを導入し、クルマの3次元形状をデータとして読み取り、手作業では表現しにくい1/100㎜単位の精度で設計・開発を行っている。


そんなエムズスピードが、エアロキットの開発から設計、そして製品化までを完全自社生産可能とする、新たな工場を大阪府阪南市に設立した。


「従来のFRP素材のエアロキット製作は、基本的に職人がひとつひとつ手作業で仕上げていくので、コストと時間がかかってしまいます。一方ABS素材のエアロキットは真空成形機と呼ばれるマシンを使って成形していくので、製作スピードを大幅に短縮できるだけでなく、コスト削減にもつながります。さらにABSの魅力は純正部品同等の高精度なパーツに仕上がりますので、装着時のフィッティングも抜群。つまりよりよい商品をスピーディにお客様の元へ届けるために、完全自社生産を目指しました」とエムズスピード阪南工場の奥田さん。


早速工場内に入ってみると、見たこともない機材がズラリ。ABSエアロ製作の要となる真空成形機での作業を拝見したが、あっという間に出来上がる工程は感動モノ。


素材となるABS樹脂シートが熱によってグニャグニャになり、そこにエアロの“型”を押し合てると『プシュー』と大きな音を立てながら、シートを真空吸引。するとペラッペラだったシートが“型”と全く同じ形状に。


真空成形機から取り出すと、まだ熱は残っているものの、シート自体はあっという間に成形され硬くなっている。この作業時間僅か数分。つまりエアロパーツの“型”が出来上がれば、次々と商品を成形できるってこと。


さらにNCルーターと呼ばれるマシンで不要な部分をカット。こちらも0・1㎜の誤差すらない精度でカットされていくというから驚きだ。また、マシンのサイズ上、バンパーエアロの成形など、大きな商品の開発はABS素材では難しいとされてきた。


しかし、開発から製作までを完全自社生産することで、分割式の構造など設計段階でアイデアを出し合いながら、新しいことへのチャレンジも可能になった。いままで以上に高品質、そして安心の商品を開発し続ける。


精度抜群で高品質、そしてスピーディ。

ABS製エアロキットを自社生産へ


ABS樹脂シート。型を当てる前はフラットな板状のシート。

樹脂シートに型を押し当てた状態。

1枚のABS樹脂シートでアルファード用のフードトップモールを製作する。シート本体は薄いが手で曲げられないほどカッチカッチ。しかし重さは軽量。このシートがどうやって製品になっていくのか、非常に興味深い。


VISIT01 真空成形機


「真空引き」で、瞬時に成形される

ABSエアロ製作の要となる、真空成形機=バキュームフォーミングマシン。カッチカチのABSシートをグニャグニャになるまで加熱し、型をシートに押し当てながら素材を真空吸引する動作を同時に行うことで、ABSエアロを成形する。型の形状を精密に再現し、さらに作業がスピーディ。



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“型”は職人の手仕上げ

ベースとなる゛型゛は、次の工程でも登場する5軸制御NCルーターで製作後、微妙なラインの仕上げは専門スタッフが行っている。写真はアルファード用フードトップモールの型。


リアスポイラーなど大型エアロも成形可

現在2台の真空成形機が導入されており、上で紹介しているグリルやパネルを製作する小型機と、サイドステップやリアスポイラーなどを製作する大型機がある。大型機の場合は、加熱したABS樹脂シートを゛型゛の上から被せて真空吸引して成形する仕組み。



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真空成形機のサイズの問題上、バンパーエアロなどの成形は難しいが、リップやハーフスポイラーなどであれば製作できる。写真はアルファード用のリアスポイラー。


VISIT02 5軸制御NCルーター


成形されたエアロを誤差なくカットする

真空成形機によって成形されたABS製品のフランジカットを行う。3D CADで製作された設計データから0.1mmの誤差も生じないレベルでカットされていく。ケミカルウッド(人工木材)による゛型゛の製作も、5軸制御NCルーターを使って行われる。






VISIT04 乾燥炉


最適な状態で成形する

ABSエアロのベースとなるABS樹脂シート。入荷後長期間使用しないと、水分を含み、成形時に細かな発泡が生じてしまう場合がある。それを防ぐのが乾燥炉。作業前に乾燥炉に入れることで、最適な状態で成形作業ができる環境を整えている。


VISIT04 3Dプリンター&3Dスキャナー


より正確な測定&設計

エムズスピードでは早くから3Dプリンターや3Dスキャナーを導入し、精度の高い製品開発に努めてきた。インテリアパネルなどのサイズの小さな商品は3Dプリンターによって仕上げられている。純正部品同様のフィッティング精度が魅力だ。


取材協力:エムズスピード

https://www.mzspeed.co.jp


スタイルワゴン2019年11月号より



[スタイルワゴン・ドレスアップナビ]



情報提供元: ドレナビ
記事名:「 エアロパーツの作り方知ってますか? 最新のABSエアロ工場に潜入!|エムズスピード