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サイドステップは悩みどころだった。厚ぼったい純正品を取っ払ってもいいけれど、かといって乗り降りしにくくなるのは困る。そこで、匠の金属加工技術を持つサクソンレーシングでオリジナルのサイドステップを製作することに。
サイドシル部分をカモフラベージュでラッピングした時から、サイドステップの存在はけっこう気になっていた。ボディ下部が絞り込まれるプラドのフォルムに対して、サイドステップが邪魔しているような気がしていた。
とはいえ、この車高なだけに乗降時にステップレスなのはチト辛い。スタイルアップのために、ユーティリティを犠牲にしたくはない。
そんなジレンマをどうにかしようと、相談したのはサクソンレーシングだった。オリジナルマフラーを自社で生産する彼らは、持ち前の金属加工技術を活かしてオフロード系のボディパーツにも力を注ぐ。
代表を務める関原 朗氏は、もともとオフロード四駆系が好きだっただけに、創り出す製品のすべてが本格仕上げで、何よりセンスがいい。最近では新型ジムニー用のルーフラックやキャリア、ブルバーなどが好評のようだ。
いかにもプロツールっぽいアルスターパイプを使った製品群は、それだけでドレスアップになるし、キャンプグッズの形状やサイズを踏まえた設計なので使い勝手も抜群だ。
軽自動車ながらも屋根に大人ふたりが大の字で寝られるテントを載っけて、背面にクーラーボックス水を背負ってキャンプに繰り出す。しかも二泊三日分の荷物を載せられるような設計である。
こうしたサクソンレーシングの技術とアイデアにすがる気持ちで、サクソンレーシングにサイドステップをオーダーした。すでに現行型ハイラックス用のサイドステップがラインアップされていたからだ。
しかし、ハイラックスとは微妙に形状が異なるため流用はできず、プラド用をイチから作ることになった。
今回は製品化を目指した開発となったが、彼らはワンオフ品にも応じてくれる。
サクソンレーシングの中枢であるファクトリーは、ユーザーニーズを鑑みた多品種少量生産のための体制が敷かれている。適正な長さにパイプカットするマシン、データを入力するだけで自動的に3次元で曲げてくれるCNCパイプベンダー、様々な金属加工部品を生産する150tプレス機など、このインフラを見るだけでも夢が膨らむ。
核事業のマフラーに関しては、サイレンサーを含めてすべて自社生産しているという。
こうした環境のもと、写真にあるサイドステップができあがった。純正のボルト位置を使って取り付けるため、ボディ側は加工要らずでポン付けできる。
黒く落とし込まれたことで、遠目からはサイドステップレスに見えつつ、近づくに連れて無骨な42・7φのパイプが露わに。いかにも頑丈そうで、それだけでプロツールっぽい。
この色味は、ホイールやルーフラックとも似合っている。平坦でぶ厚い樹脂製の純正サイドステップに比べたら、ものすごくスタイリッシュなアゲ系になった。
乗降時にだってまったく不便はない。そういえば純正サイドステップは、足をかけるたびに靴跡が残るし、洗車してもすぐに砂や土など汚れが溜まっていた。ボディコーティングしていつも綺麗な状態が保てているだけに、これが改善されたのは嬉しかった。
むしろこのサイドステップなら、泥だらけになってもカッコいい。サイドステップひとつでこんなに満足度を得られるとは。と、都心のネオンの下でも妙に似合うプラドを前にそう思った。
スタイルRV VOL.137 ランドクルーザープラドNo.2より
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