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何しろサイバーナビゆずりの回路レイアウト、基盤パターンを筆頭に厳選した高音質パーツが採用される。それを活かすサウンドチューニングの調整幅だってすこぶる広い。ただポン付けするだけでなく、車種ごとに異なる車室空間に合わせ、あるいは好みの音楽に合わせてサウンドチューニングをするだけで、見違えるほど音が良くなる。
例えばタイムアライメント、スピーカー出力レベル、ハイパス/ローパスフィルター、そしてイコライザーなど。これらを車種別に設定すれば、奏でるサウンドは見違える。
タイムアライメントとは「音が耳に到達する時間を整える」こと。オーディオの理想は、左右のスピーカーのちょうど中間で聴くことだが、着座位置が前後左右に偏る車内にとっては非現実的だ。
そのため遠い位置にあるスピーカーからの音を、その距離の分だけ遅れて耳まで届かせる。スピーカー出力レベルは、距離差を見越して速度差ではなく絶対音量を調整してあげること。ラージミニバンと軽自動車だったら、理想の設定値がまったく異なるものになるということは容易に想像がつく。
さらにスピーカーの性能によって特定の周波数を調整するのがハイパス/ローパスフィルター機能だ。スピーカーは持ちうる性能以上の音域が入るとノイズになる可能性があるので、例えば重低音はサブウーファーに任せ、フロントスピーカーでは中高音を、ツイーターで高音を鳴らすといった措置だ。
特定の周波数のみが強調されて耳に届く場合はその周波数のみを下げ、逆に聞こえにくい帯域を上げて全体を整えるイコライザーによる調整も効果的だ。ガラス面による音の反射や、シートによる音の吸収などが関わるので、車種ごとにベストアンサーは異なるという。
プロが本気でチューニングすれば数日かかるほど奥の深い世界である。だからといって諦めるのはまだ早い。アレコレと試行錯誤すれば、カーオーディオとの付き合い方がガラリと変わる。
これらのセッティングだけでも、まるで自分の目の前で演奏し、歌い上げているかのような感覚で聴こえてくる。しかしプロショップでもなければ、一般の人がベストアンサーを導き出すのは難しい。
そこでパイオニアには「車種専用エキスパートチューニングSD」というデータが用意されている。パイオニアの音響エンジニアが、代表的な国産車に対して、車種別に理想とする音響設定をパッケージ化。
データをインストールするだけで理想的な音響空間が手に入る。自分でアレコレとイジる楽しみも捨てがたいが、作り手側の理想像が7000円(税別)で得られるのだったら安いものだと思う。
ちなみに今回テストした150系プラドにもこのデータは用意されている。純正のスピーカーが前提だが、カロッツェリア推奨のスピーカーに交換した場合の推奨設定があるのもいい。
それを踏まえてここでは17㎝セパレート2ウェイスピーカー「TS-C1736S」と、24㎝×12㎝パワード・サブウーファーである「TS-WX400DA」を導入。まるで見違えるような迫力をたたえながらも、透き通るようなクリアな音色を奏でてくれるようになった。
決して大音量だけでなく、静かに鳴らしていても雑音やロードノイズにかきけされず、気持ちよく耳に届くのが印象的だった。
オーディオはスピーカーなど単体だけではその能力を100%発揮できない。優れたメインユニットはもちろん、それらを見事に調律するサウンドチューニングがあってこそ。そんな三位一体の音色をぜひ試して欲しい。
AVIC-RL910
TS-C1736S
TS-WX400DA
純正のオーディオより上のステージを目指すのなら、カロッツェリア製のスピーカーに置き換えるのも手だ。今回、150系プラドとAVIC-RL910との組み合わせに対して、ドア部のスピーカーおよびダッシュボードのツイーターをTS-C1736Sに、さらにシート下にサブウーファーのTS-WX400DAをインストールした。前者は3万2000円(税別/4個1組)、後者は3万円(税別/1個)とリーズナブルながらもサウンドは見違える。
車種ごとに取り付け方が異なるオーディオシステムだが、カロッツェリアには様々な種別のインナーバッフル、ケーブル/コネクター、配線キットなどが揃う。DIYに挑んでもいいが、固定方法や設置箇所を熟知したプロに任せれば安心だ。今回はナビやオーディオのインストールに定評のあるミストラルに依頼した。
問:ミストラル 東京都中央区新富1-9-5ミストラルビル1F ☎03-5566-0259 http://mistral-co.jp
問:パイオニアカスタマーサポートセンター 0120-944-111/0570-037-600
https://carrozzeria.jp
スタイルワゴン2019年10月号より
[スタイルワゴン・ドレスアップナビ]